KDDI、ソフトバンクが新料金プランを相次いで発表した。と言っても、どちらもサブブランドであるUQモバイルとワイモバイルでの新料金プランだ。UQモバイルが20GBで3980円、ワイモバイルが20GBと10分以内の国内通話無料で4480円となっている。

 どちらかといえば、これらのプランはユーザー向けというより、菅総理の値下げプレッシャーに対応する「回答」のようなものだ。菅総理は「携帯電話の料金が世界に比べて高止まりしている。特に大容量の20GBが高い」と指摘していた。そこで、キャリアとしては「だったら、20GBで高くないプランを出せばいいんでしょ」ということで今回の新料金プラン発表となったわけだ。

 ここで気になるのがNTTドコモの動向だ。

 KDDIとソフトバンクが新料金プランを発表した翌日、NTTドコモでは決算会見が開催された。そこでNTTドコモの吉澤和弘社長は「様々な対抗策を継続的に検討したい」とコメントした。

 実はNTTドコモは12月1日で、NTTの完全子会社になる。現在、TOB(公開株式買い付け)が行われており、買い付け期間中は株価に影響を与えるような大きな発表ができない。つまり、料金プランに関することは12月1日以降になると予想される。

 NTTドコモは12月1日を持って新体制となり、現在、副社長の井伊基之氏が新社長に就任する予定だ。新体制発足後に、新料金プランもしくは、新しくサブブランドが立ち上がり、UQモバイルやワイモバイルに対抗する料金プランを発表する可能性が濃厚だ。

 現状、NTTドコモの弱点として指摘されているのが「サブブランドがない」という点だ。ここ数年、NTTドコモからユーザーがかなり流出しているが、その移転先はワイモバイルやUQモバイルなどが多かった。「スマホデビューするけど料金は高いのは困る」ということで、ショップの数も多く、CMも大量投下されて親しみのある他社のサブブランドが選ばれていたのだった。

 筆者は何年にも渡って、吉澤社長に「サブブランドはやらないのですか」とインタビュー取材してきたが、吉澤社長は頑なに拒んできた。やはり、ドコモでサブブランドをやるとなると、ユーザーが一斉に群がってしまい、収益が下がる恐れがあったようだ。

しかし、12月1日から吉澤社長から井伊新社長になることでサブブランドを作りやすい環境になってきた。井伊新社長はサブブランドについて「何も考えていない」としながらも「あらゆる年代に支持されるサービスと価格を目指すが、どういった戦略で目的を達成できるか。後追いでUQモバイルやワイモバイルと同じものを出しても、本当にお客さまが望む姿なのか。しっかり考えて対策を打ちたい」としている。

 キャリアとしてはメインブランドでは5Gを始めたこともあり「使い放題だけど料金は高め」を維持しつつ、スマホをあまり使わない人にはサブブランドを勧めるという方向性になりつつある。NTTドコモも収益面を考えると、5Gサービスは「使い放題」で高めの料金を維持しつつ、料金プランに不満を感じている人には別のブランドを提供するというのが最も現実的といえるだろう。

 NTTドコモは11月5日に発表会を予定しているが「料金プランを発表するとしてもやはり12月以降になるのではないか」(関係者)という。

 いずれにしても、乗り換えやプラン変更を検討しているドコモユーザーは12月まで待ってみるのが得策のようだ。

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『iPhone5から始まる!スマホ最終戦争』(日本経済新聞出版社刊)がある。

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