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就活相談5・インターンシップ不参加は不利になる?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

インターンシップ参加は有利?

質問:インターンシップ実施企業の選考において、インターンシップ参加者は有利になりますか?

回答:企業によって分かれます。

まず、最初からインターンシップから内定者を出す直結型であれば、有利になることは言うまでもありません。

それから、はっきり公開しているわけではありませんが、インターンシップ参加者は一般学生とは別枠での選考を実施する企業もあります。こちらも有利と言えば有利ですね(もちろん、落ちることだってあります)。

ただし、この2パターンの企業は全体からみれば少数です。内定直結の企業も別枠選考を設ける企業も、IT業界やベンチャー企業などに多く、それ以外では広告業界の一部など。

これらに共通しているのは、長期のインターンシップである点です。

長期間であれば、学生の善し悪しもある程度は見えてくるからです。逆に言えば、長期である分、学生の悪い部分も見えやすく、落ちる学生は落ちるとも言えます。長期のインターンシップに参加したから受かりやすい、という問題ではありません。

1日インターンシップなどはそれほど選考に有利にはならない、というのが2015年卒までの定説でした。しかし、2016年卒採用から、広報解禁は3年生3月(2016年3月1日)。それまでは、企業説明会などは公には実施できません。

そこで、多くの企業は1日インターンシップを3年生秋から2月ごろにかけて実施するようになりました。

このインターンシップ参加の学生にのみ、次のセミナー開催予定を伝える、次の選考日程を伝える、という手法が広く取られるようになりました。「次のセミナー開催日程」というのも曲者で、このセミナーはほとんど公募はせず、実質的にはインターンシップ参加者のみで構成し、さらにそこで選考日程を伝える、という次第。

当然ながら、こうしたインターンシップ・セミナーに参加していない学生はそれだけ出遅れるわけです。つまり、1日インターンシップといえども2016年卒以降は有利になり得る。そう言っていいでしょう。

他社のインターンでもPR材料になる?

質問:インターンシップの参加経験は他社でも就活でPR材料になるでしょうか?

回答:インターンシップの種類によります。1日ないし数日程度の説明会・セミナー型であれば、誰でも参加しやすいこともあって、アピール材料にはなりません。

大学や自治体、企業団体等が企業と連携する長期間のインターンシップや企業独自の長期インターンシップであれば、準備などが大変ですから、アピールしても話を聞かない企業はほとんどないでしょう。

一方、1日インターンシップであればだれでも参加できますので、アピール材料にはなりにくいです。仮にたくさん行ったことをアピールしても、単なる就活マニアか、と誤解される可能性があります。まあ、中には研究熱心さを買う企業があるかもしれませんが、その可能性は相当低いはず。できればやめておくことをお薦めします。

扱いが微妙なのはアルバイターン。長期かつ学生の営業能力が相当問われるインターンシップです。それを承知の上で参加して、なおかつ、IT業界やベンチャー企業であれば営業の即戦力が欲しいはずなので、有利にはなります。

一方、アルバイターンは単なるアルバイトとも言えます。これを評価する企業もあるでしょうし、単なるアルバイトと同じ、として評価しない企業もあります。

それと、やや強引な営業活動を展開するインターンシップであれば、企業によっては「うちの企業文化に合いそうにない」として敬遠するところも出てくるはず。この場合は、有利にならずむしろ不利になります。このあたりをまとめると「微妙」という評価が妥当でしょう。

1日インターン、行く意味はある?

質問:1日インターンシップは参加しても無意味、という人と、行く価値がある、という人がいます。どちらが正しいですか?

回答:前者は2013年ごろまでの私、後者は2014年以降の私ですね。

1日インターンシップはしょせん、企業セミナー・説明会にすぎません。それに行ったからと言って特に選考に有利になるわけではありません。

この基本姿勢は同じです。ただし、他の質問などで回答した通り、2016年卒採用のインターンシップは大きく変化をしました。1日インターンシップでも、次のセミナー・選考開催日程を伝える場になっています。その点だけでも有利になる、と言えます。

それと、2016年卒について言えば、3年生2月までに実施したインターンシップ参加の学生は多くありません。企業や大学にもよりますが、

大体は例年の2~3割程度止まりのところが多いようです。企業からすれば、集客という点では失敗なのですが、その代わり、参加学生のモチベーション・意識ともに高く、そこを評価している企業が多数です。

企業・採用担当者によっては、

「もう、下手にエントリー数を無理に集めようとするよりも、少数ながら意識の高い学生から選んだ方が外れをつかまなくて済む」

と言い切るところもあります。

この点でも、1日インターンシップへの参加は無意味ではない、ということになります。

3年1月までインターン不参加だと就活で不利?

質問:3年生2月までにインターンシップに参加しなかった学生です。出遅れた気がするのですが、やはり今後の就活においては不利になるでしょうか? また、出遅れを挽回するためにはどうすればいいでしょうか?

回答:3年生2月までにインターンシップに参加していない、となると、出遅れていて不利になると言わざるを得ません。

何もしないままだと、その後の就活はかなり厳しいことになるでしょう。

出遅れたことを自覚したうえで、取り得る対策は就活への行動力を増やすことです。特に3年生3月から4年生4月にかけての企業説明会・セミナーは積極的に参加するようにしてください。

インターン不合格だと本採用でも不利?

質問:志望企業の夏のインターンシップに応募したのですが、落ちてしまいました。インターンシップに落ちた、ということは本採用でも見込みなし、と見た方が無難ですよね?

回答:インターンシップを考えた学生で志望企業のものに参加できなかった方がはまりやすいパターンですね。結論から言えば、無関係です。

インターンシップの選考は本採用と連動するものではありません。採用する側も3年生の夏時点と3年生の冬、4年生の春・夏時点で学生が変化していることを理解しています。

仮に3年生夏時点でいまいち、と感じた学生であっても、本採用の受け付け時点で大きく変わっている可能性もあります。その成長ぶりを評価して内定を出した、という企業もあります。逆に夏のインターンシップに参加できても、本採用では落としたということもあり得ます。

インターンシップに落ちたからと言って、落ち込む必要はありません。インターンシップはインターンシップ、本採用とは別物です。

※『300円就活 準備編』(角川書店 電子書籍)より引用

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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