少し遅かったワクチン接種

 せっかくワクチン接種が軌道に乗ってきたところで、突然ワクチンの供給が少なくなって、初回の接種を全国的にストップしているところです。幸いにも死亡率が高い65歳以上の方にはかなりワクチン接種が進んでいるようです。

 残念ながら東京ではデルタ株が蔓延し、感染者が増加しています。そのために国民が楽しみにしていた東京オリンピックも無観客となりました。無観客は残念なことですが、今の国民の世論と感染の拡大状況を考えれば政府もあまり無理はしたくないところだと理解はできます。

ワクチン接種で死亡者はかなり減った

 さてコロナの最前線で勤務している医療関係者は3~4月、それ以外の医療関係者も6月ごろにはワクチン接種は終わっているはずです。そして死亡率が高いとされる65歳以上の高齢者にもかなり多くワクチン接種が行き届いています。そのために大都会でデルタ株による感染者数が増加していますが、65歳以上の死亡者数はそれほど増えていません。

 これは海外でも同じような状況です。イギリスではかなりワクチン接種が普及していますが、死亡リスクの低いワクチン未接種の若者にデルタ株が蔓延し、1日の感染者数は5万人を突破しています。しかし、死者数は50名前後です。イギリスの人口は日本の約半分ですので、日本の感覚では約10万人の感染者数と約100人の死亡者が毎日出ている感じです。それでも次第に通常の生活に戻すようにしています。

不安を煽るマスコミ

 先日の共同通信の配信では、「英の新規感染者5万人超え 若者中心にデルタ株拡大」と不安を煽るような表題になっていますが、内容を見れば死亡者数はそれほど増加してないことにも言及しています。それなら「イギリスで感染者数が増加するも死亡者数はそれほど変化がない」というような表題にした方が良いのではないでしょうか?

 不安を煽ることで記事の注目度とか視聴率が稼げるようですが、必要以上に国民を不安に陥れる事はマスコミの責務ではないように思います。

優先的に医療関係者がワクチン接種を受けた理由

 私の勘違いかもしれませんが、医療関係者にワクチンを早く接種する第一の理由としては、新型コロナ感染症の治療に当たっている最前線の医療関係者の感染を予防するためでしょう。多くの場合は大病院の医療関係者で、全体の20%位と思います。その他の医療関係者は患者さんが減ったり、手術数が少ないなど新型コロナウィルス感染症の患者さんに接する機会はそれほど多くないと思います。現在我々が頑張って行っているワクチン接種においても基本的には発熱している方は来られませんので、感染のリスクはそれほど高くないと思います。

 医療関係者に早期にワクチン接種をするのは間違いだとは思いませんが、ワクチン接種を終えた先の戦略は何だったのでしょうか?

 現在日本で欧米より少ない感染者数で緊急事態宣言を出さなければいけない背景には「医療の逼迫」が大きく関係しています。これは新型コロナウィルスが第2類相当の感染症に分類されているので、一般の病院では入院治療が困難なためです。そしてこれまで何度も指摘されているように多くの病院が民間病院なので新型コロナウイルスの患者さんを受け入れる体制ができていません。つまり今までは医療体制の問題があって、どうしようもなかったのだと思います。

そろそろ新型コロナウイルスを第5類にする議論を始めたらどうでしょうか?

 ほとんどの医療関係者にワクチン接種が行き渡り、死亡リスクが高い65歳以上のかなりの方がワクチン接種を受けた現在、新型コロナウィルスを第2類相当にとどめる理由があるのでしょうか?

 感染者数は増えても死亡者数はかなり抑えられていることからも、季節性のインフルエンザや肺炎と同等のレベルに近づいているような感じがします。インフルエンザやその他肺炎に罹患しても、従来はどの病院でも入院加療ができていました。そして、厳格に追跡調査する必要はありません。今まで新型コロナウィルスを第2類から第5類に格下げするべきであるとの意見がありました。医療関係者としてはワクチン接種してない時は少し危険だと思っていました。

 しかし、医療関係者や多くの高齢入院患者さんのワクチン接種が終了している現在において、院内感染の危険性はかなり低くなったのではないでしょうか?まだ中年や若者にワクチン接種が普及していないのは残念ですが、その年代の死亡率は高齢者のよりかなり低いので、そろそろ第5類に変更する時期が来ているのではないでしょうか?

 第5類に変更することで医療逼迫は改善します。また保健所の業務もかなり軽減されます。そして何よりも経済は回り始めます。東京オリンピックの無観客は残念でしたが、なるべく早く新型コロナウィルスを第5類相当にする議論を始めていただければありがたいです。