プロファイリングの問題について、読売新聞朝刊3/25付「論点」に寄稿しました

 急ぎで短いポストになりますが、今日中にお知らせしておかないと手に入りにくくなる性質の媒体への寄稿ご案内です。本日3/25付けの読売新聞朝刊、解説面の「論点」というコーナーに、「個人データ解析 規律必要」という、パーソナルデータを利用した「プロファイリング」の問題をテーマにした1200文字くらいの文章を寄稿させて頂きました。畏れ多くもスティグリッツ先生と宇沢弘文先生と一緒の面に載っています。

 前回の記事ではEU一般データ保護規則における論点の中から、日本で積み残された課題として「データポータビリティの権利」を取り上げましたが、同様にこのプロファイリングも我が国では積み残された課題です。技術的にも法制度的にも大変に複雑ながら、おそらくこの分野で今後もっとも重要になってくる課題のひとつだと考えています。ウェブ版には記事が出ていないようなので、ちょっと一部だけ転載します。全文はぜひ読売新聞の紙面でご覧くださいませ。

※160326追記:こちらの記事ウェブ版には無いのかなと思っていたら、プレミアムの方にありました。有料登録すると全文読めるようです。

[論点]個人データ解析 規律必要…生貝 直人氏

 ここで言うプロファイリングとは、特にインターネット上で収集される行動履歴などの大規模なパーソナルデータを解析し、個人の性質や傾向を推測する技術を指す。例えば行動パターンから疾病や事故の可能性を予測して保険料率を最適化したり、犯罪を起こす可能性が高い人を事前に特定することなどに応用が可能とされる。

(中略)

 たとえば現在では、読書環境の電子化に伴い、書籍の購入履歴、さらにはどのページをどの程度のスピードで何回読んだかまでもが電子的に記録されている。歴史を紐解けば、冷戦期アメリカの在米外国人監視活動の中で、連邦捜査局が公共図書館の貸出履歴を収集し、政治的傾向を分析するために用いていたことが批判を集めた。読書の履歴はその人の思想信条を示す機微情報であり、安易にその利用が許されるべきではない。

(中略)

 特に現在、日本人のパーソナルデータの多くは、主に米国に拠点を持つグローバルなIT企業に握られている。それは膨大な個人のプロファイリング、そして意思の操作可能性に関しても、彼らが特権的な位置にいることを意味する。「邪悪になるな」のテーゼに象徴されるように、グーグルは「邪悪」ではないが、それらの情報が国家によって使われる可能性がないとは言えない。それは昨今明らかにされた米国の国家的盗聴の実態からも明らかだろう。欧州における個人情報保護法制改革は、その状況への問題意識を強く有している。

出典:読売新聞2016年3月25日朝刊「個人データ解析 規律必要」