一斉休校、テレワークでの男性の役割とは?

テレワークで自己管理する自信はありますか?(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

新型コロナウィルスで働き方が変わる

 新型コロナウィルスの感染拡大を最小限の被害にとどめるために安倍首相は全国の自治体に当分の間の休校を要請しました。また企業に対しても時差出勤やテレワークの拡大を要請しています。私は産業医として時折企業を巡視しますが、オフィスでは多くの社員が自分のコンピューターと向き合っています。時には会議で担当部署の職員が集まりますが、地方の社員はテレビ会議を利用しています。私は常々「ほとんどの社員が自分のパソコンに向き合うのなら、1時間以上満員電車に閉じ込められて、賃料の高い都心のオフィスに全員が出社する必要があるのか?」と思っていました。

 丁度、新型コロナウイルスが流行し始めたので、私は安全衛生委員会で「この機会だからテレワークをもっと推奨してはどうか?」と提案しました。私の提案が採用されたかどうか、定かではありませんが、その企業ではしばらくの間は管理職を中心としてテレワークをすることが決まりました。最近の報道でも、都心部のオフィス街は静まり返り、昼食や飲み会を提供している飲食店がかなり厳しい状況に追い込まれているようです。マーサージャパン(東京)が企業に新型コロナウイルスの対応を尋ねた調査結果では、「時差出勤の許可・奨励」は84%、「在宅勤務・テレワークの許可・奨励」は69%、「懇親会の中止・延期」は59%であったといいます。

一斉休校で求められる父親の役割

 一斉休校やそれによるテレワークの推進には女性の働き方が大きな話題になります。特に一斉休校が報じられた時にはお母さん世代が「どう対応しようか?」と困惑している姿が映し出されました。一斉休校で困るのはお母さんもお父さんも同じはずですが、父子世帯以外の父親の困惑した様子はあまり報道されません。子供のいる共働き夫婦の間では「一斉休校」でかなり大きな騒動になったと思います。

 こんな時に夫が「妻に任せる」という無責任な態度をとれば、夫婦生活は破綻の危機に陥るかもしれません。こんな時にこそ、夫婦がリスクをシェアする必要があるでしょう。もし、妻だけが我慢して難局を乗り切ったとしても、長い目で見れば熟年離婚の火種となるでしょう。

テレワークで求められる発想の転換

 テレワークに関しても、今回の騒動の前までは主に「女性の仕事」と捉えられていた節があります。今回は男女関係なくテレワークに移行している企業が多いようです。テレワークで一番難しいのが、部下の管理や自分自身の仕事管理と言われています。上司が部下の仕事ぶりをどう評価するのか?自宅でどれだけ集中して仕事ができるか?などの不安があるようです。しかし、このような発想そのものがもう時代遅れになりつつあります。

 会社に定時に出勤して、言われた仕事を適当にこなし、それ程仕事もないのに残業してきたシニア社員にとって在宅勤務はかなり厳しいかもしれません。いままで築いてきた人間関係を大切に、退社後の飲み会など重視してきた世代にはテレワークの導入はなるべく避けて欲しかったに違いありません。

 今は有事ですので、多くの企業が手探りで始めているようですが、テレワークが一定の機能を果たして、あまり支障がないことがわかると、今後もテレワークを恒常的に取り入れる企業が増えるかもしれません。

テレワークの導入でお荷物にならないために

 ではテレワークが導入されて困るのは誰でしょうか?それは間違いなく男性のシニア社員でしょう。特に昔ながらの仕事のやり方を替えずに柔軟性のない高給の社員は危機的状況に陥る可能性があります。一方、家事や子育てをこなしながらなんとか頑張ってきた女性社員にとっては通勤時間という無駄な時間が無くなっただけ、仕事に費やす時間が増えるどころか、処理能力が早い方にとっては自由な時間が増えるでしょう。残念ながらこのような能力に関しては一般的に女性が有利のように思えます。

 日本でテレワークを導入すると都心に高いオフィスを借りる必要もなく、通勤する人もかなり減るでしょう。また東京一極集中を是正するためにも住みやすい地方で働く人が増えるに違いありません。都心部に拠点をおかないと企業の信用が保てない、求人しにくい等の理由もあるようですが、テレワークを進めるためには技術の問題よりも企業幹部やそこで働く人の意識改革の方が重要だと思われます。

 今後は様々な問題に対してのリスクマネジメントの観点からテレワークがどんどん導入されると思われますが、男性、特にシニア層の意識を替えないといつの間にかお荷物になるかもしれません。