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ニャンコにテレワークを妨害される人が続出… おとなしくさせるための魔法の技とは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

テレワーク中、猫と一緒にいられるのは嬉しいことですね。猫もきっと飼い主がいるので、ウキウキして近寄ってくるのでしょう。猫は犬と違って、上下運動ができます。机の上にパソコンを置くと猫は、軽やかに飛び乗りキーボードを占領したり「遊ぼうよ」攻撃を仕掛けてきたりします。こんなとき「小箱」を使うとなぜ鎮座してくれるのかを解説します。

撮影筆者の知人 小箱に鎮座
撮影筆者の知人 小箱に鎮座

テレワーク中に往々にして直面する事態。何としてでもキーボードを打たせまいとするかのように立ちはだかる猫。液晶画面なんかよりも自分を見てと言わんばかりの熱い眼差し。いずれにしてもこんな目で見られた日には、こんなしぐさを見せられた日には、テレワークどころの騒ぎではなくなります。ちなみにこれ、コロナで興行ができなくなったサーカス団が自宅でライオンを調教している様子。いわば、テレワーク調教。猫よりもライオンの方が人間の言いなりというのは皮肉なものです。

出典:テレワーク 飼い猫が妨害 あるもの使い“鎮圧”

テレビ朝日のスーパーJチャンネルで「猫と小箱」のことが放送されました。私は、この番組でこのことについてコメントしました。興味がある方は下記からご覧ください。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20200513-00000054-ann-soci

箱に入っている猫の様子は以下です。

猫は箱を見ると「そうね、ここだと居心地がよさそう」と思って、自分の意志で入っていますね。飼い主が入れるのではなく、猫が自分で入ることも大きな意味があります。猫は人に指図されるのが、あまり好きではありませんから。

この猫は、すぐにかごに入って、ウトウトしていますね。なんとも安心な様子です。

なぜ猫は小箱に入るとおとなしくなるのか?

「小箱が魔法のように効くって本当かな?」と疑いたくなるでしょう。猫の行動学を理解していると、納得できます。

・猫は単独生活の動物です(犬は群れ社会の動物。同じペットでもここが大きく違います)。

・小箱なので、体に密着している感覚があり、つまり隠れているように猫には思える。

・猫は茂みの中から、飼い主を見ているようで安心できる。邪魔者が襲って来ない感覚になれる。

などの理由から、猫は小箱に入るとおとなしくなるのです。猫にすれば、茂みから飼い主の様子を覗いているようで、何かあれば、近寄れるし箱に守られているからいいのでしょうね。

この小箱を治療にも応用

猫は動物病院に連れて来られるのを嫌がる子が多いです。獣医師としてもなるべくストレスのないように、治療をしたいものです。それで、以下のようにしています。

・猫が入ってきたケージに入れる。

撮影筆者の知人 ケージに入れて治療をします。
撮影筆者の知人 ケージに入れて治療をします。

体温や血液検査などが終われば、皮下点滴や処置などは猫が入ってきたケージに移動させておこないます。そこに入れられた猫にすれば、家のニオイもあるし、守られた感じがするようで、おとなしく治療をさせてくれる子が多いです。

・猫を洗濯ネットに入れる。

撮影筆者の知人 洗濯ネットに入れて治療
撮影筆者の知人 洗濯ネットに入れて治療

100円均一などで売っている洗濯ネットに入れています(できれば、持参してもらうと助かります。家庭のニオイがついているので)。そこで、採血するときなどは、前足や後ろ足だけを出してします。洗濯ネットだと穴が開いているので、治療はしやすいです。でも、猫は隠れている感覚があるらしく、おとなしくしてくれる子が多いです。

まとめ

人と違う猫という「種」についての行動学を知っていると、猫も人もストレスが減って接することができます。

私たち獣医師は、猫の言葉は話せないけれど、動物の言葉が理解できたといわれているドリトル先生を目標に動物とコミュニケーションをします。猫は狭いところが好きでリラックスしていることが多いです。そのような時間も大切です。かわいいからといって、やたらモフモフしないであげてくださいね。猫は「寝子」と書くぐらい長い睡眠時間や瞑想が必要な動物ですから。

これから、テレワークという働き方が増えますが、ますます猫の行動学を知っていることが必要になりますね。猫も人も楽しい時間が過ごせていますように。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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