口腔・咽頭がんリスク「2.4倍」~タバコを吸う男性

(ペイレスイメージズ/アフロ)

 がんの中で、口腔・咽頭がん(※1)は罹患率と死亡率はそれほど高くはないが、中高年の男性に多く、国立がん研究センターの「がん情報サービス」によれば、1つの場所にできると、後になって別の場所にできることの多いがんだ。

口腔・咽頭がんのリスクは喫煙と飲酒

 2016年の口腔・咽頭がんの死亡数は、男性で5396人、女性で2279人となっている(※2)。死亡率は、男性で60代前から人口10万対10を超え始めて70代前に20、75代半ばで30を超え、女性で80代から人口10万対10を超え始める。

 口腔・咽頭がんの確実なリスクとして、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer、IARC)は喫煙と飲酒を挙げている。先日、日本の国立がん研究センターの予防研究グループは、日本国内の疫学調査から日本における口腔・咽頭がんと喫煙と飲酒のリスクの関係を調べた成果報告「多目的コホート研究(JPHC Study)喫煙、飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクについて」を発表した。

 同研究グループのリリースによれば、1990(平成2)年と1993(平成5)年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所(呼称は2018年現在)管内の住人のうち、がんの既往がなく、アンケート調査に回答した40~69歳の男女9万5525人を、2010(平成22)年まで追跡した調査結果に基づき、喫煙・飲酒と口腔・咽頭がん発生リスクとの関連を調べたという。大規模で長期間のコホート調査だが、すでに論文はオンライン発表が「European Journal of Cancer Prevention」上でなされている。

 調査によると、今回の研究対象に該当した9万5525人のうち、2010年までの追跡期間中に222人(女性62人、27.9%)が口腔・咽頭がんに罹患した。

 男性では、タバコを吸わないグループ(非喫煙者)と比べて、吸うグループ(現在喫煙者)の口腔・咽頭がんの罹患リスクが2.4倍増加した。また、吸わないグループと比べて、累積喫煙指数(1日喫煙箱数×喫煙年数)が60以上のグループでは罹患リスクが4.3倍増加した。

 また、男性では酒を飲まないグループ(非飲酒者)に比べ、週に1回以上飲酒するグループ(日常飲酒者)で口腔・咽頭がんの罹患リスクが1.8倍増加した。さらに、エタノール摂取量に換算して週に300グラム以上(1日平均4合以上)酒を飲むグループで罹患リスクが3.2倍増加した。

喫煙と飲酒で4.1倍のリスクへ

 そして、喫煙と飲酒が足し合わされるとリスクがさらに上がる。タバコを吸わず飲酒量も少ない(週に150グラム未満のエタノールを摂取)グループを1とすると、タバコは吸うが飲酒量の少ないグループの口腔・咽頭がん罹患リスクは1.8倍増加した。タバコを吸わないが飲酒量の多い(週に150グラム以上のエタノールを摂取)グループの口腔・咽頭がん罹患リスクは2.1倍増加し、タバコも吸い、飲酒量も多いグループの罹患リスクは4.1倍とさらに増加した。

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男性の喫煙、飲酒と口腔・咽頭がんの罹患リスク。Via:国立がん研究センター、予防研究グループのリリースより

 また、女性では、タバコを吸わないグループと比べ、吸うグループで口腔・咽頭がんの罹患リスクは2.5倍増加し、酒を飲まないグループと比べ、週にエタノール150グラム以上を飲酒するグループの口腔・咽頭がん罹患リスクは5.9倍になったという。

 がんは人種や民族によって罹患リスクが異なることもあるが、この調査研究によりIARCの評価と同じように日本人でも喫煙と飲酒が口腔・咽頭がんのリスクとなることがわかった。喫煙者で酒をよく飲む中高年の男性は特に気をつけたいのはもちろんだが、受動喫煙からの悪影響も無視できない。酒の場でタバコの煙を吸い込まされれば、がんのリスクが上がるのだ。

※1:口腔・咽頭がんは口腔がんと咽頭がんの総称。口腔がんは、口腔内の舌、歯肉、口腔底、口蓋、唾液腺等の部位に発生したがんを指す。咽頭がんは、咽頭を構成する上咽頭、中咽頭、下咽頭および扁桃等の部位に発生したがんを指す。

※2:人口動態統計(厚生労働省大臣官房統計情報部編)

※2018/01/28:9:54:最後のパラグラフに「のはもちろんだが、受動喫煙からの悪影響も無視できない。酒の場でタバコの煙を吸い込まされれば、がんのリスクが上がるのだ。」を加えた。