全日本空輸と日本航空は1月18日、日本とアメリカを結ぶ一部の便を欠航させると発表しました。理由は米国航空当局(FAA)が、19日からアメリカで利用が開始される5Gサービスの電波が電波高度計に誤操作を与える可能性があると指摘してきたからです。

 全日本空輸と日本航空はボーイング777を飛ばすアメリカ路線のうち、ボーイング787などへの機材変更ができないものに対しては欠航させることとしました。

 アメリカでは1月19日より、AT&Tとベライゾンというキャリアが「Cバンド(3.7〜3.98Hz)」と呼ばれる周波数帯の運用を開始しようとしていました。

 既存のキャリアはエリアが広く通信速度も速いため、AT&TとベライゾンはCバンドを使って対抗しようと電波オークションで巨額の金額を投じて取得。すぐに運用開始をしたかったのですが、FAAから干渉の恐れがあると待ったがかかったのでした。結局、交渉はまとまらず、AT&Tとベライゾンが運用開始に踏み切り、全日本空輸と日本航空は影響があるであろう飛行機を欠航せざるを得なくなりました。

 実は日本で運用されている5GもCバンドの一部である、3.7GH帯が利用されています。では、なぜ日本では問題なく飛行機が飛べているのでしょうか。

 日本もアメリカも3.7GHz帯は同じであり、世界の多くの国で3.7GHz帯が使われています。日本では3.7GHz帯を局所的に飛ばしているの対して、アメリカでは広いエリアをカバーしようと電波の出力を上げているため、飛行機が低い高度を飛ぶと影響を及ぼす可能性が出てきました。

 ちなみに日本では飛行機との干渉は問題視されていませんが、衛星と通信をしている地球局などとの電波が干渉するとして、サービス開始当初から、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどが5Gのエリア構築に相当、苦労していました。地球局などとの電波に干渉しないように5Gの基地局を作っていたため、なかなか5Gエリアを広げられなかったのです。まさに「5Gのエリアが広がっていない」というのは地球局などとの干渉を調整していたのが原因のひとつでもありました。

 今後、日本では6Gに向けて、さらに電波を割り当てる機会が増えてきます。他のシステムと干渉しないよう電波の割り当てを見直したり、整理したり、入念な準備が必要となります。さらに日本ではいま電波オークションの議論が進んでいます。「オークションで巨額の投資をしたのに電波が使えない」では話になりません。

 今回、アメリカで起きた問題は、日本にとっても対岸の火事ではないのかも知れません。

追記:

ベライゾンとAT&Tは空港周辺でのCバンド運用を当面延期すると発表。混乱はしばらく回避されることとなりました。

記事作成にあたり、ぱおぱおさんのツイートを参考にさせていただきました。ありがとうございました。