なぜ流山市は子育て世代が増えたのか?子育てに特化した柔軟な施策が驚異の流入を呼ぶ

どの町で子育てしますか?(写真:アフロ)

人口減少が止まらない

 先日日本の人口が10年連続減少し、逆に外国人は増え総人口の2%超になったとの報告がありました。人口減少数は43万3239人と5年続けて最多を更新し、去年1年間に生まれた人は92万1000人で、3年続けて100万人を下回り調査開始以降、最も少なくなったことが深刻な問題となっています。人口が増えたのは東京、神奈川、沖縄、千葉、埼玉の5つの都県だけでした。もっと深刻なことは25歳から39歳の女性は平成20年からの10年間で21%も減ったことです。さらに人口が増えた自治体の大半が外国人の増加によるものです。

なぜ流山市が13位

 ここで注目していただきたいのはNHKが分析した人口が増加した・減少した市区町村です。人口が増加した市区町村に軒並み大都市圏が並ぶ中、流山市が堂々の13位にランクインしています。おそらく他の市区町村の増加の大きな要因は外国人の増加、流入だと推測されますが、都心に近いとは言え主だった産業がない流山市に多くの外国人が流入するとは思えません。平成30年の転入超過数はなんと全国で8位です。そして人口増加率は6年連続で千葉県内1位です。ではなぜ流山市に転入する人が増えたのでしょうか?

市区町村別人口増減ランキング( NHKの調べ)
市区町村別人口増減ランキング( NHKの調べ)

流山市人口増の要因

 なんといっても大きいのは2005年(平成17年)8月24日に開業したつくばエクスプレスでしょう。開業前の平成15年の人口は15万人くらいでしたが、開業とともに人口が急速に増え、平成31年時点で19万人を超えているようです。確かにつくばエクスプレスで都心に30分以内にアクセスでき、豊かな自然がある住環境は魅力でしょうが、それ以上に大きな要因は流山市の少子化対策、つまり子育て支援です。

まず認可保育所の新設・増設です。平成22年に17園、1789名の園児を預かっていたのが、平成31年には77園、6051名の園児を預かるまで増やしています。残念なことに42名ほどの待機児童が出ていますが、子育てがやりやすい街として評判になったために、子育て世代が大量に転入したのが大きな原因ではないかと思われます。

保育園を増やすだけではないきめ細やかな施策

 確かに、認可保育所を増やすことも大切ですが、保育園間の収容バランスを解消するための画期的な施策がうたれています。保育園を選ぶ決め手は家の近所でしょう。そのため人口密集地の保育園に希望者が殺到します。少し遠方の保育園ならまだ余裕があるにもかかわらず、断念する保護者もいると思います。そこで流山市は駅前送迎保育ステーション(平成19年流山おおたかの森駅、平成20年南流山駅)を設置し、各送迎保育ステーションと市内の保育園をバスで結び、登園・降園するシステムを導入したのです。そのため保護者は子供たちを駅に連れて行けばよいので、かなりの時間の節約になりますし、比較的余力のある保育園も活用できます。さらに学童クラブに関しても路線バスをうまく活用して、保護者と駅で待ち合わせるシステムも現在試行中です。

流山市の人口構成が激変

 共働き世代にとってこれから夏休みを迎えると子供を一人にさせておけないという悩みが大きいでしょう。流山市では夏休みの学校開放による「子供の居場所づくり」事業として、保護者が働いているか入院しているなどの事情のある小学1-4年生までの児童を対象に朝の9時から15時半まで市内の小学校で様々なカリキュラムを用意して預かっています(1日1000円)。

このような手厚い子育て支援が功を奏して子育て世代が大量に転入してきたために、流山市の人口構成が約15年で激変しています。つまり子育て世代とその子供たちが増加したために一気に人口が増えたのです。そのために流山市の合計特殊出生率は1.62まで上昇しています(全国平均1.43)。しかも子供が一人の世帯は15%、二人兄弟56%、3人兄弟24%、4人兄弟5%と子供が多い世帯が多いことからも、いかに流山市が子育てしやすい街なのかがわかります。

流山市の人口構成の変化(内閣府のHPから)
流山市の人口構成の変化(内閣府のHPから)

市外で働く人だけでなく子供のそばで働けるまちを目指す流山市

 流山市では東京のベッドタウンとして市外で働きながら子育てできるまちを目指してきましたが、さらに企業やITを活用したサテライトオフィスの誘致を積極的に行い、子供のそばで働けるまちづくりを目指しています。実際に東洋最大級の物流センターが建設中で、その中にも企業内保育園を設置しています。このように保護者目線での行政の支援ができるのは井崎流山市長の強いリーダーシップと市職員の熱意の賜物だと思います。

自治体の長は経営感覚を磨くべき

 井崎流山市長はよい取り組みをしている自治体の情報をいち早く見つけ、効果がありそうだとわかれば早々に流山市に取り込むという積極的な姿勢で市を運営されています。人口減少は自治体の存亡にも直結する大問題です。外国人の転入も結構なことですが、子育てしやすい街をアピールすることのほうが大切だと感じます。近隣の自治体が住民のための良い施策を展開しているのに、全く取り入れようとしない自治体もあります。私も時々経験することですが、「隣の〇〇市の真似はしたくない」というつまらないライバル意識やプライドをいつまでも持っていると、自治体そのものが消滅する可能性もあります。自治体間ではイデオロギーを乗り越えてよい施策があれば積極的に取り入れるという柔軟性を持っていただきたいものです。

最後に

 流山市の取り組みは2019年7月9日に行われた、第4次少子化社会対策大綱策定のための検討会で紹介されたものを参考にしました。詳しいことを知りたい方は内閣府が公開していますので、チェックしてください。井崎流山市長と私はともに検討会委員ですが、コンプライアンスとして私が流山市から利益供与は一切受けていないことは記載させていただきます。