「嫁」・「主人」が死語になる日; 言葉狩りと非難しない前向きな対応を

女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森会長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会・会長が女性蔑視発言で辞任されました。当初はこれを容認する声もあったようですが、次第に海外からの圧力が強くなり、とうとう辞任に追い込まれました。森元会長に1人に責任を押し付けているように思いますが、多くの中高年男性は少なからず女性に対して上から目線の言動をしているような気がします。

「嫁」論争

 先日俳優の松山ケンイチさんが妻の小雪さんを「嫁」と呼んだことについてネットで賛否両論、熱い議論が交わされていました。関西では妻のことを一般的に「嫁」と呼んでいる方が多いようです。「嫁」や「家内」「奥様」などは「女性は家事」を連想させるためにあまり推奨されません。

「主人」・「亭主」も問題

 また主人や旦那・亭主と言う呼び方も気にかかる人が多いようです。ゲンナイ製薬が2019年8月に既婚女性を対象に行ったアンケートでは、配偶者を第三者に紹介する時に「旦那」と呼ぶ人が52.6%が、「夫」と呼ぶ人が30.2%が、「主人」と呼ぶ人が4.7%がと呼んでいるということです。私は「主人」と呼ぶ人はもっと多いと思っていましたが、実際はかなり少なくなっているようですね。「旦那」や「主人」には主従関係を連想しますので、あまり使わないほうが良いでしょう。

呼び方に困る?

 ではどのような呼び方が良いのでしょうか?ハフポスト日本版では2020年に「異性カップル間の、夫の『呼称』に関するアンケート」を実施しました。それに関して湊彬子さんが配信しています。「会話相手の配偶者に触れる際の呼称」に悩んでいるという方が多かったようで、夫や妻という言い方やパートナー・連れ合いなどが良い候補に挙がっています。ただパートナーは日本語ではないので、新しい呼び方を求める人もいるようです。中国では夫・妻共に「愛人(アイレン)」と呼びますが、日本では使いにくいですね!

「言葉狩り」ではない対応を

 このような議論をすると、一見「言葉狩り」的に思われる方も多いと思います。言葉そのものが力を持ち差別的な意味合いが含まれていれば、是正していく努力をすべきだと思います。今や死語となったし「スチュワーデス」という言葉に関しても、その言葉自体に差別的な意味があり、さらに男女の差別も助長すると言うことで、全日空では1987年まで、日本航空でも1996年以降使用されなくなり、現在では「キャビンアテンダント」とか「客室乗務員」という言い方をします。私たちが若い頃には当たり前のように「スチュワーデス」と呼んでいましたが、今そのような呼び方をすれば少し恥ずかしいかもしれませんね。

 もっと昔は身体障がい者に対する呼び方もかなりひどいものでした。視覚障がい者に関しては「〇〇〇」、聴覚障害者に関しては「〇〇〇」、四肢の障害のある方に関しては「〇〇〇」など、今では放送禁止用語になっています。(〇〇〇はとても言葉にはできません。ご容赦ください)差別されない側からすれば一見問題なさそうな言葉でも、差別される側にたって考えてみれば人を傷つける言葉だと認識されれば、使わないほうが良いでしょう。

名称変更に海外でも戸惑いが

 海外でも男女差別に関する言葉にかなり以前にメスが入りました。ちょうどその頃に英会話を習っていた私はその変化に少し戸惑いました。男性だけの職業じゃないと、警察官を意味する「ポリスマン」は「ポリスオフィサー」に、消防士を意味する「ファイヤーマン」は「ファイアファイター」に、「ビジネスマン」は「ビジネスパーソン」などに次々と置き換わってきました。最初は違和感があったようですが、次第に馴染むようになり今や昔の呼び方の方が不自然に思えてきます。このように男女共同参画に熱心な欧米でさえ昔は大きな問題を抱えていました。

女性に対する問題だけではない

 このような名称の変更は女性に対してだけではありません。日本でも主に女性の職業とされていた「看護婦」や「保母」に関しても、次第に男性が参加するようになり、「看護師」や「保育士」という名称に改まっています。

 ジェンダーギャップ指数121位の日本では相当な努力をしないと女性蔑視は改善しないのではないでしょうか?そのため「言葉狩り」的に思えるような呼び方の変更にもう少し寛容に対応していくことも必要でしょう。