「はやぶさ2」より早く「居住可能な太陽系外惑星」を見つける方法

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 地球に生命が誕生してから約38~39億年ともいわれているが(※1)、ほかの太陽系に人類が居住可能な惑星があるかもしれない。生命はいったい地球で独自に発生したのか地球外の宇宙由来かなどの結論は出ていないが、居住可能な惑星を見つけるための方法が論文にまとめられた。

リュウグウに生命誕生のヒントが

 はやぶさ2は、2014年にJAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた小惑星探査機で、目標天体は地球から約3億km離れた小惑星「リュウグウ(162173 Ryugu)」だ。はやぶさ2はすでにリュウグウの上空に到着し、秋からリュウグウへ着陸しての本格的な探索調査に臨むという。

 目標天体である小惑星リュウグウは、太陽系ができた頃に誕生したと考えられるC型小惑星の破片だ(※2)。C型小惑星は炭素や有機化合物、水などを含んでいるので、はやぶさ2がリュウグウから持ち帰ってくる予定の石や砂に液体の水など宇宙生命の起源を探る上のヒントがあるのではないかと期待されている(※3)。

 初代はやぶさが持ち帰ったイトカワのサンプル分析により、隕石が小惑星から由来するものということがわかった。地球のような大きさの惑星はこうした小惑星が集まってできたと考えられ、太陽系に漂う小惑星を調べれば太陽系の成り立ちや地球の生命の起源などを探ることができるはずだ。

 地球上の生命がどのようにした誕生したのかはまだ謎だ。地球外から何らかの作用があり、それで地球に生命が生まれたという説も根強い。例えば、アミノ酸は宇宙にありふれた物質であり、地球へ落下してくる隕石にも含まれている(※4)。

 また、宇宙に存在する物質の多くは、対称性のある鏡像の対になっている。アミノ酸も左手型のLアミノ酸と右手型のDアミノ酸だ。ところが、地球上の生物のタンパク質はほぼ左手型のLアミノ酸によって作られていて、D型アミノ酸との量の違いに強い偏在性がある。この理由が、宇宙に存在するアミノ酸の性質によるものではないかという研究者も多い(※5)。

 これまで世界中の天文学者は、太陽系以外に3500以上の太陽系外惑星(Exoplanets)を発見しているが、この中には地球と同じサイズで同じ環境と思われるものも少なくない。生命誕生が地球だけに起きた偶然ではなく、宇宙のアミノ酸が生命の誕生に何らかの影響を与えているとすれば、地球以外の天体にも生命が存在するという可能性が高くなる。

他惑星居住の可能性を探る

 生命が存在する惑星を見つけることができれば、遠い将来、人類はそこへ移住することができるかもしれない。

 先日、米国のカリフォルニア大学リバーサイド校などの研究グループが、地球外生命体を探るための方法をリストアップし、人類が居住可能な惑星探査の方法をわかりやすく紹介した論文を発表した(※6)。地球外生命体の調査研究や火星探査、惑星居住計画では、米国NASA(航空宇宙局)のデビッド・デス・マライス(David Des Marais)が有名だが、この論文でも彼の研究を多く紹介している。

 リュウグウの事前探索で発色(スペクトル)の分析で惑星を組成している物質の推測が行われたように、遠く離れた惑星の発色を調査することで生命反応を探ることが可能という。こうした発色分析では、太陽系外惑星の大気の組成、赤外線の反射、季節の変化による生体反応などがわかる。

画像

色温度(左、ケルビン)と発色による炭素循環(Carbonate-Silicate Cycle)の評価の図。地球との大きさの比較などで居住可能な惑星の範囲を示している。中心の黄色い線(Runaway Greenhouse)は太陽からの熱で惑星から水分が蒸発し、大気圏中の温暖化が限界になる境界。Via:Schwieterman Edward, et al., "Free Access Exoplanet Biosignatures: A Review of Remotely Detectable Signs of Life." Astrobiology, 2018

 これらの太陽系外惑星は何億光年も彼方の距離にあり、現在の人類の技術では有人宇宙船を到達させられないし、酸素や二酸化炭素の存在が示唆させるからといってその惑星に地球外生命がいるとは限らない。だが、今のうちに人類が居住可能な惑星を探索することは無意味ではないと研究者はいう。

 もちろん、はやぶさ2のミッションは居住可能な惑星を見つけることではないし、リュウグウに居住することも不可能だろう。だが、太陽系と生命誕生の秘密を解き明かすことが、将来の他惑星居住のために役立つのは確かだ。

 順調にサンプルの採取に成功すれば、はやぶさ2は2020年には地球へ還ってくる予定になっている。現在の技術では、数億kmの距離にあるC型小惑星が限界だ。だが、初代はやぶさがS型小惑星へ、はやぶさ2がC型小惑星へ到達したように、今後は小惑星探査機の到達距離を伸ばし、木星軌道などより遠方にあるP型小惑星やD型小惑星からのサンプル採取に挑んでいくのだろう。

※1:「1億年以上も遡る地球『最古の生命』を日本人が発見」Yahoo!ニュース:2017/09/28

※2:JAXA:「小惑星の種類と探査」(2018/06/27アクセス):リュウグウはC(Carbonaceous)型小惑星、初代はやぶさが探査した「イトカワ」はS(Stony、Sillicaceous)型小惑星、木星軌道まで遠方にはP(Pseudo-M、疑似M)型、D(Dark)型の小惑星がある

※3-1:Faith Vilas, "SPECTRAL CHARACTERISTICS OF HAYABUSA 2 NEAR-EARTH ASTEROID TARGETS 162173 1999 JU3 AND 2001 QC34." The Astronomical Journal, Vol.135, 1101-1105, 2008

※3-2:D Lazzaro, et al., "Rotational spectra of (162173) 1999 JU3, the target of the Hayabusa2 mission." Astronomy & Astrophysics, Vol.549, 2013

※4:Cornelia Meinert, et al., "Ribose and related sugars from ultraviolet irradiation of interstellar ice analogs." Science, Vol.352, Issue6282, 208-212, 2016

※5-1:Tsubasa Fukue, et al., "Extended High Circular Polarization in the Orion Massive Star Forming Region: Implications for the Origin of Homochirality in the Solar System." Origins of Life and Evolution of Biospheres, Vol.40, Issue3, 335-346, 2010

※5-2:Paola Modica, et al., "ENANTIOMERIC EXCESSES INDUCED IN AMINO ACIDS BY ULTRAVIOLET CIRCULARLY POLARIZED LIGHT IRRADIATION OF EXTRATERRESTRIAL ICE ANALOGS: A POSSIBLE SOURCE OF ASYMMETRY FOR PREBIOTIC CHEMISTRY." The Astrophysical Journal, Vol.788, No.1, 2014

※5-3:George Cooper, et al., "Enantiomer excesses of rare and common sugar derivatives in carbonaceous meteorites." PNAS, Vol.113(24), E3322-E3331, 2016

※6:Schwieterman Edward, et al., "Free Access Exoplanet Biosignatures: A Review of Remotely Detectable Signs of Life." Astrobiology, Vol.18, No.6, 2018