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【熱中症】散歩前にコレだけは確認を! 愛犬を命の危険にさらさないために

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:PantherMedia/イメージマート)

日本全国、体にこたえる暑い日が続いています。

犬は、汗を人のようにかけないので熱中症になりやすいですね。今日は、この暑い中、犬の散歩をどうすればいいのか。悩むところですね。「うちの犬は、散歩が大好き。行かないと室内で暴れてたいへんなことになる」という飼い主も多いはずです。この猛暑の時期、犬の散歩をどうすればいいのかの話をします。

アスファルトを触ってみよう

ミスターKさんより

散歩は、時間で決めていませんか。

午前中や夕方なら、大丈夫と思うとよくないのです。Twitterの写真にあるように、アスファルトが60度になることもあります。飼い主が実際にアスファルトを5秒ぐらい触って大丈夫かどうか確認してくださいね。

気温が下がったようでも実は、アスファルトに熱がこもっているのです。地球温暖化や都市のヒートアイランド現象によって特に都会のアスファルトの温度が下がらないのです。

なぜ、アスファルトが熱いとよくないの?

写真:アフロ

ほとんどの犬は靴を履かないで外を歩いているので、アスファルトの熱がダイレクトに肉球に伝わります。中には、夏の間は靴を履かせている人もいますが、そんな飼い主は1割もいません。そのため以下のようなことが起こるのです。

肉球の火傷

地面と接する肉球が火傷したり、ただれることもあります。肉球は靴ではないので60度の温度に耐えることができないのです。

熱中症になりやすい

地面に近い犬はアスファルトの暑さを人間よりダイレクトに受けます。そのため熱中症の危険があります。

いままで元気だった犬が、急に舌を激しく動かし心臓が飛び出てくるのではないかという状態になります。これは汗をほとんどかけないので呼吸で体温を下げようとします。それがうまいこといかないと嘔吐をしたり、意識をなくしたりして命にかかわります。熱中症ですね。

ブルドッグ、フレンチブル、パグなどの鼻の短い短頭種は、とくに暑さに弱いです。実話ですが、以前に夏の午前中に、草原でボール遊びをしていたブルドッグが、病院に連れて来られたときはもう意識不明で処置をしようとしている間にすぐに亡くなりました。本当に熱中症で命にかかわることがあるので、夏の外での運動や散歩は気をつけてくださいね。

犬のおさんぽ予報【肉球を守ろう】

犬のおさんぽ予報 より

犬のおさんぽ予報とは、日本気象株式会社が2020年8月3日よりお天気総合サイト「お天気ナビゲータ」の中で夏に増える犬の肉球の火傷や熱中症を防ぐことを目的に作られたものです。情報は無料(期間限定)でご利用いただけます。

全国を対象に、アスファルト舗装道路の路面温度の予想により、中止、警戒、注意、快適、ひんやりと5段階の指数(下の写真を参考)にしています。マップやグラフなどで1時間ごとに掲載いたします。

画像は筆者がスクリーンショット
画像は筆者がスクリーンショット

犬のおさんぽ予報 より

たとえば、大阪では熱帯夜なので24日は、夜中の0時から6時までしかひんやりはありません。このサイトを見る限り、犬の飼い主は夏の暑い時期は早起きして散歩をさせた方がいいようですね。

飼い主のできること

犬は暑さに弱いということを再確認してくださいね。気温が下がったようでもアスファルトが熱いことが多いです。大切な犬をこの暑さから乗り切りためには、以下のことにも気を配ってください。

□「犬のおさんぽ予報」のサイトをよく見る

□犬を散歩する前に飼い主が直接アスファルトに5秒以上触れてみてアスファルトの温度を確認する

水分補給

□散歩の前に深部を冷やすために健康な子は氷水をあたえる(心配な場合は、かかりつけ医と相談してください)

□「犬のおさんぽ予想」で注意が出ているときの散歩は、アスファルトを歩かせないでバギーに乗せて公園まで連れていく

上記のように注意をして、そしてこの猛暑を愛犬と一緒に乗り切ってくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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