「親子の日」ってなんだ? 外国人カメラマン、ブルース・オズボーンが撮影した親子のストーリー

親子の日の撮影をするブルース・オズボーン 撮影:大崎結

どうして「親子」をテーマに写真を撮りはじめたのか?

7月第4日曜日の「親子の日」にブルース・オズボーンは100組の親子をスタジオに招待して写真の撮影会をやっていた。今年で16年目を迎えた。彼がそもそも「親子」に興味を持ったのは30年前に遡る。彼はパンクロッカーの青年を雑誌PinHeadの取材で撮影することになった。その時、だだ撮影しても面白くないと思い、彼のお母さんにスタジオに来てもらった。そこには2つの世代のコントラストがくっきり写っていた。その中にブルースは不思議な一体感を感じとった。

「親子」という1つの言葉は英語にはない

とブルースは言う。英語では「親」と「子」は独立した単語だ。日本の「親子」の中にブルースが見た不思議な一体感、日本独自の「親子という関係性」に着目して撮影をした。ブルースは日本の親子の中に「ジャパニーズカルチャー」を発見したのだ。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

様々な親子を撮影するうちに、親子の中に一括りにできない多様性を発見するようになる。気がつけば、撮影した親子は7000組を超えていた。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

「親子の日」をつくる

父の日、母の日があるのに、どうして「親子の日」はないのだろう。

2003年には親子関係をもっと大切にしてもらいたいと「親子の日」を創設した。7月の第4日曜日を「親子の日」と定め100組の親子を招待した無料撮影会をはじめた。今年も100組の親子がスタジオに集まった。思い思いの扮装や様々なポーズをとる親子。ブルースはその親子の関係性を一瞬のうちに感じ取り、切り撮っていく。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

親子の日に毎年撮影をしてもらっている

横山さん親子に話を聞いた。

「主人が長い間単身赴任で家族が揃うことがないので、毎年親子の日にみんなが集まって写真を撮るのが家族の目標になっていて9年間頑張ってきた」と語るお母さん。毎年、子供達が大きくなって追い越されそうだと嬉しそうに語るお父さんに「親子とは?」と質問してみた。

「離れていてもいつも心が一緒にいるのが親子じゃないでしょうか」という答えが返ってきた。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

「親子は、一生親子」

俳優であり劇作家でもある渡辺熱さんが年頃の娘とやってきた。今まで母親と撮影してきたが、娘と撮影するのははじめてだ。普段カメラの前に立つのはなれているはずだが、今日はちょっと緊張気味だ。ブルースが「手を繋いで!」と声をかけると照れながらも嬉しそうに手を組んだ。優しいお父さんの素顔が覗いた。17歳になった娘の涼さんも「久しぶりにお父さんと手をつないで子供の頃を思い出した」と言う。懐かしさと嬉しさといろんなものが蘇ってきたと父は遠い目をした。母親とも親子写真を撮ってきた渡辺さんにとって、親子写真は今を感じ、その時の親子関係を感じることのできる大切なものだと思っている。「親子は、一生親子」だと言う渡辺さんは、成長していく涼さんを前にこれから「新たな親子」を見つけていくのかもしれないと語った。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

「これまでの人類がみんな親子だったんだ」

朝吹理世さんが夫の惇さんと大きなお腹を抱えてやってきた。惇さんはお腹の中にいるうち、親子の日に写真を撮れたことをこの子に自慢したいのだという。お腹が大きくなる中で親になるのを実感しながら理世さんは、

「これまでの人類がみんな親子だったんだ」と改めて気がついたという。

彼女にとって「親子は、つながり」。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

「親子は、空気」

と答えてくれたのは、根岸さんだ。

彼は昨年子供が生まれるまでは「親子」っていうことを特に意識したことがなかった。親になってはじめて親子関係について考えるようになり、自分の親についても思いを巡らすようになった。

彼にとって、親子は「空気」のように目に見えないが、なくてはならない大切なものなのかもしれない。

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

「シングルファザーで娘を育ててきた」

と語るのは、加藤直哉さん。20代後半になる娘の満梨奈さんと写真を撮りにきた。お弁当を褒めたら、同じものが毎日出てきたと父親を揶揄する満梨奈さん。一生懸命男手1つで娘を育ててきたのに娘は高校卒業するとすぐに置き手紙を残して家を出ていってしまった。娘と再会したのは直哉さんの父親が死んで、お墓参りに誘った時だった。「父の死という親子関係がふたりを結びつけてくれたのかもしれない」とその当時を振り返る。それがきっかけで仲直りして今では時々飲みにいったり、満梨奈さんが一人暮らしで面倒をみれなくなったトイプードルも預かって娘のように大切にしているという。

「いろんなことがありましたけど何があっても血が繋がった娘なんで、いくつになっても心配ですよね、それが親なんじゃないでしょうかね」としみじみと語った。「ここで泣いたらいいんですかね」と父の気持ちをはぐらかした満梨奈さんだが、彼女の目は潤んでいるようにみえた。

親子の日をきっかけに、満梨奈さんが言えなかった気持ちを父親に綴った。

「男手一つで女の子を育てるのは大変だったろうに

がんばって育ててくれたこと感謝しています。 from Marina」

撮影:ブルース・オズボーン
撮影:ブルース・オズボーン

デンマークの留学から戻ってきた

デンマークの留学から戻ってきた長女と次女の3人で撮影にきた加藤暁子さん。長女は次の留学準備をしていて、3人で過ごせる時間も限られている。インタビューの最中に笑顔の母親の暁子さんの目にいっぱいの涙が溢れた。娘がデンマークにいる間は一度も寂しい気持ちにならなかった。一緒にいればこんなにベタベタしてるのに別々に住んでる時は寂しくならなかった。「強い親子の絆はそういう強いものかなと思います」と笑顔で語ってくれた。

日本人の親子に日本独自の文化を感じてはじまった親子写真シリーズはこうして、「親子の日」というソーシャルアクションに繋がり、様々な親子にその関係を改めて考えるきっかけを作ってくれた。ブルースは最後に「親子とは?」という問いにこう答えてくれた。

「親子とは一枚の織物のようなもの、見えない糸で結ばれている」

                         ブルース・オズボーン

ブルース・オズボーン親子
ブルース・オズボーン親子

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