英国ではネズミ捕りシート禁止。日本でも猫に被害が出ている理由とは?
英国(正確には、現時点でイングランドとウェールズにおいて)で4月に、ネズミ捕りシートの使用を禁止する法律が成立しました。時事通信社によりますと「多大な苦痛を与える可能性があり、非人道的だ」と批判が出ていたとのことです。
臨床をしていて、猫がネズミ捕りシートに引っ掛かりって来院します。そのとき、どうすればいいのかを見ていきましょう。
英国のネズミ捕りシートの禁止とは?
英国では、ネズミ捕りシートを使用できるのは、プロの害虫駆除業者のみで、このシートを使用する免許を発行しています。一般市民(その免許を持っていない)は、このシートを使用した場合は最高6カ月の禁錮刑や罰金などの罰則があり、2年後に施行されます。
この粘着シートは「グルートラップ」と呼ばれています。わなに掛かったネズミは動けないまま24時間以上生き続け、疲労や飢餓などによって死に至る場合が多いです。
法律を提出した与党・保守党のジェーン・スティーブンソン下院議員は声明で「グルートラップの使用は残忍かつ野蛮だ。前向きな変化をもたらすことができて、うれしく思う」と述べたとのことです。
猫がネズミ捕りシートに引っ掛かると
臨床をしていると、猫がネズミ捕りシートに引っ掛かり来院されることがあります。強力な粘着シートなので、被毛につくと簡単に取ることはできません。特に子猫が、ひどい目に遭い、全身にこのネバネバをつけてきます。成猫でも被毛の一部についてやってきます。
猫がネズミ捕りシートに引っ掛かったらどうする?
すぐにシャンプーするために、水に濡らすことはやめてくださいね。簡単にはとれません。粘着シートのあのベタベタをどうすればいいのかは以下の手順でやってみてください。
・小麦粉などの猫が口にしてもいい粉をその部分にまぶす
・オリーブオイルなどを小麦粉がついた部分にかける
・台所洗剤などで洗い流す
・ドライヤーで乾かす
注意:被毛を刈るのも皮膚を傷つけることがありますので、あまりおすすめできません。
どれだけ猫の被毛についているかによりますが、無理な場合は動物病院に連れていって処置してもらってください。筆者のところに来る猫たちは、全身にネズミ捕りシートのネバネバがついていることが多いので、猫も興奮していることが多く鎮静剤を使って処置をします。
日本ではネズミ捕りシートはどう使用すれば?
ネズミ捕りシートは、上述のように残忍なものです。このシートに野生動物や猫が引っ掛かることがあります。それを配慮して置いてください。実際に猫が掛かることがあります。
筆者は、ネズミ捕りシートを置くより、ネズミの駆除には猫を飼っていただければ、と考えています。
ネズミ捕りシートを禁止した英国では、首相官邸ネズミ捕獲長という肩書を与えられた公式な猫がいます。
現在はラリーという猫です。ラリーちゃんは、ロンドン市内の動物愛護施設に迷い込んだ保護猫で、官邸にスカウトされて2011年2月15日に就任。これまでキャメロン、メイ、ジョンソンの3代首相に仕えてきています。本業のネズミ捕りの能力の方はわかりませんが、官邸前で首相の出待ちをする報道陣にとっても、ラリーは癒やしの存在であるらしいです。