蒸し暑い夏、コロナ禍の中でのマスク着用はちょっとつらいときもありますね。そんな中、「清涼感がある」とマスクにハッカ油を塗ることが人気になっています

。しかし、猫を飼っている人は「ちょっとまった」です。

なぜ、猫にハッカ油やアロマテラピーで使う精油などはどうなのか。アロマテラピー検定1級を持っている獣医師が解説します。

猫は、肉食だった!

ハッカ油は、ネコなどのペットの健康を害する可能性があるともされています。

ネット上で、マスクにハッカ油を使った客の入場を断る場合もあるとの貼り紙を出した猫カフェがあると、ツイッターで大きな話題を集めました。

なぜ、人はハッカ油は大丈夫なのに、猫はダメなのでしょうか。人も猫も犬も同じ動物です。しかし、人のように雑食の動物と猫や犬のように肉食の動物では体の機能が違うのです(犬は猫に比べて雑食性なので、特に猫でいわれています)。

それではなぜ、猫にハッカや精油はよくないのか?を見ていきましょう。

□人は雑食だけれども猫は肉食

□猫は肉食のため肝臓で植物をうまく代謝ができない

□犬も肉食だけれども猫ほどではないので、ハッカや精油は猫ほど危険ではない

□猫は、植物性のものが肝臓に蓄積されると肝炎になる可能性がある

□猫は、植物性のものが多量にたまると最悪の場合は、命の危険につながる

猫のハッカ油中毒の症状とは?

写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

猫は、ハッカ油の成分を肝臓で代謝できません。そのために、体内に毒素が蓄積されて以下の通りの中毒症状を起こしてしまうのです。

□下痢

□嘔吐

□発熱

□食欲不振

□黄だん

などです。

ハッカ油を与えてすぐに現れることもありますが、少しずつ毒素が蓄積されて、時間をかけて現れることもあります。

もちろん、ハッカ油を直接舐めるなどして、多量の摂取量であれば最悪の場合は、命の危険に陥ります。

猫が誤ってハッカ油や精油を舐めるようなことがあれば、すぐに動物病院に連れていきその旨を伝えて治療をしてもらってくださいね。

私たち人間は、ハッカを分解する力がありますが、猫はそれができないのです。

ハッカ油やアロマテラピーの精油とは?

ハッカ油の製造法

ハッカはシソ科ハッカ属の多年草のハッカの葉を乾燥させてから、水蒸気蒸留をすることでハッカ油を抽出できます。さらにハッカ油を冷却して再結晶すると、複合結晶「ハッカノウ(メントール)」が出来上がります。

アロマテラピーで使う精油の製造法

精油は、主に「水蒸気蒸留法」「圧搾法」「揮発性有機溶剤抽出法」の3つのうちいずれかの方法で作られます。

上記のように、精油を一滴とるのに、多量の植物が使われています。つまり精油は、植物成分が高濃度に凝縮されているのです。たとえば、1滴取るのに、多量の花がいるのです。

人が精油を扱うときの注意点

写真:アフロ

精油は植物の成分が高濃度に濃縮されているため、人でも以下のような点に注意が必要です。

皮膚に付ける際は、原液ではなく、キャリアオイルなどで薄めて使用する

飲用やうがいをしたりしない

眼に入れない

揮発性や引火性があるため、火の近くに置かない

誤飲などを避けるため、子どもやペットの手の届かない場所へ保管する

猫にとってのハッカ油や精油の香りがある状態とは

飼い主にとっては、猫がハッカ油や精油を舐めたわけではないけれど、ハッカ油や精油がある状態にいると危険です。以下の2点がその理由です。

□香りがあるということは、ニオイとして鼻の粘膜に吸い込まれます

1滴でも、濃度が濃いので、植物を多量に吸い込んだことになり、肝臓で代謝できないので毒になるのです。

□猫が犬と違うところは、単独行動の動物なので、懸命にグルーミングします

狩りをするときに猫は、獲物に自分のニオイをかがれないようにするためです。そのグルーミングの行為で毛についたハッカ油や精油を飲み込むことになると、これも肝臓で代謝できなくなります。

写真:アフロ

精油は薬事法で規定する医薬品としての販売の許可を受けていないため、日本国内において「雑貨」扱いです。

一般の人々は「天然という言葉から精油を安全なもの」と信じていることも多いです。上述のように注意して取り扱うことは大切なのです。

しかし、猫は、人と体の構造が違うのです。薬学的にみれば精油は薬と同じような使い方によって、危険性をもつこともある化合物です。

いまや、完全室内飼いの猫が多くなっているので、飼い主の猫に対する知識はより必要です。

ハッカ油や精油が好きな人が飼っていた猫が、数年後に肝不全で具合が悪くなったというケースもあります。たとえ飼い主がアロマテラピーが好きでも、猫の近くで使うのは絶対に避けた方がよいでしょう。