都知事選の有力5候補、教育・就職・雇用政策で比較してみた

都知事選の告示直前、いかがお過ごしでしょうか?

今回のテーマは都知事選です。

反原発か否か、

過去に除名された

とか、

1億円借金をした

とか、

本田圭佑が好きか嫌いか

とか

前回選挙のスローガンがちょっと痛いダジャレだった

とか

何回出れば気が済むんだ

とか

まあ、色々ありますが、

そんなこたあ、どうでもいいんです。

反原発は争点の1つにはなるでしょうし、候補個人の資質も大事。

しかし、

もっと大事なのは政策のはずです。

で、他の政策は他の方にお任せするとして、この記事では私、石渡の専門分野である、教育、大学、就職・採用・雇用、このあたりに注目してまとめてみました。

都知事選の有権者の方は投票のご参考までに。

※以下、各マスコミの報道等から有力候補者5人を選び、アイウエオ順で並べました。

※紹介にあたってはできるだけ各候補、平等になるようにしました。ただし、政策として公表している情報量などに差があるため、多少のバラつきが出ています。

※項目3「主な支援政党・有力者」は政党・労働組合の推薦や支援表明・勝手連支援なども含みます。

宇都宮健児候補

1)公式サイト中、政策の文字量13105字

2)サイトトップのスローガン

新しい東京を、はじめよう。

3)主な支援政党・有力者

社会民主党、日本共産党

4)教育関連の主な政策

●「子育てしやすい環境づくり条例」で、待機児童ゼロ、学童保育・児童館の充実などの子育て環境を整えます。

●教育現場への押し付けをなくし、すべての子どもたちが生き生きと学べる学校をつくります。

5)就職・雇用関連の主な政策

●「くらし・住まい・雇用保障条例」を制定し、都民がいつでも頼れる東京都版の生活保障システムをつくります

●働きやすく、だれでも人間らしく生活できる生活保障をつくります。

6)石渡からのツッコミ

政策からの文字量は有力5候補中、トップの13105字。

さすが、前回も立候補している元・日弁連会長です。

文字量が多ければいい、という問題ではないのですが、知事選への熱い思いが伝わってきます。

宇都宮候補の政策、全部挙げていくと他の候補は何なんだ、という話になるくらいの分量でした。

教育政策についても、

待機児童解消のため認可保育園の定員2万人増加、都立短大の新設、高校・私立大進学者への給付型奨学金制度導入など

就職・雇用政策についても、

ブラック企業規制条例の制定、最低賃金1000円への引き上げなど、

かなり細かいです。

ただ、本当に実現できるのか、

という疑問はどうしてもぬぐえません。

たとえば、

「都立短大の創設」

とありますが

これだけでも、数十億円は簡単に吹っ飛びます。

政策が細かい分、ツッコミどころが多くなるのも宿命とは言え、大丈夫なんでしょうか?

田母神俊雄候補

1)公式サイト中の政策の文字量3009字

2)サイトトップのスローガン

東京を守る!東京を育てる!東京を創る! 強く、たくましく、優しい「心のふるさと東京」を!

3)主な支援政党・有力者

石原慎太郎(日本維新の会共同代表)、平沼赳夫(日本維新の会代表代行)

4)教育関連の主な政策

●心と心が通い合う教育支援・子育て中の保護者に対する多様な子育て支援策をいっそう推進、強化し、東京に生まれ育つ子供とその家族を全力で守り、支援します。

●世界の一流大学の世界最高の知性を集め、インターネット上で、世界の学生が世界最高の講義を受けられるインターネット国際大学を首都大学東京に増設します。

5)就職・雇用関連の主な政策

●安倍政権との相互協力を実現し、東京オリンピックに向け、東京都をアジアで最も豊かで活気ある産業経済都市に育て、創り上げていきます。特に中小零細企業の活動を独自の施策で支援します。

●四月に実施予定の消費税増税に備え、政府と協力連動しながら、東京の景気維持と雇用確保を実現し、若者や中高年の「人生再チャレンジ」を支援していきます。

6)石渡からのツッコミ

元・航空幕僚長にして保守派のスターだけあって、支援者にも保守派の論客がずらり。

政策も、自民党は除名処分の舛添候補を支援するより、田母神候補の方が良かったのでは、と思えるほど安倍内閣支持が目立ちます。

教育については子育て支援はスローガン先行で他候補との違いが分かりませんが、

インターネット国際大学

これを首都大学東京に増設、という点がユニークです。

既存の公立大学である首都大学東京にさらに大学を増設、というのがいまいちわかりづらいのですが、

首都大学東京の学生が選択で受講可能な教養課程、あるいは学部・大学院新設など方法はいくつか考えられます。

マイケル・サンデルやティナ・シーリグなどを引っ張ってこられれば、これはすごい話。

このインターネット国際大学のすごさに比べて、就職・雇用問題となると寂しい限り。

「中小零細企業の活動を独自の施策」

とありますが、これって、大コケした新銀行東京の再来でないことを祈ります。

そもそも、これを無理やり、就職・雇用政策の項目に入れなければならないほどなので、あんまり関心がないようにも思えてなりません。

ドクター中松候補

1)公式サイト中、政策の文字量53字

2)サイトトップのスローガン

直参旗本、出番です! ドクター・中松は直参旗本の家系で東京四百年の江戸っ子

3)主な支援政党・有力者

不明

4)教育関連の主な政策

なし

5)就職・雇用関連の主な政策

6)石渡からのツッコミ

さすが選挙の常連にして、発明家。選挙の公約は53字のみ。

消費税減税、そして

「オリンピック成功さすプロ!」(原文ママ)

発明家ともなれば、「私はオリンピックを成功させます!」なんて当たり前のことは言いません。

「成功さすプロ!」、この言い回し、一般人にはなかなか理解しがたいところ、さすが発明家。

そうかと思えば、

「他の候補は左か右 そのど真ん中の中松は都民の味方!」

というダジャレをお使いになるあたり、ちょっとほっとさせられます。

教育も雇用も政策はどこにもでてきませんが、発明家の頭には解決策が色々あるはず。

それを一般人にも読めるようにしていただけなかったのは残念です。

細川護煕候補

1)公式サイト中、政策の文字量2515字

2)サイトトップのスローガン

オリンピックまでに東京を変える

3)主な支援政党・有力者

小泉純一郎(元首相)、民主党、生活の党、結いの党

4)教育関連の主な政策

●人々の違いを認識・尊重し、自助・共助・公助で、若者、女性、高齢者、障がい者、子どもたちが生き生きと暮らすまちづくりを率先します。

●「待機児童ゼロ」を任期の間に早急に実現します。全国の先進事例に学んだ行動計画をつくります。

5)就職・雇用関連の主な政策

●「女性が働きやすい社会」、「男性も子育てに参加できる社会」を東京からめざします。女性の正規雇用への転換を促進し、ワークライフバランスの推進に取組む企業を支援します。

●国家戦略特区を活用し、同一労働同一賃金の実現を目指すとともに、ハローワークは、国から都へ移管し、民間の職業紹介とも合わせてきめ細かな就業支援を実現します。

6)石渡からのツッコミ

14日の細川・小泉会談から正式な出馬表明まで8日空いただけあって、さすがに政策の分量はそれなりのものになりました。

ただし、やはり、小泉元首相の主張する「原発ゼロ」がトップに来ていて、他は教育にしろ、雇用にしろ、付け足しとの印象がぬぐえません。

教育政策では「待機児童ゼロ」のスローガンは他候補と同じ。

「全国の先進事例に学んだ行動計画」はよく言えば謙虚な姿勢ですが、悪く言えば、これから決めていくということなんでしょうか。

就職・雇用政策では

「男性も子育てに参加できる社会」

が目立ちます。有力5候補中、一番政策の分量が多かった宇都宮候補すら指摘していないテーマで、それでいて結構切実な問題です。

スローガンだけ、とはいえ、当選後、どのような政策を展開していくか注目したいところ。

「同一労働、同一賃金」も注目ポイント。制度の是非はここではおくとしますが、年功序列社会や正社員の雇用緩和、派遣・パート労働者の権利強化、その他、様々な影響があると言われ、雇用の専門家の間でも賛否が分かれています。

「きめ細かい就業支援」はスローガン先行。

全般的に、意欲ある政策と言えなくもない反面、もう少し具体的な政策がなかったかとも言えます。

舛添要一候補

1)公式サイト中、政策の文字量554字

2)サイトトップのスローガン

東京を世界一の都市に。

3)主な支援政党・有力者

自由民主党、公明党(都本部)、連合東京

4)教育関連の主な政策

●世界に通用する人材の育成と骨太の教育改革

●共働きでも安心して産める子育て環境の構築

5)就職・雇用関連の主な政策

●やりがいのあるしごと、雇用の創出

●中小企業の育成で世界をリードする産業・人材都市

6)石渡からのツッコミ

政策の分量はドクター・中松に次ぐ少なさ。

出馬会見では脱原発の争点化について、

「国民の大多数は原発依存をやめることで一致している。(原発推進、反原発の)2陣営の戦いという理解はできない」

としてけん制、厚生労働相の実績をアピールしていましたが、その割にちょっと政策は寂しい限り。

教育について、「子育て環境の構築」とあります。待機児童問題の解決などは他候補と変わらないはずで、やはり厚生労働相の経験から言える話をもっと盛り込んでほしいところでした。

「世界に通用する人材の育成」は英語教育の重視やグローバル教育校の支援などということでしょう。

厚生労働相の重要政策であるはずの雇用政策については教育政策以上に簡素なスローガンのみしか出ていません。

「やりがいのあるしごと、雇用の創出」はその通りなんです。まさか、これを軽視する候補はそうそういないでしょう。

問題はこれをどう実現していくか、のはず。

「中小企業の育成で世界をリードする産業・人材都市」は善意に解釈すれば、中小企業の雇用を促進するとも言えますが、これを「就職・雇用関連の政策」に入れなければならないあたり、かなり苦しいところ。

当選の可能性が高い有力候補の政策としては残念としか言いようがありません。

都民は投票を!

以上、5候補の政策についてみてきました。

見比べた感想としては、どの候補もスローガン先行であること。

ただ、スローガン先行ながら、政策や政治信条の違いなどがそれぞれ出ていることは意外な発見でした。

東京都知事選挙は23日告示、2月9日に投開票です。

有権者である東京都民の方には、本記事あるいは各候補の政策や演説などを検討のうえで投票に行くようお願いします。

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。2018年は肩書によるものか、バイキング、ひるおびなどテレビ出演が急増。ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。主な著書に『大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ)『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)『女子学生はなぜ就活に騙されるのか』(朝日新書)など累計28冊・55万部。

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