大学別ランキングを考える~その1・第108回医師試験編

大学別ランキングから見えるもの

 みなさん、こんにちは。『沸騰!図書館』という本の編集を担当しまして、大学・就職ネタから遠ざかったと言われた石渡です。

 大丈夫、そう簡単に遠ざからないし。

 さて、私は山内太地と毎年、『時間と学費をムダにしない大学選び』という進学ガイドを刊行しています。

 この中で、国家試験・資格などの大学別ランキングも掲載しています。

 いくつか、見直していると面白いことに気づいたので、最新データと合わせて記事にしました。

 1回目の今回は国家医師試験です。

 記事アップ時点で最新のものは第108回国家医師試験です。まずはこちらのデータをどうぞ。

=第108回国家医師試験(合格率順)===

合格率順位/大学名/合格率/合格者数/現役合格者数/現役合格率/出・合差人数/偏差値 

1 自治医科大学 99.1 107 106 99.1 4 68 

2 筑波大学 99.0 96 92 98.9 3 70 

3 福島県立医科大学 98.9 92 90 100.0 0 68 

4 順天堂大学 98.9 91 90 100.0 0 69 

5 防衛医科大学校 98.6 69 63 100.0 1 69 

6 浜松医科大学 98.1 105 99 99.0 2 68 

7 東京医科歯科大学 97.8 89 83 98.8 0 72 

8 大阪市立大学 97.7 86 82 98.8 0 71 

9 横浜市立大学 97.5 77 75 97.4 0 69 

10 藤田保健衛生大学 97.1 101 97 98.0 6 66 

11 山梨大学 96.8 92 85 100.0 0 69 

12 産業医科大学 96.8 91 89 96.7 3 68 

13 東京医科大学 96.6 114 111 97.4 2 68 

14 名古屋市立大学 96.3 77 77 97.5 0 69 

15 日本医科大学 96.3 103 101 98.1 0 69 

16 佐賀大学 95.7 89 85 100.0 1 68 

17 兵庫医科大学 95.6 109 99 98.0 4 67 

18 札幌医科大学 95.5 106 102 99.0 0 68 

19 千葉大学 95.3 102 98 96.1 0 70 

20 東京慈恵会医科大学 95.3 102 98 97.0 0 70 

21 山形大学 95.2 99 92 97.9 9 68 

22 三重大学 95.0 113 106 97.2 0 69 

23 京都府立医科大学 93.9 93 87 96.7 0 71 

24 北里大学 93.8 105 93 96.9 8 67 

25 広島大学 93.6 103 99 99.0 1 71 

26 慶応義塾大学 93.6 102 101 98.1 0 72 

27 鳥取大学 93.5 86 80 95.2 0 69 

28 埼玉医科大学 93.5 101 101 97.1 0 65 

29 岐阜大学 93.4 85 81 97.6 3 70 

30 琉球大学 93.3 98 87 98.9 0 68 

31 弘前大学 93.2 109 103 93.6 1 67 

32 和歌山県立医科大学 92.8 77 74 92.5 0 68 

33 東北大学 92.8 103 96 96.0 0 70 

34 秋田大学 92.7 115 112 98.2 0 68 

35 奈良県立医科大学 92.2 94 90 94.7 1 71 

36 昭和大学 92.1 116 112 94.9 12 67 

37 神戸大学 91.4 96 91 95.8 1 70 

38 滋賀医科大学 91.4 96 88 92.6 0 68 

39 福井大学 91.3 95 90 93.8 0 68 

40 大分大学 91.3 95 91 95.8 0 68 

41 旭川医科大学 91.3 94 90 91.8 2 67 

42 長崎大学 91.0 101 95 96.9 0 68 

43 東京女子医科大学 90.8 99 91 95.8 0 65 

44 新潟大学 90.7 97 94 94.9 1 70 

45 金沢大学 90.7 98 96 95.0 0 69 

46 岡山大学 90.3 102 97 92.4 0 71 

47 愛知医科大学 90.3 102 94 93.1 7 66 

48 東京大学 90.2 101 98 91.6 0 74 

49 京都大学 90.2 111 107 97.3 1 73 

50 北海道大学 90.1 91 85 95.5 0 70 

51 熊本大学 90.1 109 98 95.1 0 70 

52 東邦大学 89.9 98 83 91.2 0 65 

53 聖マリアンナ医科大学 89.9 107 90 91.8 5 63 

54 名古屋大学 89.8 97 95 94.1 3 71 

55 日本大学 89.8 97 96 90.6 2 68 

56 山口大学 89.5 94 85 92.4 0 68 

57 金沢医科大学 89.5 119 99 95.2 6 64 

58 東海大学 89.5 102 93 91.2 7 63 

59 大阪大学 89.3 100 96 93.2 0 72 

60 鹿児島大学 89.3 100 93 95.9 5 68 

61 群馬大学 89.1 98 92 92.0 0 68 

62 島根大学 89.1 90 85 90.4 0 68 

63 信州大学 89.0 97 86 90.5 1 69 

64 香川大学 88.9 88 81 92.0 0 69 

65 川崎医科大学 88.4 107 88 90.7 24 64 

66 岩手医科大学 88.3 91 77 91.7 12 63 

67 愛媛大学 88.2 97 89 89.9 2 68 

68 九州大学 88.0 88 83 92.2 0 71 

69 獨協医科大学 87.9 102 95 91.3 0 65 

70 宮崎大学 87.5 91 83 92.2 0 68 

71 徳島大学 87.3 96 92 92.0 0 68 

72 久留米大学 87.2 95 83 92.2 7 67 

73 高知大学 86.8 105 89 89.9 2 68 

74 関西医科大学 86.6 97 89 92.7 2 69 

75 杏林大学 86.5 83 76 87.4 5 65 

76 富山大学 85.0 85 79 87.8 2 68 

77 大阪医科大学 84.5 93 83 87.4 1 70 

78 福岡大学 82.1 101 84 84.8 0 66 

79 近畿大学 75.0 87 77 76.2 6 67 

80 帝京大学 64.8 83 74 67.9 6 62 

※偏差値は代々木ゼミナール(2014年5月26日現在のもの)

合格率が高いといい大学?

 合格率の高い大学は国公立大や私立大の難関校が上位に来ています。

 それだけの教育をやっている結果が反映されているのですね。

 もちろん、1~2%は誤差の範囲内、90%を超えていれば及第点なのではないでしょうか。

 まあ、みなさん、ご参考にしてください。

出願しても受験できない現役生

 というのが、去年までの説明。

 しかし、元データをあれこれ見ていると、なんかおかしい。

 …。

 ……。

 現役生の出願者数と受験者数が違うのです。

 まあ、試験は2月上旬。

 風邪だの、インフルエンザだのが流行っている時期。

 病欠の現役生も、そりゃあいるでしょう。

 だけど、ですよ。

 病欠が1人か2人ならまだしも、5人、10人というのは、おかしくない?

 上の表のうち、「出・合差人数」とは現役学生の出願者数と受験者数の差を示した人数です。

 0人、つまり、現役生の出願者が全員受験したのは千葉大、日本医科大など41校と半数を占めます。

 1人、つまり、出願者のうち、試験を受けなかった学生が1人しかいない大学も、防衛医科大学校など10校。

 一方、最多は川崎医科大学(24人)、次が12人の岩手医科大学、昭和大学。

 5人以上欠席の大学は15校あります。

 これって、どういう事なんでしょうか?

合格率を上げるために受験させない

 関係者に話を聞くと、要するに見た目の合格率を上げるために、受験させない、というのです。

 医師試験を受けても合格できなさそうな学生については、わざと留年させる。

 あるいは、卒業判定保留制度を使って、ボーダーぎりぎりの学生を追い立てるか、医師試験を受験させずに卒業させる、などなど。

 なるほど、色々な手があるものです。 

なぜ、合格率を上げるか?

 早稲田大学医療人類学研究所客員研究員・杉原正子さんの日経メディカルオンライン記事によると、

 ●現役生の合格率が70%未満の私立大は補助金カットの対象になる

 ●私立大への補助金カットが国公立大にも適用されると誤解している関係者もいる

 などが理由の模様。

 それから、杉原さんの記事にもあるように、成績が極端に悪いようなら医師として不適格の可能性もあります。

 成績不良の学生は留年させる方が適当、とも言えるでしょう。

情報公開の徹底&教育の強化

 しかし、留年や、国家試験受験・欠席の判断は各大学バラバラですし、まして、理由は非公開です。

 大変なのは学生であり、6年で卒業して国家試験に合格すれば医師になれる、という見通しが誤り、ということにあとで気づくことになります。

 もちろん、学費の負担なども大きいものがあります。

 留年の是非などをはっきりさせない大学の姿勢は不誠実、と言わざるを得ません。

 留年者数や留年の基準などをきちんと公表し、合格率が低い大学は教育を強化することなどが求められます。

受験生はどうする?

 そうは言っても、基準の公開なり、教育強化策なりは、数年先のことです。

 その間、受験生は大学選びをどうすればいいでしょうか?

 まあ、合格率の高い低いは、極端に低い大学以外はそれほどこだわる必要はないでしょう。

 ただし、オープンキャンパス・進学相談会などで、現役合格者数、出願者数と受験者数の差やその理由、留年の基準などを聞いてみてください。

 教育に自信のある大学であれば、その辺をきちんと説明できるはずです。

 あるいは、判定基準の厳しさから1年留年する可能性が高いことを丁寧に説明するはずです。

 それができない大学は、私であれば志望順位を大きく下げるでしょう。

 まあ、何にしても聞いてみることを強くお勧めします。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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