案外知られていない「ダイヤモンド・プリンセス」での災害派遣精神医療チーム(DPAT)の活動

「ダイヤモンド・プリンセス」での検疫活動(写真:REX/アフロ)

危険にさらされた災害派遣精神医療チーム

 クルーズ船の「ダイヤモンド・プリンセス」で乗客の心のケアに当たった災害派遣精神医療チーム(DPAT)の活動に関してはあまり報道されていなかったように思います。

 DPATの活動について日本精神科病院協会の会長が「従業員が通常通りの業務に当たったことで感染が拡大し、診療していた医療関係者が危険な状況に陥った」と政府の対応を疑問視するコメントを出しました。

 チームは2月2日~3月3日にわたりクルーズ船の他に武漢から帰国した日本人の施設等にのべ552人を派遣していました。狭い船内に閉じ込められ、いつ感染が起こるとも知れない状況では強いストレスで精神的に追い詰められるケースもあります。「不安が強く、死にたい」や「船から飛び降りたい」等の精神的なケアが必要な例が約100件位あったと言うことです。

 国からの要請を受けての派遣ですが、活動した医療関係者は2週間の経過観察が必要で、所属病院では一時勤務ができなくなった人もいるようです。ゆるい感染症対策のために、善意で参加したのに本来の病院での業務ができなくなったなど大きな支障が出ています。

感染症対策以外の支援も大切

 新型コロナウィルスに対しては感染症の専門家が1番重要な役割を果たすのはもちろんですが、今回のように得体の知れないウイルス感染症で船内や施設に数週間隔離された場合の精神的ストレスは想像を絶するものがあります。そのためにこのような精神的なケアは今後も必要だと思われます。

 残念なのは従来このようなチームは地震や台風などの災害時の出動経験は豊富でしたが、感染症に対する経験が少なかったように思います。日本環境感染学会が船内を危険と判断したため2月19日以降は船外からの相談に切り替えたと言うことです。

医療従事者を守ることが先決

 今回のコロナウィルス対策では多数の医療関係者が二次・三次感染に見舞われています。クルーズ船の場合はまだわかりやすいのですが、感染経路もわからない市中で感染がおきた場合は勤務している病院を消毒し、一時的な業務停止や縮小を求められます。

 先日も国立循環器病センターでの医療関係者の感染が判明し、しばらく外来業務を一時停止しました。こんなことが日本中で起こればまさに医療崩壊です。

遠隔医療の活用を

 幸いなことに2018年より政府は離島や僻地を想定した遠隔医療に対して診療報酬を認めてきました。医師と患者が対面するのが診察の基本ですが、今回のような感染症の場合で、心のケアをする場合は直接患者さんと対面する必要が絶対にあるとも思えません。携帯・スマホやタブレットでもある程度効果はあるでしょう。

 そしてそれを利用すれば、医療関係者は自宅や病院内からも相談に乗れるはずです。新型コロナウイルス感染症の中心である武漢では医療関係者を守るために初診の発熱患者さんは遠隔医療(非対面)をしているようです。

 今後もこのような感染症は何度も起きる可能性がありますので、感染を疑う方に関してはまずは遠隔診療も考慮したほうがいいと思います。その為にも、日ごろから非対面医療に慣れていく必要もありそうです。

 さらにある程度の作業が必要な職場では自分の身代わりになるアバターロボットなども視野に入れたら良いのではないでしょうか?技術がこれだけ発展してきたのですから医療の現場にももう少し柔軟な対応が求められます。