長野放送が、ブリーダーによる多頭飼育崩壊を伝えていました。一生、ケージから出ないで劣悪な環境で暮らす犬が1000匹もいて保護されただけでもショックでした。

保護された映像では、防護服を来た人たちに抱き抱えられている犬たちは放心状態でどの子もじっとしていました。嫌がることも喜ぶこともなく心ここにあらずというように見えました。それだけでも見るに堪えない動画でした。

そのうえ、続報では麻酔なしで資格のないものが何回も「帝王切開」した疑いがあるということです。このような劣悪な環境で飼育するブリーダーをなくすためにあなたにできることを考えていきましょう。

獣医師「災害級の動物虐待」麻酔なしで「帝王切開」か?

このブリーダーによる多頭飼育崩壊の状態での帝王切開に関することを詳しく見ていきましょう。

警察・保健所に情報提供・奥原淳獣医師:

「無麻酔、無資格で連日のように帝王切開を行っていた。これがいかに恐ろしいことか、獣医師として許せない」

獣医の奥原さんは、元従業員から日常的に帝王切開が行われていたことや犬が5段、6段と積まれたケージの中で飼育され、糞尿処理もずさんだったことなどを聞き取り保健所や警察に情報提供していました。

獣医師「災害級の動物虐待」 劣悪な環境で犬1000匹を飼育…麻酔なしで「帝王切開」か 犬は県外へ移送 販売業者廃業へ より

長野放送の記事によりますと、犬が5段、6段と積み上げられた糞尿処理もされないケージの中で日常を暮らしていました。犬が発情すると交配させられておおよそ60日で獣医師でない人によって押さえつけて麻酔をかげずに帝王切開されていたということです。

雌犬は、発情期が来ると猫とは違って膣の方から血液のようなものが分泌して膣が柔らかくなるので、わかりやすいです。元来、犬は安産の動物といわれていますが、このようないわゆるパピーミル(子犬工場)では、出産する場合は帝王切開を行うことになっています。

簡単に帝王切開ができるのかとこの記事を読むと不思議ですね。それでは、一般的な帝王切開についてお話しします。

獣医師がする帝王切開とは

写真:Paylessimages/イメージマート

妊娠しているということは、お腹にいる赤ちゃんに酸素や栄養を運ばないといけないので、それに関係する臓器は血管が太くなっています。具体的にいえば、乳腺、子宮の血管は太くなります。

人間も妊娠すると乳房が大きくなり、血管が肌から透けて見えるほどになる人も多いですね。

そのため、もし、思わぬ出血をすると困るので、手術の前に、静脈確保をして点滴を始めます。それから麻酔をかけます。その後に、腹部の毛を刈って消毒します。

手術に使う道具は全て高圧滅菌して、無菌的に手術をします。

まずはメスで皮膚、皮下組織を切ります。皮下組織のところに乳腺がありますので、多少は出血があります。それらを止血して次に腹筋を切りると腹部から子宮が見えます。妊娠しているわけですので、いわゆる内臓が見えると子宮はすぐにわかります。

犬の場合は、数匹の赤ちゃんがいるので大きな子宮になっています。そして、子宮を切り子犬を出すわけです。子犬は胎盤に覆われているので、それを剥いで、呼吸できる状態にします。これは、術者がしていると時間がないので、他の人がします。

人の子宮の形は単一子宮と呼ばれますが、犬や猫は双角子宮と呼ばれ、子宮角が左右2つにY字状に分かれています。

子宮の中に胎盤が残っていないか丁寧に見て、切った子宮を縫っていきます。子宮は、赤ちゃんを育てていた部分なので縫うことによって針で穴をあけるので、そこでも多少は出血します。

赤ちゃんを出した子宮はしぼんでいますので、すんなりと腹部に入ります。子宮を入れて、腹筋、皮膚という順序で縫っていきます。これで手術は終わります。

術後ということもあるので抗生剤を投与して、血液検査をして貧血や炎症はないかをチェックします。

このように、そんなに簡単な手術ではないのです。しかしパピーミルでは無資格の人が、麻酔もかけず帝王切開をした疑いがあるのです。

なぜ、無資格の人が麻酔もかけずに帝王切開するのか?

獣医師の視点でなぜ、麻酔もかけず無資格の人が帝王切開をするのかを推測しました。このようなことをやっているブリーダーに直接聞いているわけではないので、これはあくまでも筆者の考えです。

獣医師に頼むとお金がかかる

獣医師は6年間大学で勉強して国家試験を受けて、仕事をしています。帝王切開は、専門知識もいることなので、無料というのは無理ですね。

子犬は大切だけれども母犬はそうでもない

もし、帝王切開に失敗して、母犬が亡くなることがあっても犬の場合は複数の子犬を産みます。子犬を売ることができるので、母犬は子犬さえ産んでくれればいのです。つまり道具です。

反対に、母犬が長生きすると殺処分がしにくくなるうえ、世話や餌代などがいるので困ることがあります。

麻酔をかけると子犬が弱るかもしれない

麻酔をかけると母犬だけにかかるわけではなく、子犬にもかかります。赤ちゃんなので、体の弱い子犬はもしものことがあることもあります。そのため、麻酔をかけずに押さえているのでしょう。

悪質なブリーダーは母犬を子犬を産む道具としてしか見ていないので、このようなことができるのではないでしょうか。麻酔をかけないで、皮膚や筋肉をメスで切るなどは考えられないです。

ブリーダーの顔が見えるようにする

写真:アフロ

ペットショップで子犬を買う場合はその子の母犬や父犬はどんな環境にいるのかに思いを馳せることが大切です。でも、実際にはどうすればいいのでしょうか。

筆者の提案ですが、野菜を買うときに生産者の顔が見えるものを選ぶ人もいますね。そのように犬に取っての生産者であるブリーダーの環境や人柄を見てから選ぶといいと思います。

具体的に書くと以下の通りです。

ブリーダーの飼育環境を動画で見られる

子犬の母犬や父犬を動画で見られる

子犬の育っている環境を動画で見られる

生後何週でワクチン接種をしているか証明書がある

大規模なブリーダーだとたくさんの子犬がいるので早めにワクチン接種をするケースもあります。衛生的環境だと早くワクチン接種をしなくても病気にはなりにくいです。早めにワクチン接種をすると成犬になったときに、免疫力が弱いなどの問題が出てくるので、注意が必要です。

上記のようなブリーダーを選んで子犬を買う時代になれば、悪質なブリーダーがいなくなると推測します。

多くの人が、子犬がどんなところからやって来ているかに関心を持つようになれば、無麻酔で帝王切開される母犬もいなくなると信じています。