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山梨のコロナ感染者「犬が心配だ」と高速バスに… 単身者はワンコの留守番をどうする?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロ)

東京都の20代女性が、味覚や嗅覚に異常を感じる中、山梨県の実家に帰省し滞在中にPCR検査で陽性反応が出ました。しかし、判明後に高速バスで東京に戻りました。「犬がいたから」と言い訳にしているように感じました。様々なバッシングが起きていますので、本人もきっとすでに反省をしていることでしょう。ただ、獣医師としては見過ごせない点もあります。こういうケースは他にもあるでしょうから、ひとり暮らしで、犬を飼っていて留守にするとき、どうすればいいか? を考えましょう。

 テレビ朝日「モーニングショー」では、コメンテーターの玉川徹氏が「感染が分かっているのに公共交通機関を使うことが社会的にどれくらい問題かは考えたと思いますが、だけど『犬が』ってことでしょ」と、女性が飼っている犬が心配だったと話しているとの報道があることを指摘。「(自分が帰らないと)何週間も入院になってしまうことだったのかもしれないですが、一定程度、こういう方いらっしゃると思う」とした。

出典:玉川徹氏 感染女性が高速バス「罰則作っていいかも」「犬が…一定数いると思う」

そもそも、3泊4日の行程で山梨に旅行中、この犬の面倒は誰が見ていたのか、獣医師としては疑問が残ります。友人か、ペットホテルにでも預けていたのでしょうか…。一度、犬を飼い始めるとその日から、ずっと責任を持って面倒を見ないといけないのです。犬は、長生きだと20年ぐらいの寿命があります。その間、仕事で出張や、病気で入院するときなど傍らにいてあげられないときが、出てきますね。そのときのことも考えて飼ってあげてくださいね。

飼い主が、新型コロナウイルスに感染したケース

ペットの世話を頼める人がいない場合は、以下のところに参考にしてくださいね。

新型コロナウイルス感染症による入院・宿泊療養の際のペットの飼育について・東京都福祉健康局

東京以外の人は、各自治体に問い合わせください。

コロナ感染者のペットを無償でお預かりする「#StayAnicom」プロジェクトを始動!

ペット保険会社のアニコムが提供しているサービスです。保険に加入していない人も受けられます。詳しいことは、上記のサイトで確認ください。

・新型コロナウイルス感染ではなく、一般的な留守をするケース

・ペットホテルに預ける。

いちばん一般的なのは、ペットホテルに預けることです。急な出張とかあると困るので、ペットホテルが事前にどういうシステムになっているか尋ねておくことが大切ですね。料金、そしてフードは持って行くのか、など。狂犬病ワクチンや混合ワクチンの証明書がないと、預かってくれないところもあります。いざというときのために、準備しておきましょう。

・ペットシッターに来てもらう。

私は、このシステムを使っています。家に入ってもらうので、信頼できる人を選ぶことは大切ですね。実際にペットシッターを使った人に聞いて、決めました。私の愛犬は、高齢なので、環境が変わると体調を崩しやすいので、熟練したペットシッターさんだとその点は安心です。毎日、動画で愛犬の様子も知らせてもらえて、ありがたいです。

・1泊2日になるかならないか短い留守

条件付きですが、家でも自分で排泄できる子、散歩があまりいらない小型犬の子は、24時間以内だと、ひとりで留守番できる子もいます。その場合は、以下の点に気をつけてください。

・温度管理はエアコンでコントロールします。

これからの時期、熱中症がありますので、24度以下に設定してくださいね。

・水飲み場は、複数置いておく。

水分不足は、命取りになることもあるので、水は、たっぷりと入れて1個ではなく、複数にしましょう。

・タイマーが付いたフード入れ

時間が来れば、タイマーが動き、餌入れのふたが自動的な開くものがあります。そのようなものを利用するといいです。

・トイレは、複数置いておく。

トレイが汚れると、排泄を我慢する子もいます。そんなときは、膀胱炎になるケースもありますので、気をつけてくださいね。

まとめ

この新型コロナに感染した女性は、「犬がいたから」と高速バスに乗って、山梨から東京に戻ったと報道されています。犬が言い訳に使われたようで、かわいそうです。

安心できる方に預けることができなかったのでしょうか。なお、条件付きで、24時間以内であれば留守番をできる子がいますが、すべてのワンコが大人しく留守番できるわけではないのです。

「犬を飼う」ということは、今日は、旅行に行くからと言って、パソコンのようにボタンを押して犬をシャットダウンして、帰宅してボタンを押したら、犬がまた生き返るというものではないのですから。動物と一緒に暮らすことは、自分以外のもうひとつの命を引き受けることです。そのことも考えてよく行動してくださいね。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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