心配事は1つで良い:パンデミック時の自然災害を想定した対策はあるのか?

東日本大震災から9年:福島県いわき市(写真:ロイター/アフロ)

各国で異なる感染症対策:医療崩壊を防ぐのが重要

 新型コロナウィルスはパンデミックとなり世界中に広がっています。今や欧米が中心地となりつつあります。先日もコラムに書きましたが、感染症対策には国家体制や先端技術が大きく関与します。それに加えて宗教や民族性も大きな要素です。そのために各国で同じような対策が取れるわけではありません。

 日本の対策に関しては、当初PCR検査を限定したことによって一部の専門家から非難の声が上がりました。しかし、PCR検査を多くの方に施行し、軽症患者さんが医療機関に殺到すると院内感染のリスクも高くなり、医療崩壊が起こります。イタリアの現状を見ると、現在ではPCR検査をむやみにやるべきではないと言う意見が多くなってきているように思います。

感染防御よりも緩やかな流行へのシフト

 多くの人が感じるように、日本では感染の爆発的な流行を避けて、時間をかけて緩やかな流行を目指しているようです。暖かくなってウィルスの勢いが落ちてくれば幸いでしょうが、これは専門家すら予想ができません。そして緩やかな感染がいつごろ収束するかも予想が立ちません。イギリスでは国民の6割前後が感染すれば流行は収まると乱暴な議論が起きているようです。確かに国民の多くが感染すれば流行は治まりますが、問題はその速度です。専門家が緩やかな流行で時間稼ぎをすることを推奨するのは、医療崩壊を防ぐ以外にも対処法、治療薬、ワクチンなどの開発の時間を稼ぐためです。

自然災害の多い日本の対応は?

 政府の本音は分かりませんが、感染に関しては緩やかな流行にもっていきながら、いまだにオリンピックの開催にはこだわっているようです。東京でオリンピックが決まった時に私は猛暑の日本で開催すること以外に、地震などの自然災害の多い日本でどのように対応するのだろうかと思っていました。多くの競技場は耐震性が優れていると思います。そして首都圏では耐震性の高い建築物が多いのでそれほど心配することは無いのかもしれません。

 日本国中で新型コロナウィルスの感染者がじわりと増えている状況で、あまり不吉なことを言うのは憚ります。新型コロナウィルスの流行に関してはあまり科学的根拠のない不安感を煽るのは避けた方が良いとコメントをしていますが、パンデミック時の自然災害に関してあまり発言している人がいないので今回は皆さんに考えてもらうためにも発信をしました。

自然災害とパンデミックの対応は真反対

 幸い今の季節は台風や豪雨の少ない時期です。しかし、何時地震が襲ってくるかは分かりません。パンデミック中にも石川・長野・福岡県で震度3以上の地震が起きています。自然災害とパンデミックの対策は真反対です。自然災害は安全な避難所に多くの方を集めて落ち着くまで滞在してもらいます。パンデミックはなるべく人を隔離することが基本です。パンデミック時に自然災害が起こった場合、多くの人を避難所に集めて一定期間避難していただく事は感染のリスクになる事は容易に想像できます。

 災害を最小限に予防し、犠牲者を少なくするのはもちろんのことですが、二次災害を予防するのが次の目標です。例えば熊本の震災では家屋の倒壊などで約50人の方が亡くなられました。しかしその後の関連死は200名以上でした。避難所では自家用車を持ち込んで寝泊まりしたためにエコノミークラス症候群を起こし、肺塞栓症で亡くなられた方が約30名でした。これらの被害は対策をとることで避けられたかもしれません。

二次災害の予防には日ごろの活動から

 東北大震災や熊本震災の教訓から、我々は日本原始力発電所協会を設立し、自転車発電の普及活動を行ってきました。平時には健康増進の目的で発電型自転車をこぎ、スマートフォンなどの充電に利用する。イベント事には自転車発電でイルミネーションを点灯するなどの活動を近畿地方で行っています。そして地震などの有事の際は、発電型自転車で小型の浄水器を駆動させれば安全な飲み水が確保できます。

 避難した方が自分で電気を作り、携帯電話などが使えるようになるとストレスも減るでしょう。そしてさらに重要な事はエコノミークラス症候群の予防です。エコノミークラス症候群の予防には足の運動と水分の補給が重要です。発電型自転車で浄水器を駆動させるとかなりの予防効果があると推定できます。そのために日常からこのような自転車発電機の推進活動を行ってきました。

パンデミック時の自然災害への対応は?

 パンデミック時の自然災害対策はどうすれば良いのでしょうか?それは被災者を避難所に多く集めるのではなく、できるだけ早く安全な地域に避難させることでしょう。現在、新型コロナウィルスの世界的流行で日本のインバウンドが壊滅的打撃を受けています。各地の宿泊施設はかなり余裕があると思います。あまり不吉なことも考えたくないのですが、政府の災害対策の責任者の方は、ある地方で自然災害が起こった場合に安全な地域にどのように避難するのか?その時の宿泊施設にどれぐらいの余裕があるか?を把握することが必要でしょう。宿泊施設を管理するサイトは多いので、このような作業はそれほど難しいことでは無いと思います。

心配事は一つでよい

 私が今できる事は地震などの自然災害が起こらないことを祈るばかりです。オリンピックの開催に水を差すわけではありませんが、新型コロナウィルスの流行が収束しないうちに開催すれば、2つの心配事を抱えることになるのではないでしょうか?お前は心配のしすぎだ、不安を煽りすぎだとのご非難もあるかもしれませんが、指導的な立場に立っている方はある程度の予想はつけて、シュミレーションしておいた方が良いと思います。備えあれば憂いなし。冷静な対策を示すだけでも国民の不安が軽くなるのではないでしょうか?