その後、津波防災意識は高まっているか?

高知県香南市の津波避難タワー

あれから5年の変化は?

アンケート結果(1)
アンケート結果(1)
アンケート結果(2)
アンケート結果(2)

2011年3月の東日本大震災時の映像が流され、その後も津波に関する啓蒙活動が行われています。また、近い将来に発生が懸念されている南海トラフ巨大地震に伴う津波ハザードマップや被害予測が公表され、その対策として写真のような津波避難タワーが整備されつつあります。では、一般の人々の津波防災意識はどうなのでしょうか?県外からの来訪者が大多数を占める和歌山県白良浜海水浴場の利用者に対する津波防災意識に関する調査結果を見てみると、その変化が分かります。この調査は関西大学と京都大学の共同研究で実施したもので、東日本大震災以前の2006年と、直後の2011年、それ以降の2013年および2015年の8月初めの週末に聞き取り調査をしました(男性604名、女性707名)。津波に対する危険認識度の調査結果(アンケート結果1)の強く感じると答えた人の比率を見ると、震災直後には急増していますが、4年目の2015年には減少に転じています。一方、海岸利用時の津波に対する意識の結果(アンケート結果2)では、常に意識している人の比率は震災直後に若干増加したものの、その後は震災前の状態に戻っています。また、どちらかというと意識しているという人の比率は、震災直後に急増したものの、2年以降は減少しています。これらの結果は、一般の人々の津波防災意識が大規模な被害が発生した直後には高くなるものの、時間の経過とともに以前に戻ってしまうという傾向をしめしていますので、防災意識向上のための対策が必要なことを示唆しています。

防災意識を向上させるには?

水害現象を観察できる都市ジオラマ模型
水害現象を観察できる都市ジオラマ模型

では、どうすれば良いのでしょうか?現在、防災意識の啓蒙活動としていろいろな防災教育が実施されています。その一つとして、関西大学と京都大学の研究グループで作成した写真のジオラマ模型を用いた防災教育効果を紹介します。この模型では水を使い、豪雨や河川氾濫による地下空間を含む浸水現象とその対策、および津波による浸水現象を観察することができます。この装置を用いた防災教育を、大阪府、兵庫県および和歌山県の小学3年生と4年生の343名(男子児童187名、女子児童156名)を対象に実施してきました。その際、観察実験の前後に水害現象に関する知識と防災意識に関するアンケートを実施して防災意識の高さを評価しました。実施前の評価は、各小学校の防災教育への取り組み状況によって異なっていますが、平均すると100点満点で56点とあまり高いとは言えない結果となりました。しかし、観察実験後には、92点という高得点となったことから、現象の理解が防災意識の向上に役立つことが確認されました。もちろん、通常の講義形式の防災教育も効果的であることも確認されました。

東日本大震災のような大規模な災害を経験することは非常にまれであり、多くの人々が現象やその結果で何が起こるのかを理解することは、非常に困難なことから、より効果的な防災教育が必要とされているのが現状です。