お盆に注意したい夫源病と孫疲れ

(写真:アフロ)

何処にもいかない・何もしないという長期休暇

 さて本格的な夏休みに突入し、お盆は実家に帰る方も多いでしょう。昔なら夫の実家に帰る家庭が多かったようですが、最近では妻の実家に帰る家庭も増えているようです。子供たちが巣立ち、実家の両親も他界して長い夏季休暇をどう過ごしてよいかわからない熟年期の夫婦もおられるでしょう。

 今回は熟年夫婦の立場から、夏休みの過ごし方を考えてみたいと思います。まずはどこにも行く当てもない、子供たちもまだ結婚していないような50歳代のサラリーマン家庭の夏休みを考えてみたいと思います。

 サラリーマンの夫が長期休暇をとれるのは正月・ゴールデンウイークとお盆位でしょう。活発なご夫婦なら家族旅行を計画されているとは思いますが、ピーク時の宿泊費は高く、航空券や新幹線の指定をとるのも苦労します。どこへ行っても人・人・人でリフレッシュするどころか疲労が蓄積するかもしれません。そんな時は思い切って、何処もいかない、何もしないという選択でもよいと思います。特にあと数年で定年を迎える夫がいる場合には、夫婦二人で同じ時を過ごし、同じ空気を吸うことを体験していただきたい。

 長年夫婦をしているので、一緒にいる事には慣れているとお考えでしょうが、実際にしばらく一緒にいるとどのようなことになるのか、一度試されたらどうでしょうか?

休暇中に感じる夫源病の予感

 最近、再び注目されているのが「夫源病」です。7年前に私が命名して、世の男性からお叱りをいただいた大変失礼な病名です。夫の何気ない言動(どちらかというと支配的で上から目線の言動)が妻のストレスになってめまいや頭痛などの更年期障害のような症状が起きることを言います。夫が長期の出張や旅行の間や妻が実家に戻ると症状がなくなることも特徴です。外面がよく、言葉遣いがやさしいので他人からはよい夫と思われているような方が要注意で、まじめで細かいことに気が付くので家庭内でも妻の緊張が続き体調が悪くなるのです。夫に文句があっても、押し殺すような良妻賢母型の妻に起きやすいです。

 夫が元気に仕事に行っている時にはこのような問題は表在化することはあまりありません。ところが夫が定年になって家に一日中いることが多くなると、妻のストレスがたまるようです。「夫婦仲は悪くはないから、私は夫源病とは縁がないわ!」と言っていた私の知り合いは、夫が定年して間もなく、イライラしてめまいや頭痛が始まりました。このように一見夫婦仲がよいと思われる家庭でも、四六時中夫が家にいることで妻の体調が悪くなる例はよくあります。

 夫に「定年後どうされますか?」と尋ねても「しばらくゆっくりしてから考える」と結構ノープランです。趣味三昧と考えていても毎日毎日趣味三昧で楽しいという人には滅多にお目に掛かれません。ゴルフも釣りも定年後しばらくは楽しいのですが、次第に仲間も少なくなり数年たつとやることがなくなってうつ状態になります。そんな生活を想像するためにもわざと長期の休暇を取って、何もしない夫婦だけの生活を体験してみたらどうでしょうか?夫婦とも全く問題がなければ結構なことですが、やることがなくて夫婦関係がギクシャクすれば、本格的に定年生活が始まればかなり危険です。人生100年時代に備えて、一度模擬定年生活を体験されることをお勧めいたします。

孫疲れの原因と対策

 夏休みのもう一つの問題は「孫疲れ」です。孫の世話で体力が消耗するだけでなく、食費やお土産などの出費も馬鹿になりません。息子の親よりも娘の親の方が厳しいようです。息子夫婦が帰省した場合は、嫁姑の関係からある程度気を使ってくれます。しかし、娘夫婦が帰省した場合は実の親子なので娘は容赦ありません。子供の夏休みと同時に娘が実家に帰省して、盆休みだけ夫がやってくるケースも多いようです。祖父母としては孫の顔は見たいが長居されるのも疲れるというのが本音でしょう。疲れるだけならまだよいですが、お小遣いや毎度の食事で出費もかさみます。娘夫婦が帰ったら、米や高級食材がなくなったという話もよく聞きます。

 ではどのような対策があるのでしょうか?ポイントは祖父の頑張りです。孫疲れしているのは主に祖母です。孫疲れの背景には定年夫の存在も関係しています。定年後の夫(祖父)が妻に過度に生活依存していると、妻(祖母)は孫に加えて夫の世話までしなくてはならないのです。夫の世話という負担さえなければかわいい孫の世話はしたいという祖母は結構いるでしょう。祖父母が機嫌よく孫の世話をするためには、定年夫の生活自立が大切です。妻が孫の世話でいなくても自分のご飯を用意して、一人で遊ぶことができれば上出来でしょう。さらに踏み込んで一人で3時間程孫の世話ができればかなりの戦力になります。

 また、年金生活でお金の余裕がなければ、たまに帰ってくる子供や孫たちのために日ごろから何らかの仕事をして稼ぐことも大切でしょう。祖父が適当に家を出ることで祖母の夫源病の予防にもなるはずです。

 若い時に子育てを妻に任せきりにしたことが熟年期の夫婦問題の原点であることが多いようです。祖父が仕事に出たり、孫の世話をすれば妻への感謝の気持ちも自然と湧いて、熟年期の夫婦関係の改善も期待できるのではないでしょうか?

 それでも孫育に疲れたら、愚痴をこぼしてください。孫育の愚痴は同世代でも言いにくいと言われています。お子さんがいない家庭、お子さんがいても孫のいない家庭にとっては孫の世話ができるだけでも結構なことですので不平や不満を言いにくいのです。そんな方のために最近、孫育のグチ帳をオープンしましたのでご活用ください。