ワンちゃんが落ち着かないのは災害のせい? 被災ストレスのケアの仕方は

(写真:アフロ)

このたびの台風被害に遭われた全てのみなさまとペットたちに、お見舞い申し上げます。今後の被害の拡大がないことを、心よりお祈り申し上げます。

災害に遭遇すると、人はかなりのストレスを受けます。その傍らにいる犬も同じようにストレスを受けているのでしょうか。今日は、災害時の犬のストレスホルモンについて、考えましょう。

都市伝説で「飼い主が亡くなり、そのショックで一晩のうちに黒毛の犬が白髪になった」というものがあります。このことを科学的に証明できるのが、麻布大学のチームが発表したものです。2012年の以下の記事にあります。

大震災、犬の心にもストレス ホルモン通常の5~10倍

 東日本大震災後に福島県内で保護した犬から、ストレスを感じると分泌されるホルモンが犬の通常の5~10倍と高い濃度で検出されたと、麻布大(相模原市)のチームが11日付英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

 震災でペットも大きなストレスを受けたことを示す結果。チームの茂木一孝准教授は「時間がたってもストレスが大きいままという結果が出て驚いた。犬は人との密接な関わりの中で過ごすのが幸せで、大震災で突然、飼い主との絆が断ち切られたのが影響しているのだろう」と話している。

 チームは、震災後に福島県内でさまよっていて保護されるなどした直後の、2011年5月と11月に同大で引き取った犬17匹の尿を分析。ストレスホルモンと言われる「コルチゾール」の濃度を調べ、震災前に神奈川県内の保護施設から引き取った犬8匹と比較した。

 福島の犬のコルチゾール濃度は神奈川の犬の5~10倍で、引き取ってから70日たっても濃度が高いままだった。人に寄っていったりする「愛着行動」や、伏せなどの「学習能力」が低いことも判明。人間でも強いストレスでこうした状態になるとの報告があるという。

出典:2012.10.11 共同通信

つまり東日本大震災のときに、福島をさまよっていた犬は、普通の状態の犬より5~10倍のストレスホルモンが、分布されたと麻布大チームは報告しています。

一晩のうちに、強いストレスがあると、黒毛が白髪に変わるという都市伝説も、まんざら嘘ではないのです。

ストレスホルモンとは

ストレスホルモンとは、ストレスによって、血中に分泌されるホルモンの総称です。まずは、ストレスがあると、視床下部から副腎皮質刺激放出ホルモン(CRH)が分泌され、それにより下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、さらに副腎皮質からコルチゾールが分泌されます。このコルチゾール、本来はストレスから守ってくれるものなのですが、一日中、多量に分泌され続けると、緊張した状態が続いて睡眠不足になったり、イライラしたりします。

犬の症状

・夜に眠れないので、ウロウロする。

・食べたことを忘れたように、食欲が旺盛。とめどもなく食べ物を欲しがる。

・落ち着きがなく、部屋をぐるぐる回る。

・手、足を仕切りに舐める。

・疲れて、あまり食欲がない。

・下痢気味。

などがある場合は、ストレスホルモンが多量に分泌されているのかもしれません。心配な方は、動物病院にいけば、コルチゾールを測定してくれます。臨床現場では、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、副腎皮質機能低下症(アジソン病)の診断に用いられます。

対処方法

・夜になると、電気を早めに消して、暗くする。

・スキンシップをたくさん取る。よく撫でてあげる。

飼い主も、ペットと触れ合えば、オキシトシンというリラクセーションのホルモンが分泌されてリラックスできます。そして交感神経から副交感神経が優位になり、犬も人間もよく眠れるようになる。

・長い時間、明るい部屋で、犬の傍らで、パソコンやケータイを見るのはNG。

まとめ 

犬も人と同様に、ストレスに敏感に反応します。そのことを知っていないと、災害に遭ったときに、犬のケアが正しくできません。じっくり、ゆったりした時間を犬と過ごして、リラックスした時間を作るように、心掛けたいものです。今回の麻布大学の研究は、犬だけですが、人の傍らにいる猫も同じようなことが起きている可能性があります。災害のときは、人もそうですが、ペットにも気配りができる時代が来ることを願っています。