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就活相談3・企業からの電話はどうすればいい?

石渡嶺司大学ジャーナリスト
※写真は本文中とは関係ありません

就職ナビサイト経由で説明会の予約をしたところ、採用担当者から電話が来ました。予約の確認の他に就職の状況を聞かれて、「就職を進めるうえでわからないところがあれば何でも聞いて」というので少し質問して答えてもらいました。あれはどういう意図なのでしょうか?

就職ナビサイト経由で流通企業某社の説明会を予約したのですが思うところあり、キャンセルする旨、連絡しました。すると、「別の日程の説明会に参加しませんか?」との電話がしつこくかかってきます。それとなく断っているのですがどうも伝わっていない様子。強く断って他社の採用担当者に「あの学生は態度が大きい」と悪評が伝わるのも嫌ですし…。どうすればいいでしょうか?

あれもこれもで長電話

電話はいつも長くなりがちな石渡です、こんにちは。

本日の1枚は東京ビッグサイトの業界イベントの帰り。夕焼けと青空のコントラストが何となく面白いので撮影。

※例によって写真と本文は全く関係ありません。

さて、今回のテーマは電話。

企業が電話を使う理由

学生からすれば知らない電話番号からの着信は不審なもの、と思うようです。

私などは知らない電話番号からかかってくる、あるいはかけて取材申し込みをしたり企画売り込みをしたりするのが仕事なのですっかり慣れました。

ただ、そんな私も学生時代、知らない電話番号からの着信を普通に受け答えできたか、と言えば怪しいところ。

ま、学生の皆さんはせいぜい、慣れていくしかないですね。

企業側が電話を使う理由は、

1:説明会の予約変更受付

2:状況確認

3:情報収集(学生)

4:情報収集(他社)

5:親近感の演出(企業認知度の向上)

の5点。

もちろん、1・2は就職ナビサイトやメールなどでもやり取り可能です。

電話だとメールなどよりも手間がかかって大変なことは言うまでもありません。

なぜ、その手間をかけるかと言えば3・4の情報収集、それから5の親近感の演出です。

ナビサイトやメールではどうしても文章だけですから学生像がいまいち伝わってきません。

その点、電話だと、姿は見えなくても肉声でやり取りするわけですからどんな学生かが伝わってきます。電話の受け答えからマナーなどもわかるものです。

そうした学生個人の情報を収集したい、というのもあるでしょうし、それよりも多いのが他社の状況。

毎年、どのタイミングで選考を進めるか、内定を出すか、などは結構、採用担当者の悩みどころです。

特に今年(2015年卒採用)については、例年以上に学生側の売り手市場であることに加え、2016年卒採用から実施の就活後ろ倒しの影響で2015年卒採用で多めに採用しようとする企業が増えています。

つまり、今年の2015年卒採用だけ見れば相当な売り手市場と変化しました。

売り手市場に急変したため、例年通りのスケジュールではうまく行かないこともあり、早いところでは1月下旬あたりからすでに選考開始ないし内々定出しまで行っています。

さすがに大手企業だとマスコミ以外はないようですが、それでも水面下では進んでいる可能性もあります。

この辺、企業の採用担当者が学生に電話して把握したい、という思いもあります。

たかが電話、されど電話で親近感

情報収集以外の目的としては5の「親近感の演出」があります。

演出が言い過ぎなら企業好感度を上げること、くらいでしょうか。

企業・採用担当者にしろ、学生にしろ、就活のプレーヤーは人間です。

アナログな電話で話しているうちにお互いに親近感が湧いてくる、ということだってあり得ます。

その辺を狙って、あえて電話に、という企業も出てきました。

目的がどれか1つ、というよりは2~5の複合と言う方が正確でしょう。

電話を企業側がかける目的は上記のような理由。

学生は電話が来て時間があれば普通に受け答えしていればいいのではないでしょうか。

説明会予約、しつこくする企業は…

一方、説明会予約をキャンセルしても追加日程などで振り替えを勧める企業はどうでしょうか。

考えられる理由としては

1:どうしてもその学生に来てほしい

2:大量採用したいが、説明会の予約状況が悪い

のどちらか。

知名度の低い企業や中小企業だと、来てほしい学生にはピンポイントで連絡する、ということはあり得ます。

大企業でも、どうしても欲しい学生だとやはり連絡してくるのはあり得ます。

しかし、ナビサイトで説明会を予約してからキャンセルしている、ということは1「どうしても欲しいから連絡」の可能性は低いですね。

となると、2「大量採用したいが予約状況が悪い」という理由が有力。

本来、多少でも機転の回る採用担当者であれば、あまりしつこく学生に電話すると、逆効果であることはわかっているはずです。

これは内定者つなぎ止めであっても説明会の追加受付であっても何でも同じ。

その辺、わかっていて電話で説明会を勧誘しているなら、

「電話でうるさく言えばしまいには学生が折れるだろう」

という、小ずるさを感じます。わかっていないならそれはそれでどうかと思いますし。

企業側の思惑はともかく、学生からすればその説明会に行きたいかどうか。それ次第です。

行きたくないなら、はっきりと断ってください。

別に断ったからと言って他社の選考が不利になる、なんてバカなことはまずないのでご安心を。

もしも、断ってもなおしつこく電話してくるようなら大学キャリアセンター等に相談してみてください。

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大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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