「私は〜〜な人」「僕は〜〜なタイプ」という言い回しを耳にすること、ありませんか?
「私って、ビール飲めない人なんで」
「僕、朝起きれないタイプなんですよ」
「目玉焼きには、醤油をかけたい派だな」
いずれも「私は〜〜だ」というシンプルな言い方に比べて、「私は〜〜なグループに属している」というニュアンスが込められます。「多く存在するうちのひとりです」とスタンスをあいまいにしたい、「自分だけの意見なわけではない」と言い訳をしたい、そんな狙いがあるのでしょう。
マズローの欲求段階説を持ち出すまでもなく、人は「どこかに所属したい」気持ちを持っています。自分ひとりでは不安、どこかの組織に属していたいという思いは、承認欲求(認めて欲しい)の一種とも言えるでしょう。
「私って、ビール飲めない人なんで」
→「ビールを飲めない私を認めてほしい」
「僕、朝起きれないタイプなんですよ」
→「朝起きれないのは自分だけではないので許してほしい」
「目玉焼きには、醤油をかけたい派だな」
→「醤油をかけたいからといって非難されるいわれはない。現にそういう人は他にもいるはず」
というわけ。
ところがあまり多用しすぎると、自信のない雰囲気、立場を決めかねているニュアンスが醸し出されるので注意が必要です。
以前、喫茶店で見かけたあるカップルは困り切った顔をした彼氏が彼女に向かって、
「●●ちゃんはさあ、もし赤ちゃんできてたら・・・うれしい派?」
と尋ねていて、耳を疑いました。
「ビールは苦手なんです」
「早起きは得意じゃないんです、すみません」
「目玉焼きには、断然醤油をかけたい!」
などプレーンに言い切ったほうが気持ちのいい場面も多いのです。気をつけてみてください!