昨年末の投稿で、上海に向けて飛行していたデルタ航空の旅客機が、航路を半分以上飛行していたにもかかわらず、出発地のシアトルに引き返す事態が起きていた件について寄稿した。

 デルタ航空は、途中で引き返した理由について「上海の国際空港で新たに敷かれた新型コロナ防止のための機内清掃ルールに従うと、空港での飛行機の地上待機時間が予定より延びることになるため、オペレーション上、対応ができなくなった」と説明した。その機内清掃ルールが敷かれたのが、上海に向けて飛行中の時だったため、途中で引き返さざるを得なかったようだ。

米国発中国到着便のキャンセルが相次ぐ

 北京冬季五輪が迫る中、ナーヴァスになっている中国。今、米国発中国行きの旅客機の運航状況はどうなっているのか? ロイター通信によると、中国側は、新年が始まってから、米国発の74の便の運航を停止にしたという。

 AP通信によると、1月下旬から2月上旬にかけて、米国発中国着の少なくとも12便がキャンセルされている。アメリカン航空は1月下旬から2月上旬に運航予定だったダラス発上海着の6便がキャンセルにされ、ユナイテッド航空は1月下旬のサンフランシスコ発上海着の6便がキャンセルにされたという。

 比較までに、パンデミック前は、米中間では、週約100便が運航されていた。パンデミック後は減便されたものの、現在起きている運航停止状況に至るまでは週20便が運航されていた。中国には今、海外からの便は週200便しか入っておらず、この数はパンデミック前のわずか2%だという。

中国の運航停止措置をバイデン政権が批判

 米国発中国行きの便の運航が次々と停止されている状況に、バイデン政権も目を瞑れなくなったようだ。

 1月12日、米運輸省のスポークスマンは「中国の対応は米中航空輸送合意の義務と矛盾している。我々はこの問題について中国政府に接触しており、我々は必要に応じて規制措置をとる権利を保持している」と中国側の対応を批判、報復措置で対抗する可能性をチラつかせた。

 実際、米中は、コロナ禍での運航制限をめぐって対立してきた。

 昨年8月、中国側が、ユナイテッド航空の米国発の便の乗客数を40%に制限すると、米運輸省もほぼ同じ制限を中国から米国に入る便に加えて報復した。

 ユナイテッド航空はこの報復措置について「フェアネスを追求した米運輸省の対応は喜ばしい」と歓迎したが、中国外務省のスポークスマンは「米国は、中国のエアラインに対し、インバウンド便の乗客数を制限する根拠を何ら持っていない」と批判した。

運航停止措置をめぐる米中の対立

 米中は運航停止措置の是非について、考えを異にしている。

 中国側は「運航停止措置は、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、中国のエアラインを含むすべてのエアラインに対しフェアーに採用している」と主張。確かに、中国側はメルボルンやフランクフルト、パリなどの都市からくる26の到着便も運航停止にしている。

 一方、米国側は「中国の運航停止措置は、航空サービスに関する国の合意に違反している」と訴えている。

 また、米国側は「中国は、中国到着後のコロナ検査で陽性判定の旅行者が出たことについて、エアライン側に過度の責任を求めている、米運輸省には陽性となった旅行者がいつどこでウイルスに感染したかを立証する術がない」とも主張している。つまり、中国到着後に感染が判明した旅行者に関する責任の所在をめぐっても米中は対立しているのだ。エアライン側に責任を求める中国と、求めないアメリカというように。

 今回も、昨年の12月下旬に、中国に到着した米国発の便に搭乗していた何人かの乗客がコロナ検査で陽性になったことから、中国は運航停止措置をとったようだ。

 ちなみに、AP通信によると、中国側は現在、インバウンド便に搭乗できる客数を75%に制限している。また、乗客たちには、出発前と到着後にコロナ検査をするよう求めている。乗客たちが到着後のコロナ検査で陽性になると、その乗客たちを搭乗させたエアラインは、出た陽性者の数にもよるが、2〜4便の運航停止を余儀なくされるという。

 ユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空など米国のエアラインが加入している業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ」によると、米国の航空会社は、旅行者への影響を抑えるべく、米国や中国の政府と話し合っている状況だ。

 北京冬季五輪があと20日に迫る中、北京では初めてオミクロン株の市中感染例が出た。ゼロコロナ政策で感染拡大を封じ込めようとしている中国は、米国を含む世界各地から到着するフライトに対する警戒をいっそう高めると思われる。

 ゼロコロナの中国とウィズコロナの米国。対照的な政策をとる両国は、北京冬季五輪を前に、空で報復合戦を繰り広げるのか?

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