森会長、日本のジェンダーギャップ解消のためにも辞めないでください

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

会長よくぞ言ってくれました

 逆説的な言い方で申し訳ありませんが、私は「森会長よくぞ言ってくれました」と思っています。多くの重要な会議に女性があまり登用されていないのは、同じように思っている男性が多いからでしょう。ある自治体の男女共同参画プランでは女性管理職の割合を30%まで引き上げる目標以外に審議会等委員における女性の割合を40〜60%にする目標を掲げています。残念ながら全く女性がいない審議会も10%ほど存在しています。

 しかし、今まで女性がいなかった防災会議に女性が参加することによって、避難所における妊産婦の環境の改善につながったと思います。男女同権といっても男性の考えること・女性の考えることには違いがあります。そのためにも会議には男女が均等に参加することが好ましいと思われます。さらにLGBTsの方への配慮も必要でしょう。

森会長の発言は世間の感覚と大きくずれているのか?

 森会長の発言によって会長を辞任すべきであると言う意見も多数見られます。しかし大した問題ではないので辞任するほどのことではないという意見も少なからずあります。私はこれが一番大きな問題だと感じます。ある識者は「森会長の発言は世間の感覚と大きくずれている」と言っていますが、私には「世間の感覚と森会長の発言はずれていない」と感じます。

「欧米では一発アウト」のような意見もありますが、逆にいえば日本ではセーフと言うことでしょう。例えば千葉県の青少年健全育成のポスターの「ママ見てね スマホじゃなくて ぼくの顔」という標語に関して多くの批判の声が上がっています。当然このようなポスターは公開される前に多くの人のチェックを経てきたと思います。しかし誰もこのことに関して問題にしなかったという事は一般的、特に男性の意識は森会長の感覚とあまり変わらないのではないでしょうか?

 NHKのある番組でも男性に向かっては〇〇さんと姓で呼んでいるのに対して、女性に対しては〇〇ちゃんと名で呼んでいます。天下のNHKですらこのようなことに全く気にしてないのは残念です。

 2年前に医学部の入試で女子学生の点数を不当に低く扱い、女子学生の入学チャンスを奪うという大きな問題が起きました。背景には過酷な勤務である医師に出産や子育てを担う女性は不向きであるとの発想があります。確かに今の医療現場は過酷です。その過酷な労働現場を改善することなく女性を排除するのは男性にとってもよくないことだと思われます。この問題は文科省等の指摘によりかなり改善され、女子学生の入学比率は上昇しています。

女性が会議でしゃべりすぎる?

 女性が会議でしゃべりすぎるのはと言うのは科学的な調査から否定されています。この記事によりますと海外の論文でも発言が多いのは高い地位についている人だという事ですから、現在の日本社会では当然男性の方が多いので男性の発言が多いはずです。さらにこのサイトで紹介してる論文でも頻繁に発言する男性は能力が高いとみなされ、逆に女性は低いとみなされる傾向があったといいます。ジェンダーギャップに厳しい目を向けている海外ですらこのような状況です。まさにジェンダーギャップがどんどん悪化している日本においては森会長のような意識を持っている方が大多数ではないでしょうか?

悲惨な日本のジェンダーギャップ指数

 日本のジェンダーギャップ指数は2019年の110位からさらに後退し現在は153か国中121位になっています。つまり森会長はジェンダーギャップ指数121位の日本を代表する人でもありますので、辞任する必要はないでしょう。

 ジェンダーギャップ指数は政治・経済・教育・健康の4部門がについて分析されます。総合で121位ですが、健康に関しては40位です。1位になったこともあります。教育は91位とあまり芳しくありません。しかし、もっとひどいのは経済115位、政治144位です。つまり社会をリードすべき政治・経済の部門に女性の進出が遅れています。ここを変えないと日本のジェンダーギャップはなかなか改善しないと思われます。

頑張れ女性議員

 特に日本の衆議院議員に占める女性の割合は10.2%と193カ国中165位という悲惨な状況です。今回の森会長の発言において自民党の女性議員は批判をしていますが、あまり厳しく追及していないようです。自身の政治的な立場から、忖度をしているようですが、数少ない女性議員がこのような態度をとれば日本のジェンダーギャップが改善するのはかなり難しいでしょう。

 さらに一部の野党の女性議員があまり重要でないような問題を繰り返し政府に質問している映像が流れています。女性議員に限ったことではないでしょうが、このような無意味と思える発言を繰り返す女性議員の映像が繰り返し流されることによって、女性の印象が悪くなっているような気がします。そういう意味でも女性議員にはもっと頑張っていただきたいと思います。

男性だけの問題ではない

 森会長の発言は男性だけの問題のように思いますが、女性の社会にも当てはまることがあります。先日、女性を支援する団体から講演会を依頼されました。緊急事態宣言下ですのでリモート会議を提案されました。その時に事務局から提案された時間は17~20時です。この時間帯は女性に限らず子育てをしている家庭では一番忙しい時間です。私も孫を迎えに行って、夕食の世話をするので忙しい時間帯です。そこで事務局に「申し訳ないのですがこの時間帯は子育てをしている方にとっては大変忙しい時間帯です。女性の支援をしている団体の方がこのような時間帯で会議を設定されるのは非常に残念に思います。」というような内容のメールを返しました。後日、日中の時間帯の会議を提案していただきました。

 通常勤務の9~17時以外に会議やカンファレンスを入れる事は子育てをしている世帯にとってはかなりの圧迫になるので極力避けるべきであると再三提言していますが、多くの組織ではあまり守られていません。女性を支援する団体ですら、このような時間帯を提案されていてはジェンダーギャップなど解消するはずもありません。

森会長、辞任しないでください

 森会長を直接知っている方は、非常に人間性が豊かな方だとおっしゃっています。つまり本音を口に出してくれるタイプだと思います。意識では女性を蔑視しているが、口には出さないというタイプよりはよっぽど良いのではないでしょうか?

 日本のジェンダーギャップを一気に解消するためには海外からの圧力、いわゆる黒船に頼るしかないのではないでしょうか。海外に日本のジェンダーギャップを認識していただくためにも私はあえて森会長に留任していただくのを望みます。