Yahoo!ニュース

「俺はコロナにかからない」にあ然 夫婦間にできた溝どう埋める?

五百田達成作家・心理カウンセラー
(写真:アフロ)

「平気、平気。俺はかからないよ。だって今までかからなかったんだから、これからもだいじょうぶ」

コロナ禍を受け緊急事態宣言が再発令された先々週のこと。友人女性は、夫のこんな発言に頭を抱えました。

新型コロナウィルスとの暮らしも1年弱が経過し、夫の気のゆるみを妻は感じていました。帰宅しても手を洗わなくなり、マスクの着用も次第にルーズに。「ちゃんとしてよ」と口うるさく注意しても聞かず、しまいに飛び出したのが冒頭のセリフでした。

「本気で言ってるの? いったいどういう理屈?」と、膝から崩れ落ちそうになったと言います。

この夫婦は、たまたま夫が楽観的すぎたわけですが、夫婦で逆のケースももちろんあります。

コロナに対してどれぐらい警戒するか。感染予防にどれだけ意識と手間を割くか。

夫婦で食い違うコロナ観が、いま日本中の家庭でトラブルの種となっています。

コロナで試される夫婦の「戦友意識」

そもそも夫婦という関係には「戦友」としての側面があります。一緒に人生を戦うパートナー。家庭という企業の共同経営者と言ってもいいでしょう。そんなふたりですから、日ごろから綿密なコミュニケーションが欠かせません。

どのような家庭を築くか、という明確なビジョンを共有する。

子どもを持つか持たないか、持つならどのように育てるか、家を買うか買わないか、介護をどうするか、といった選択のひとつひとつに、互いに責任を持つ。

家事や育児などの日々の作業を分担し、報告・連絡・相談をおろそかにしない。

ただでさえ毎日を一緒に戦う仲間である夫婦にとって、コロナ禍とは文字通り「戦争」であり、今の状況は「戦時下」です。

写真:アフロ

コロナという敵にどう立ち向かうか?

ウィルスをどの程度危険と見なすのか?

どうやって家庭に入ってくるのを食い止めるか?

感染予防をしつつも、日常の生活・仕事をどう守るか?

国や自治体が考えるようなことを、各家庭単位で考える必要があります。その主体となるべきなのは夫と妻、両方。どちらかにお任せというわけにはいきません。ふたりの責任で一緒に考え、家庭の方針を決める必要がある。

ですが、多くの夫婦はそこのところを上手に話し合えていません。つい感情的になって言葉をぶつけたり、自分勝手な楽観論(あるいは悲観論)を相手に押しつけたり。

結果として、ふたりのコロナ意識はどんどんすれ違っていき、下手をすると「コロナ別居・コロナ離婚」へと向かうわけです。

コロナ会議のすすめ

お互いのコロナ観をすり合わせるためには、「だいじょうぶだよ」「いや、危ないって」と言い合っていてもラチがあきません。

大事な一戦の前には作戦会議が欠かせないように、きちんと時間を設けて夫婦会議を開くべきでしょう。題して「コロナ会議」です。

その際には「意見を整理して伝える」「論拠となる情報を明示する」「相手を一方的に非難しない」「妥協点を探る」といった、話し合いの基本マナーが欠かせません。

「このような情報を、●●で見たので、私は危険だと思う」

「こんな記事を、○○で見たので、僕はだいじょうぶだと思う」

このように(なるべく)冷静に意見を交わし合うべきです。

感情論も許容しあう

写真:アフロ

とはいえ、なかなか冷静になれないことも多いでしょう。

「頭ではわかるけど、こわい物はこわい」

「気持ちはわかるけど、どうしても出かけたい」

こういった主観・感情論も一概にNGとは言えません。誰にも言えない不安な気持ち、大きな声では言えない欲求を打ち明けられる間柄というのも、夫婦の大事な側面なのですから。

むしろこのような本音がこぼれてくるぐらいにじっくりと語り合えれば、仮にコロナ観のへだたりは埋まらなかったとしても、夫婦の結束は強まるはずです。

コロナ観は頻繁にアップデート

さて、こうした会議は一度結論が出たからそれでOK、というものではありません。むしろ頻繁に開くべき。というのも、コロナへの警戒意識はひとりの人間の中でも日替わりで変わるからです。

ある日は「まあ、だいじょうぶかな」と思っても、3日後には「怖くてしかたない」となったりもする。

「こういう話を聞いたけど、どう思う?」「こういう記事を読んだんだけど、本当かな?」と、気持ちが揺れ動く度に共有し、夫婦としてのスタンスを頻繁にアップデートしましょう。

でないと「あれ? これはOKっていう話じゃなかったっけ?」と、思わぬ地雷を踏むことになります。

ですから「うちは夫婦で足並みがそろっているからだいじょうぶ」と思っている夫婦にも、ぜひ一度、コロナ会議を開くことをおすすめします。

夫婦は困難を乗り切る最小基本ユニット

コロナへの意識は千差万別。100人いたら100通りのコロナ観があります。全人類が一丸となるのは正直無理があるでしょう。

ですが、最も身近で最も大事なパートナーである夫婦ぐらい、なんとか同じ方向を向きたいものです。そのためには冷静で頻繁な話し合いが欠かせないのです。めんどくさいですが、仕方ありません。

今後もしコロナが収まるようなことがあったとしても、「戦友」としての関係はそこで終わりません。長い人生、もしかしたらコロナ以上の思いも寄らないトラブルに見舞われるかもしれません。

だからこそいまここで、お互いを戦友として尊重する意識、一緒にトラブルを解決する姿勢を築いておきましょう。

それは間違いなく、夫婦という大切な社会インフラを安心・安全・強固なものにしてくれるはずです。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

作家・心理カウンセラー

著書累計120万部:「超雑談力」「不機嫌な妻 無関心な夫」「察しない男 説明しない女」「不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち」「話し方で損する人 得する人」など。角川書店、博報堂を経て独立。コミュニケーション×心理を出発点に、「男女のコミュニケーション」「生まれ順性格分析」「伝え方とSNS」「恋愛・結婚・ジェンダー」などをテーマに執筆。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。

五百田達成の最近の記事