━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

石川 温の「スマホ業界新聞」

2014/06/14（vol.086）

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《目次》

1．KDDIとタッグを組み、差別化を図るLG「isai FL」

━━「日本人が使いやすいスマホ」は誰が作るのか

2.　総務省が訪日外国人向けに「SAQ2 JAPAN Project」を発足

━━技適マーク開放に向けた突破口になるのか

3．MVNOユーザーを混乱させるiOS「キャリアプロファイル」問題

━━KDDIはiPad向けにプリペイドプランを準備か？

4．今週のリリース＆ニュース

5．編集後記

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1．KDDIとタッグを組み、差別化を図るLG「isai FL」

━━「日本人が使いやすいスマホ」は誰が作るのか

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

夏商戦真っ盛りのなか、他社とはやや遅れるかたちで、LGエレクトロニクスが7月下旬にKDDI向けに「isai FL」を投入する。

ダブルクアッドHD液晶（2560×1440）を採用し、フルHDの約1.8倍の解像度を持つのが特長だ。ここ最近、スペック競争が一段落しているが、グループ会社のLGディスプレイが持つ技術力を生かし、他社を大きく上回る解像度で勝負を挑む。

とはいうものの、競争は厳しく、すでにジャパンディスプレイが5.5インチのダブルクアッドHD液晶モジュールの出荷を4月に開始。「冬商戦にはライバルメーカーから同様の解像度を持ったスマホが登場するのではないか」（LG関係者）とも言われている。

つまり、LGにとってアドバンテージは半年もない状態と言える。LGエレクトロニクスで製品開発を担当するキム・ヒチョル課長が「半年に1回新製品を投入するなかで、ハードやデザインで差別化するのはかなり難しい」と本音を漏らすように、端末メーカーにとって本当に個性的な商品を出すのが難しい時期となってきている。

そのため、LGエレクトロニクスとしては、KDDIとタッグを組み、共同開発モデルとして「isai FL」を投入してきたというわけだ。LGエレクトロニクスが持つ技術力だけでは差別化は難しい。そこで、KDDIが持つコンテンツを組み込み、さらにサードパーティにも協力を仰ぎ、isai FL用にカスタマイズしてもらったアプリを提供してもらうことで、差別化につなげるというわけだ。

LGエレクトロニクスとしてはグローバルフラグシップモデルである「LG G3」をそのまま持ってこられればかなり楽なはずだ。しかし、「それでは日本市場では売れない」（キム課長）といい、徹底した日本ローカライズを行ってきた。実際、初代isaiが売れて成功したこともあり、ローカライズに拍車がかかった模様だ。