あなたも危ない。人がストーカー行為を働く心理、2タイプ。【アイドル刺傷事件】

(写真:アフロ)

アイドル活動をしていた大学生が刃物で刺され重体となっている事件で、「冨田さんに声をかけたが無視されたので追いかけた」など、容疑者の供述が注目されています。

アイドルを追いかけるファン、別れ話がこじれたカップル……。いわゆるストーカーによる事件は後を絶つことがありません。そもそも人はなぜ、ストーカーになってしまうのでしょうか? 

人が好意や恋愛感情をこじらせてストーカー行為を働いてしまう心理には、大きく分けて「You型」と「Me型」のふたつがあります。

「You型」のストーキングを行う人の意識は、ただひたすら「相手」に集中します。相手を手に入れたいという純粋な思いこみが原動力で、相手は何を考えているのか、今何をしているのかを、とにかく知りたくてたまらない。あの人と自分はうまくいくはずだ、こんな風にふたりは付き合えるはず……と妄想がふくらみます。

いっぽう「Me型」の場合、大事なのは相手ではなく「自分」です。アプローチや告白がうまくいかなかった、あるいは振られてしまった。そうして傷いたプライドの代償を支払わせたいという思いが出発点になります。

自分ほどの人間がなぜ否定されなければならないのか納得できない、「間違いだった、やり直したい」と言わせたい……。暴力につながる場合も多い心理で、挫折に慣れてないプライドの高い人が引き起こしがちなパターンです。

と、こう見ると、ストーカーというのはとりたてて異常な行為ではなく、誰しもが陥る可能性のある行動ということが分かるはずです。

なぜなら恋愛とは、多かれ少なかれ「相手(You)」のことを考えすぎたり、「自分(Me)」のプライドを保とうとしたりする行為だからです。

ある女性は、3年前に自分を振ってくれた男性に感謝しているそうです。あのとき振られたからこそ、自分の人生観の甘さに気づけたし、そこから変わろうと思えたし、いま付き合っている彼のよさもわかるようになれた。だから、元彼に対しては「ありがとう」という気持ちしかないのだとか。

逆にある女性は、長くつきあっていた男性となかなか別れられず、情に流されるままズルズルと関係を続け、心の底から嫌いになってからようやく振ったのですが、おかげですっかり男性不信になり、なかなか次の恋愛に行けず困っています。

「今回の事件は恋愛じゃない」「一部の異常なファン心理によるもの」と片付けるのは早計というもの。異性への好意が届かなかった気持ちという点では、今回の事件もまた、恋愛が引き金と言えるのです。

人づきあいを勝ち負けで考えないクセをつけることはとても大事なことです。恋愛は「告白した・告白された」「振った・振られた」「傷つけた・傷ついた」という、一方的で簡単な図式では語ることができません。

「振ったほうが上の立場、振られたほうが不幸」という、単純すぎる恋愛観から自由になることこそ、自分がストーカーにならない、隣人をストーカーにしてしまわないために大事なことと言えるでしょう。

五百田 達成(「察しない男 説明しない女」著者)