Yahoo!ニュース

進路相談4・女子は公務員の方が働きやすい?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問:公務員を考える女子高生です。将来、結婚した後も仕事をしようと考えているのですが、親から民間企業よりも公務員の方が長続きする、と言われました。本当でしょうか?

男女平等とよく言います。もちろん、そうあるべきですし、民間企業でも男女関係なく評価している企業も増えています。

しかし、現実問題として、女性の管理職比率(課長以上)は6.6%(2013年度)と低い水準のままです。

だからこそ、安倍内閣は女性活躍担当大臣なる特任大臣を設け、2030年までに女性の管理職比率30%(いわゆる「2030」目標)を目指しているわけです。

では、公務員は、と言えば、管理職比率では民間企業をやや上回る程度。

時期がちょっと違いますが2010年時点での管理職比率は町村9.6%、政令指定都市9.1%、都道府県6.0%となっています。

この数値をどう見るかは人により異なりますが、安部内閣の女性活用のスローガン以前から公務員、特に行政職の場合、民間企業以上に女性が働きやすい職場であったことは事実です。

何しろ、男女平等、共同参画を国策として打ち出している以上、国や自治体は率先して守ることが求められていたからです。

これは今後も変わらないどころか、さらに強化されていくでしょう。

あなたのご両親のアドバイスは確かにその通りです。

ただ、事務系行政職はそれほどでもないのですが、警察官、消防官、自衛官などの場合、女性の採用枠がそもそも少ない、採用格差があります。

このあたりを巧妙に突いた宣伝を中堅以下の私大はよくしています。

具体的には、男子学生が8~9割を結果的には占めている警察官・消防官・自衛官の就職実績をもって、

「公務員就職に強い大学」

と宣伝するのです。ウソではないですが、この宣伝を女子高生が真に受けると、実は違う、ということになるわけで。

その辺の詳しい話は、改めて。

※『時間と学費をムダにしない大学選び2016』(中央公論新社)より引用/一部改編

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

教育・人事関係者が知っておきたい関連記事スクラップ帳

税込550円/月初月無料投稿頻度:月10回程度(不定期)

この有料記事は2つのコンテンツに分かれます。【関連記事スクラップ】全国紙6紙朝刊から、関連記事をスクラップ。日によって解説を加筆します。更新は休刊日以外毎日を予定。【お題だけ勝手に貰って解説】新聞等の就活相談・教育相談記事などからお題をそれぞれ人事担当者向け・教育担当者向けに背景などを解説していきます。月2~4回程度を予定。それぞれ、大学・教育・就活・キャリア取材歴19年の著者がお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

石渡嶺司の最近の記事