流行注意「インフルエンザ」都県別の傾向をみる

(写真:アフロ)

 今年のインフルエンザは例年より早めに流行していて要注意だ。夏休み明けから学級閉鎖のニュースが出始め、すでに流行している沖縄県は収束傾向にあるが、鹿児島県や佐賀県などでは患者が増加傾向にある。

ワクチン供給量は過去3年より多い

 米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は先々週、インフルエンザのウイルスは国や地域で異なるとしつつも今後は南半球のみならず、北半球でも流行する危険性があるという週報(2019年10月11日)を出した。この報告によれば、生後6ヶ月以上の人に対し、10月中のインフルエンザワクチン接種が望ましく、生後6ヶ月以下の乳幼児については、両親や保護者などがインフルエンザにかからないようにより積極的なワクチン接種を推奨している。

 厚生労働省は2019年10月4日の事務連絡で、インフルエンザワクチンの供給について各都道府県へ情報を発信している。2019年のインフルエンザは例年より早い定点当たり報告数(※1)の増加が見られ、インフルエンザワクチンの製造販売関連団体などに対し、ワクチンを医療機関などへ迅速に納入するよう努めることなどを依頼したという。

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1986~2019年のインフルエンザワクチンの供給量と使用量の経年変化。2019年の供給量は過去3年を上回っているという。国立感染症研究所:厚生労働省:季節性インフルエンザワクチンの供給についてより

 今年は夏休み明け前後から全国の小中学校でインフルエンザによる学級閉鎖が行われ、早くも流行の兆しを見せている。沖縄県での患者発生数が大きく増えたことが影響していると考えられるが、すでに沖縄県の患者数は減少傾向にある。

流行が心配される県は

 一方、急激な伸びをみせているのが鹿児島県や佐賀県、新潟県、福島県、愛媛県などだ。福島県などの被災地での流行も心配だが、東京都もすでに流行の目安になる定点当たりの報告数が1を越え、他の道府県でも今後、患者が増えていくことも予想される。

 鹿児島県は、西之表保健所管内でインフルエンザの定点当たり発生報告数が39週の時点で22を越えたことで、10月2日にすでに流行発生注意報を発令している。ちなみに注意報の開始基準値は10だ。その後の鹿児島県の週報によれば、西之表保健所は41週で7に落ち着いたものの、名瀬保健所管内で14.4、鹿児島市保健所関内で8.22となっていて予断を許さない。

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2019年30~41週のインフルエンザの定点当たり報告数の特に多い都県別比較。沖縄県は右軸で一桁多いが、9月半ば以降は収束傾向にある。一方、鹿児島県、佐賀県、新潟県、福島県、愛媛県は増加傾向、福岡県は減っているがまだ報告数は多い。国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報より筆者グラフ作成

 厚生労働省によれば、今年の国内のインフルエンザウイルスは、ヒトA型のAH1pdm09が73%、AH3亜型が17%、ヒトB型が10%だという。AH1pdm09は2009年に世界的なパンデミックを起こしたウイルスで、2009年は10~12月に発生のピークがあった。

 インフルエンザに対しては、やはり早めの予防接種が重要だ。外出時にはマスクをし、人混みへ出て帰宅したら、うがいと手洗いを入念に行ったほうがいい。

 小さな子どもや65歳以上の高齢者、妊産婦、がん患者や糖尿病患者など免疫力の落ちている人は特に要注意だろう。また、すでにインフルエンザにかかっている患者は、外出を極力ひかえ、咳やくしゃみなどで他者に感染させないようにするべきだ。

※1:定点当たり報告数:医療機関数に応じた感染症の平均報告数のこと。感染症法に基づいて報告される感染症のうち、インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの24種類に関しては、医療機関の中から選んで報告の協力をしてもらっている定点医療機関からの報告を算定している。対象となる感染症について、1つの定点医療機関当たりの平均報告数が定点当たり報告数ということになる。例えば、東京都には419カ所(2019年10月現在)のインフルエンザ定点医療機関があるが、ある週のインフルエンザの報告数が500人だった場合、500/419=1.19というのが定点当たり報告数