Yahoo!ニュース

就活相談18・グループディスカッションでスマホを使ってもいい?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

質問 グループディスカッションで質問です。以前、グループディスカッションで具体例として、大学講師が開発したアプリを紹介しようとしました。ただ、口頭で説明しようとして長くなり失敗した経験があります。そこで、今後はスマートフォンで示せば話が早いと思うのですが、使用しても問題はないでしょうか?

回答 ご質問にお答えする前に、グループディスカッションについて。口頭で説明しようとして話が長くなるものは、持ち出さない。これ、鉄則です。いくら、具体例として適していると本人が考えても他の参加者やグループディスカッション選考担当者からは、「こいつ話が長いなあ。クラッシャーか?」と思われるだけです。

その前提の上でお答えしていくと、使わない方が無難です。

理由としては、「公平性の担保」、「説明能力の有無が確認できない」、この2点が挙げられます。

まず、前者について。仮にあなたに対して、スマートフォンの使用を認めたとしましょう。あなたは、単にアプリを紹介するだけのつもりかもしれません。

しかし、あなた以外の学生はどうでしょうか? この本のグループディスカッションの項目を出して、クラッシャー学生に注意を促すかもしれません。「Yahoo!知恵袋」にお題を投稿して、答えを求める学生もいるでしょう。あるいは、通話でキャリアセンター職員やカウンセラーを呼び出してアドバイスを求めるかもしれません。

そうした可能性は絶対にない、と言い切れるならいいでしょう。実際には、ゼロどころか、相当高い確率で起こり得るはずです。そうなると、選考における公平性の担保が崩壊してしまいます。あなたからすれば、「ちょっと見せるだけ」程度かもしれませんが、その「ちょっと」が多額の予算を投じた新卒採用選考を崩壊に導きかねません。

2点目も基本線は1点目と同じ。ごくまれに、ですが、難しい事柄を簡単に表現できる学生がいます。当然ですが、そうした能力は評価ポイントとして加算されていくことになります。

まあ、実際には、そうした能力をもつ学生は多くありません。あなたと同じようにグタグタになってしまうはず(ちなみに私も同じです)。

もし、スマートフォン使用を認めていなければ、説明能力が高いのか、低いのか、確認することができます。しかし、認めてしまえばそれは分からないまま。これは、採用側にとって、好ましいことではありません。

以上、2点を考えれば、グループディスカッション中のスマートフォン使用は避けた方が無難です。

どうしても、と言うのであれば、グループディスカッションの事前説明の時点で聞いてみましょう(私ならしませんが)。

ひょっとしたら、スマートフォン使用を認める企業があるかもしれません。ただし、採用側の視点に立てば認める企業はごく少数にとどまるはず。

私が採用担当者なら、そういう質問をする時点で、スマートフォン依存にもほどがある、として、その学生に大きなマイナス評価を付けますね。

もちろん、事前説明の段階で、スマートフォン使用を認めているなら話は別です。

※『300円就活 面接編』(角川書店・電子書籍)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

教育・人事関係者が知っておきたい関連記事スクラップ帳

税込550円/月初月無料投稿頻度:月10回程度(不定期)

この有料記事は2つのコンテンツに分かれます。【関連記事スクラップ】全国紙6紙朝刊から、関連記事をスクラップ。日によって解説を加筆します。更新は休刊日以外毎日を予定。【お題だけ勝手に貰って解説】新聞等の就活相談・教育相談記事などからお題をそれぞれ人事担当者向け・教育担当者向けに背景などを解説していきます。月2~4回程度を予定。それぞれ、大学・教育・就活・キャリア取材歴19年の著者がお届けします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

石渡嶺司の最近の記事