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闘犬に襲われて女性が重傷の日本はどんなヤバい犬も飼い放題…最も凶暴な種類とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:ロイター/アフロ)

千葉県で、自宅の敷地にいた女性が闘犬に襲われ重傷を負い、彼女が抱いていた飼い犬は亡くなりました。動物好きの筆者にとっては、このような悲惨な事件を見る度に心が痛みます。たまたまなのか、それとも起こるべくして起こったのでしょうか。日本にいる凶暴な犬種を見ながら、今回の事件の問題点を探りましょう。

 同署によると、男は1年ほど前から自宅で雄のピットブル1頭を飼育しており、自宅の敷地内で放し飼いにしていた。5月15日午前6時半ごろ、男が買い物に出ようと自宅の玄関を開けたところ、当時1歳のピットブルが逃げ出し、11時半ごろに約200メートル離れた民家の敷地に侵入。住人の女性=当時(66)=と抱いていた飼い犬にかみつき、女性は腕や腹に全治約40日の重傷を負い、かまれた犬は死んだ。

出典:女性が闘犬にかまれ重傷 抱いていた愛犬も死ぬ 放し飼いの男を書類送検 千葉

女性が自宅の敷地にいたところ、いきなり闘犬が侵入してきて、人も飼い犬も襲われました。想像しただけで、恐怖で足元がすくみます。命の危険さえあったのですから。日本にいる凶暴な犬を見ていきましょう。

最も凶暴な犬とは

アメリカン・ピット・ブル・テリア(ピットブル)

『デズモンド・モリスの犬種事典』
『デズモンド・モリスの犬種事典』

今回の事件の犬です。

筋肉質で下顎の骨がしっかりしています。牛と戦うために作られた品種であるため攻撃性が高いです。闘うように改良されているので、人や犬を襲うのは、当然といえますね。飼い主には、従順ですが、それ以外の人には、危害を与える可能性は高いです。私も診察をしていましたが、犬や猫がいないときに来院してもらい、飼い主にしっかり持ってもらいました。実際にアメリカでは、ピットブルが犬による死亡事故の多く起こっています。以前、筆者がアメリカに行ったとき、飼いきれなくっなたのか、この犬とこの犬のミックスの犬が保護施設に多くいました。

土佐犬

『デズモンド・モリスの犬種事典』
『デズモンド・モリスの犬種事典』

土佐犬は、体重が60~90kgにも達する巨大な犬種です。闘犬として改良されたため凶暴な性格ですね。ヨーロッパの一部の諸国では、土佐犬を飼うことを規制されています。

2014年2月、北海道の白老で土佐犬襲撃事件が起きています。海岸で、近くに住む主婦が土佐犬に襲われて溺死し、飼い主は救護もせずその場から逃走したため、重過失致死容疑で逮捕されました。筆者が、診察していた土佐犬も、お手伝いさんを襲う事件を起こしていました。

チャウチャウ

『CANI』より
『CANI』より

中国原産であり、体重は20~30kgほど、その外見からライオンドッグとも呼ばれています。30年前ぐらいの日本では、多く目にしました。顔が平坦なので、口輪などできず、その上、大型で力強いので診察がしにくい犬でした。この犬種は、不審者を見分ける識別能力が高く、飼い主の言うことはきくのですが、しっかりしつけないと時には狂暴になることもあります。

アラスカン・マラミュート

 『THE WORLD ENCYCLOPEDIA OF DOGS』より
 『THE WORLD ENCYCLOPEDIA OF DOGS』より

漫画『動物のお医者さん』で人気になったシベリアン・ハスキーと同系統の犬種です。アラスカ・マラミュートは体重が30~45kgほどで、牛を追いかけたり、犬ぞり、自転車やスキーを牽引させるために改良した犬です。

この犬種は、毎日運動が十分でないと、飼い主の言うことさえ聞かなくなり、破壊的な行動を起こすこともあります。筆者が診察していたアラスカン・マラミュートも、自宅の門を抜け出し、近所の柴犬を噛み殺すという事件を起こしました。

ヤバい犬は日本で簡単に飼えるのか?

わが国では、犬の飼い方やその規制について明確に規定した法律はないです。

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)では、静岡県で逃げているサーバルキャットなどは、特定動物として飼育を規制されています。一方、犬は種全体としてもそのうちの一部の犬種としても特定動物として指定されていません。つまり、どんなヤバい犬でも飼いたい放題です。各都道府県および市町村においては、条例によって規制している例があります。例えば、茨城県の「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」および施行規則では、以下の要件を満たす犬を「特定犬」として指定しています。

茨城県の特定犬

茨城県動物指導センター
茨城県動物指導センター

1、人に危害を加えるおそれがあるものとして規則で定める8犬種に属する犬

・秋田犬

・土佐犬

・ジャーマン・シェパード

・紀州犬

・ドーベルマン

・グレート・デーン

・セント・バーナード

・アメリカン・ピットブル・テリア

2、上記以外でその体高及び体長が人に危害を加えるおそれるがある犬

・体高60cm以上、かつ体長70cm以上の犬

3、1、2以外の犬で、人に危害を加えるおそれがあると認め、知事が指定したもの

まとめ

人は、凶暴な闘犬を作り出しました。事件を起こすと犬が悪いように感じますが、犬には何の罪もないです。大型犬は、やはり力があるので、十分な運動をさせることが大切です。大型犬を飼う場合は、運動ができる人が飼ってくださいね。散歩の時間が適切に取れてないと、犬は、ストレスがたまり言うことをきかなくなる場合もあります。

人は、様々な犬種を作り出したため、凶暴な犬はいますが、そのことをよく理解して、犬を正しく飼うべきですね。どんな犬でも飼い方によっては、凶暴になります。犬の特性を知って、丁寧に世話をしてあげてください。犬は、いまのところ国としての規制はないですが、このような事件が起こっているので、やはり茨城県のように、特定犬などのような規制を作るべきではないでしょうか。

もちろん、どんな小さい犬でも人や犬を噛むことがあるので、散歩をするときは、リードをすることは常識ですね。犬にも人にも危害がなく、安全な社会になりますように。犬は、私たちに癒しや優しさを教えてくれる動物でもありますから。

 茨城県動物指導センター

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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