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セレブが犬のオシッコ処理をせず炎上 ペットブームの中、最新の犬のお散歩事情とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

新年を迎えました。新型コロナウイルスのパンデミックの中、「動物を飼う」という人が多くなりペットブームになっています。コロナ禍以前から、「動物と共に過ごすことが人に安らぎをもたらす」ということが科学的にも証明されています。

その一方、犬が増えるといろいろと問題も起こります。そのひとつが、「散歩時の犬のオシッコ」事情に関してで、ネット上で、よく見かけるようになりました。

犬のオシッコとウンチは、外の散歩で排泄させれば大丈夫と思っていませんか。ところが、最近では、犬の散歩事情が時代と共に変わっているのです。

日本のあるセレブ一家が、イタリアンレストランへ愛犬のラブラドール・レトリバーと共に行き、自宅に帰る途中に道でオシッコをさせてそのまま放置しました。すると、犬のオシッコに水をかけなかったことについて、ネット上で賛否が分かれて問題になっていました。

20年前なら、話題にものぼらなかったでしょう。しかし、現代では、犬のお散歩事情が変わってきているのです。今日は、いまの「愛犬のオシッコはどう処置すればいいのか?」を考えてみましょう。

散歩中に犬のオシッコをさせて何が問題なの?

ワンちゃんがオシッコした後、そのまま放置するのはよくありませんね。

それは、アンモニア臭などの悪臭がしますし、さらに、衛生的に良くないです。一度ニオイがついた場所は、他のワンちゃんもそこでオシッコをするようになります。そこがまるで「犬のトイレ」になってしまうおそれがあるからです。

犬はオシッコを使ってテリトリーを主張するため、何度もオシッコをかけてマーキングする壁や柱などを腐らせれることもあるので、注意が必要ですね。それでは、犬のオシッコのさせ方はどうすればいいのかを見ていきましょう。

理想的なオシッコのさせかた

以下のように、オシッコを済ませてからお散歩に連れて行きましょう。

写真:アフロ

・室内のトイレシーツ

・自宅の敷地内

などで排泄を済ませてからお散歩へ行くとオシッコの問題にもなりません。そのようにしつけられないと思っているかもしれませんね。そこで参考までにちょっとここで、盲導犬の排泄を見てみましょう。

盲導犬の排泄はどうなっているのでしょうか?

写真:PantherMedia/イメージマート

そういえば、盲導犬が、お仕事をしていて、オシッコをしているところを見たことがありません。盲導犬は、お仕事中は、排泄をしないように、訓練されています。

盲導犬などの使役犬は、「ワン・ツー!」などのコマンドをかけるとトイレをするように、幼い頃から訓練されています。そのため、お仕事の前に「ワン・ツー」で排泄してから、仕事をしています。そのためお仕事中にトイレをしなくて済みます。

盲導犬が長い時間、お仕事している場合は、1頭1頭の排泄の時間を把握していて、時間になると、飼い主がトイレに行けるようにします。

外でしかオシッコできないワンちゃんはどうする?

写真:アフロ

そういわれても、外で排泄するようにしつけたワンちゃんをいまから、室内でするように教えることが、なかなか難しいですね。それで、外でする子は以下のことに気をつけましょう。

・他人の迷惑にならない場所で排泄

オシッコをしてもよい公園などまで、抱っこ、キャリーケース、自転車、車などで連れて行ったりするのもいいですね(上記の写真のように)。

・できれば、他人に迷惑にならない場所にペットシーツを敷いてそこでさせる

公園など人があまり通らない場所で排泄させましょう。人の家、私有地などでオシッコをさせる行為は、NGです。

・人の家の前、私有地、電信柱などは、ニオイを嗅がせない

・リードは短く持ってニオイを嗅がない

外でオシッコをした場合の処理の仕方

・たっぷりの水で流す

・できれば、その後をペットシーツで吸い取る

注意:もちろん、ウンチは家に持って帰って、燃えるゴミとして処理する。

まとめ

写真:アフロ

猫は、一般的に以前は外と家の2重生活というライフスタイルでした。外に出す理由は、猫が家でトイレをしないからでした。それがいまはそれを克服して、猫は完全室内飼いになりつつあります。

犬のウンチを取ることは、常識になっています。ウンチを持って帰る人が多くなりました(もちろん、ウンチもそのまま放置する飼い主もいます)。

これからは、ワンちゃんのオシッコやウンチなどの排泄行為は家でする時代になるのでしょう。

人は犬と直接的に触れ合うだけで、身体的・心理的メリットを得ることができます。

例えばたった15分でも共に過ごし、触れ合うと、脳で健康と幸福感を高めるオキシトシンが放出されます。コロナ禍で犬と暮らすことは、有益性が高まりますね。こんなにすてきな存在の犬なのですから、排泄物の処理はきちんとしましょう。

犬が苦手な人もいることを知って、視野を広げて愛犬と暮らしましょう。その辺りを配慮することも犬を愛することですね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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