森会長を糾弾するほど私たちはジェンダーギャップに気を配っているのでしょうか?

森会長だけの問題ではない日本のジェンダーギャップ(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 森会長の発言を容認するものではありませんが、私たちは森会長を糾弾するほどジェンダーギャップに気を配っているのでしょうか?先日のコラムでも書いたように日本のジェンダーギャップ指数は調査の度に低下していきます。

ジェンダーギャップ指数改善に向けて

 ジェンダーギャップ指数は、「経済・政治・教育・健康」といった4つの分野があります。例えば経済界では労働力率の男女比・同種業務での給与格差・勤労所得の男女比・幹部・管理職での男女比・専門職・技術職の男女比 などです。

 現在多くのマスコミをはじめスポンサー企業も森会長の発言を非難し始めています。報道機関としては当然のことでしょうが、自分の会社の役員に女性が何人ほどおれるのでしょうか?

 主だった放送局の役員は簡単に調べることができます。例えばNHKニッポン放送TBSフジテレビ朝日放送などの中には女性役員がおられない放送局もあります。例え女性役員がいたとしてもごく少数です。森会長の発言は企業の方向性と合わないと声明を出したトヨタには女性役員がおられるようですが、それでも少数です。このように森会長を非難している企業ですらこのような状況ですから、当然ジェンダーギャップ指数は悪化するのも仕方がないと思います。各企業は森会長の発言を非難するだけでなく、自身の会社のジェンダーギャップ指数の改善に努めてほしいと思います。

パートナーの呼び方にも注意が必要

 さらに差別を受けているとされる女性の側にも問題があるように思います。さきのコラムで指摘したように多くのマスメディアは男性には〇〇さん、女性は〇〇ちゃんと呼んでいる場面をよく見かけます。非難する人はいないようですが、このような呼び方も大きな問題だと思います。

 女性問題に詳しい方でも「うちの主人がね‥」という言い方をされます。女性問題の専門家からすれば自分の夫を「主人・旦那」と呼ぶことも問題だと言われます。このような呼び方が男女の差別を助長していると言うのです。

 多くの方は「そんな細かい事まで・・」と言われますが、もし妻が「私の主人がね・・」と海外で話した場合、通訳が「husband」と訳してくれればよいのですが、「 master」と訳されたら相手は戸惑うでしょう。また夫が妻を「おい」とか「お前」とかで呼びますが、これは完全に上から目線です。私も会話の中で「うちの嫁さんが・・」とか「家内が・・」とよく使いますが、これも女性団体の方からすれば女性を家に閉じ込めておくような言い方で良くないと言われています。

 細かいことですがこのような積み重ねが日本のジェンダーギャップ指数を悪化させているように思います。森会長の発言を非難するならご自身の現在のジェンダーギャップに関する取り組みも見直してみた方が良いのかもしれません。

SDGsの取り組みにはジェンダー平等の達成が不可欠

 国連は「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goalsいわゆる「SDGs」)を提唱して、多くの国や企業がその実現に努力をしています。

「SDGs」は、様々な貧困を解消するためにはジェンダー平等の達成が不可欠としています。しかし、残念ながら様々な面で女性が差別を受けているというのが、世界の共通認識となっています。そもそも、ジェンダーギャップ指数が100位以下の国が国際的なイベントを招致する方が不自然だったような気もします。しかし、来年冬のオリンピックを主宰する中国のジェンダーギャップ指数は106位とやはり低いです。ちなみに韓国も108位と東南アジアの経済的に発達した国のジェンダーギャップは悪いですが、国際大会が主催できるのは経済力が優先するのでしょうか?そういう意味ではIOCにも責任はあるように思えます。

 新型コロナウイルスで日本社会は大きな変化が起きていますが、森会長発言を機にジェンダーギャップに関しても大きな改善がおきることを期待します。