警報発令「インフルエンザ」要注意の都道府県は?

(写真:アフロ)

 国立感染症研究所が発表した今年49週のインフルエンザの定点当たり報告数(※1)によると、全国的に流行期に入っているようだ。特に報告数の伸びが顕著な県があるので早めの予防接種が必要だろう。

全国的に増えている報告数

 全国のインフルエンザの定点当たり報告数をみると、ほとんどの都道府県で前週の48週から増えている。減っているのは和歌山県(3.51→3.31)だけだ。

 国立感染症研究所感染症疫学センターは「警報・注意報発生システム」により得られた情報の一部を還元提供し、都道府県ごとにインフルエンザの流行の警報レベルを超えている保健所があれば赤色系3段階で、注意報レベルを超えている保健所があれば黄色系3段階で示した地図を発表している(※2)。

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国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップ、第49週(2019年12月2日〜12月8日)。直感的な色の濃さでは薄いピンクより濃いオレンジのほうが目立つが薄いピンクは警報、濃いオレンジは注意報だ。

 特にインフルエンザの報告数が伸びているのは、北海道、青森県、富山県、宮城県、山口県などで、夏前からインフルエンザが流行していた沖縄県の報告数は急減している。

 厚生労働省のインフルエンザ様疾患発生報告によれば、第49週期間中の保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校で学級閉鎖をした学校数は、北海道64校、青森県13校、富山県8校、宮城県27校、山口県21校だった。また、全国的にみても休校、学年・学級閉鎖した施設数は、第45週115校、第46週258校、第47週495校、第48週933校、第49週1632校へと週ごとにほぼ倍々で急増している。

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第42週からのインフルエンザの定点当たり報告数で大きな変化のあった道県。国立感染症研究所「感染症発生動向調査週報」よりグラフ作成筆者

要注意の乳幼児と高齢者

 全国約500カ所の基幹定点医療機関から届け出で報告されたインフルエンザの入院患者も週ごとに増えていて、特に1〜4歳の幼児や70歳以上の高齢者で急増している。乳幼児に対する不活性化インフルエンザワクチンには一定の効果があるとされ、重症化の予防にも有効性が示唆されるようだ(※3)。また、高齢者に対するインフルエンザワクチンには厚生労働省がパンフレットを作成し、流行前のワクチン接種を呼びかけている。

 厚生労働省によれば、今年の国内のインフルエンザウイルスは第45〜49週で、ヒトA型のAH1pdm09が95%、AH3亜型が4%、ヒトB型が2%だという。AH1pdm09は2009年に世界的なパンデミックを起こしたウイルスで、2009年では10~12月に発生のピークがあった。

 インフルエンザに対しては、やはり早めの予防接種が重要だ。外出時にはマスクをし、人混みへ出て帰宅したら、うがいと手洗いを入念に行ったほうがいい。すでにインフルエンザにかかっている患者は、外出を極力ひかえ、咳やくしゃみなどで他者に感染させないようにするべきだ。

 小さな子どもや65歳以上の高齢者、妊産婦、がん患者や糖尿病患者など免疫力の落ちている人は要注意だろう。また、乳幼児がインフルエンザにかからないようにするためには、保護者や乳幼児に触れる可能性のある人がよく手洗いをしたりマスクを着用し、乳幼児がなるべくインフルエンザウイルスにさらされないようにすべきだ。

※1:定点当たり報告数:医療機関数に応じた感染症の平均報告数のこと。感染症法に基づいて報告される感染症のうち、インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの24種類に関しては、医療機関の中から選んで報告の協力をしてもらっている定点医療機関からの報告を算定している。対象となる感染症について、1つの定点医療機関当たりの平均報告数が定点当たり報告数ということになる。例えば、東京都には419カ所(2019年10月現在)のインフルエンザ定点医療機関があるが、ある週のインフルエンザの報告数が500人だった場合、500/419=1.19というのが定点当たり報告数

※2:色の段階は、各都道府県の保健所数に対して警報・注意報レベルを超えている保健所数の割合。警報の基準値は、過去5年間の流行状況(全国の定点を有する保健所数×5年間×52週;インフルエンザと小児科定点では延べ約17万週、眼科定点では延べ約7万週)の中で、一連の警報発生の起こる確率が1%程度になるように定めたもので、1週間の定点当たり報告数がある基準値(警報の開始基準値)以上の場合に発生し、前の週に警報が発生していた場合、1週間の定点当たり報告数が別の基準値(警報の継続基準値)以上の場合に発生する。注意報の基準値は、警報発生後の注意報を除いて、警報発生前の4週間に注意報が出る確率を約60~70%、警報が発生しない期間に注意報が出ない確率を約95~98%、注意報が出た場合にその後4週間以内に警報が出る確率(注意報の的中率)を約20~30%になるように定め、警報が発生していないときに、1週間の定点当たり報告数がある基準値(注意報の基準値)以上の場合に発生する。インフルエンザの場合、定点当たりの値で流行発生警報の開始基準値30、継続基準値10、流行発生注意報の基準値10となっている。

※3:厚生労働省:インフルエンザQ&A:「現在国内で用いられている不活化のインフルエンザワクチンは、感染を完全に阻止する効果はありませんが、インフルエンザの発病を一定程度予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。乳幼児のインフエルエンザワクチンの有効性に関しては、報告によって多少幅がありますが、概ね20~60%の発病防止効果があったと報告されています。また、乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告も散見されます」