Yahoo!ニュース

トランプ氏と“不倫”した元ポルノ女優の赤裸々告白 仕事を餌に“セクハラ”するのが“トランプ流”?

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
2011年に、トランプ氏との“不倫”を告白していたストーミー・ダニエルズさん。(写真:Shutterstock/アフロ)

 トランプ氏との不倫の口止め料として13万ドルが支払われたことで、一躍、“時の人”になった元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズさん。トランプ氏もストーミーさんも、性関係があったことや口止め料について否定したが、その否定は完全に覆されてしまった。

 ストーミーさんが、2011年、インタッチマガジンStormy Daniels' Explosive Full Interview on Donald Trump Affair: "I Can Describe His Junk Perfectly"のインタビューで、トランプ氏との不倫を赤裸々に告白していたからだ。しかも、嘘発見器にかけられながらの告白で、装置は告白が嘘ではないことを示していたという。このインタビューは、当時、同誌に掲載されなかったが、今回、掲載された。

 ストーミーさんの告白。そこからは、パワーを利用したトランプ氏の“セクハラ”行為が見て取れる。

テレビ出演を餌に“セクハラ”

 インタッチマガジンによると、ストーミーさんがトランプ氏(当時60歳)と出会ったのは、2006年7月にネバダ州レイクタホで行われたセレブリティーゴルフトーナメントの会場だった。妻のメラニアさんがバロン君を出産して3ヶ月後のことだ。

「トランプは私の方を見てばかりいたわ。次のホールに行くのに、同じゴルフカートに乗り、その後、彼は、私が働いていたアダルト映画会社がスポンサーをしているギフトラウンジにやって来て、電話番号を聞いて来たわ。そして、2ショットを撮ったの。彼が“今晩、一緒にディナーをしませんか?”と誘ってきたので、“もちろん”と言ったの」

とストーミーさんはトランプ氏との出会いについて話している。

 レストランでディナーを食べると思い、ドレスアップしてトランプ氏が宿泊していたホテルのペントハウスを訪ねたストーミーさんは、トランプ氏の姿を見て驚く。パジャマパンツ姿だったからだ。トランプ氏は「部屋でリラックスすると思ってたよ」ととぼけた。

 ディナーはルームサービスで注文。トランプ氏は、自分が表紙に掲載されている経済誌を見せて「かっこいいだろう?」と、まず自分の偉大さをストーミーさんに印象づけた。また、彼女が妻のメラニアについてきくと「彼女のことは気にしなくていい」と話題をすぐに変えたという。

 ディナー時の主要な話題は、ストーミーさんのテレビ出演話だった。トランプ氏は「君は頭がいいし、セクシーだし、きれいだ。テレビに出たらいいよ。君が“アプレンティス”(トランプ氏が司会を務めていた番組)に出演できるよう僕が働きかけるよ」と美味しい話を持ち出したという。ストーミーさんは“まさかNBC局がポルノ女優をテレビに出すはずがない。でも出させてもらえるのなら出たい”と思った。

教科書に書かれているようなセックス

 そして、ストーミーさんがトイレに立ち、戻ってくると、ベッドの上に座って「ここにおいで」と誘うトランプ氏がいた。ストーミーさんはエッと思ったものの、受け入れた。しかし、「なぜセックスしたのかは実際わからないの」とストーミーさんは振り返る。また、セックスは予期していなかったため、避妊具を用意しておらず、コンドームなしのセックスだったという。売春婦とは思われたくなかったのだろう、

「セックスの最中、“お願いだから、お金なんか払わないでよね。でも彼が払ってくれるとしたら、きっとたくさんだろうな”と思ったわ」

とも話している。

 セックス自体はごく普通だったようだ。

「全然クレージーじゃなかったわ。私をチェーンでベッドに繋ぐようなこともなかった。体位も一つ。彼の陰部も完全に描写できるわ。教科書にあるような普通のセックスだった。“おお、愛している”という感じではなかったし、ポルノでやるようなセックスをしようともしなかった。変なことも口にしなかった。“おお、気持ちいい、凄い”という感じだった。彼のような年齢の人にどんなセックスを望めというの? 悪くはなかったわ。そこは誤解しないでね。行為の後、彼は“君にまた会いたい、いつ会える?”と私にぞっこんだったわ」

と振り返っている。

 セックスの後、トランプ氏は、彼女が出演したポルノコメディ作品のDVDにサインを求めたという。

 その後、ストーミーさんには10日おきくらいにトランプ氏から電話が来るようになった。ストーミーさんを雑誌で見たからとか、テレビをつけたら出ていたなどと言って電話をよこし、「あのことを会って話さなきゃね」とテレビ出演の話をちらつかせるのも忘れなかったようだ。

サメはみな死ねばいい

 その後も、ストーミーさんはトランプタワーのオフィスやウォッカの発表イベントに招かれてトランプ氏と会った。最後に会ったのは2007年7月、トランプ氏がビバリーヒルズホテルのプライベートバンガローに彼女を招いた時だ。

 ルームサービスで注文したディナーを一緒に食べたが、その時のトランプ氏の様子が奇妙だったという。トランプ氏は“シャークウィーク”という番組を見ながら、非常に怖がり、「僕はいろいろな活動に寄付するけど、サメを保護する活動には寄付しないよ。サメはみな死ねばいいんだ」と言ったというのだ。

 また、この時、ストーミーさんは、トランプ氏から、“アプレンティス”への出演話がうまくまとまらなかったことを告げられた。トランプ氏は彼女の首筋にキスして「泊まれる?」と聞いたが、気分を害した彼女はそれを振り切って帰ったという。以降、トランプ氏からの電話は少なくなり、二人の関係は終わった。

 ストーミーさんはトランプ氏との顛末について、最後にこう振り返っている。

「彼の番組に出してもらえるかどうかは50:50だと思っていたの。今思うと、すべて、私をベッドに誘い込むための大嘘だったんじゃないかしら。そして、それは上手くいったのよね」

 トランプ氏のパワーを利用した“セクハラ”は、ストーミーさんが誘いを受け入れてくれたことで“不倫”に収まり、成功したということか。

ビバリーヒルズホテルが“セクハラ”の舞台に

 一方で、ストーミーさんと酷似した状況の下、トランプ氏の誘いを拒絶した女性がいる。それは、2016年10月、トランプ氏にセクハラされたことを公表したサマー・ザーボスさんで、“アプレンティス”にも登場した。

 サマーさんは、仕事の話をするためにトランプ氏を訪ねた際、何度も接吻されたり、胸を触られたり、性器を押し当てられたりなどのセクハラを受けたという。その舞台になったのは、ストーミーさんと同じビバリーヒルズホテルのプライベートバンガロー。しかも、同じ2007年のことだった。トランプ氏はサマーさんをディナーに誘い、自分のホテルの部屋に来るようにと言った。そして、レストランでディナーをするのではなく、ルームサービスでディナーをとり、セックスを迫ったという。ストーミーさんの状況と全く同じだった。違ったのは、ストーミーさんのようにはトランプ氏の誘いを受け入れず、拒絶したことだ。しかし、そのためか、翌日、トランプ氏側からサマーさんに提示されたサラリーは希望額の半分だった。サマーさんはセックスを拒絶したために罰せられたように感じたという。

 トランプ氏はサマーさんの話は“10分間の名声を得るための嘘、クリントン氏側の差し金”と非難したが、そんな非難をしたトランプ氏に対して、サマーさんは大統領就任式直前、名誉毀損訴訟を起こした。昨年12月、その審理が始まったが、トランプ氏側は裁判所にサマーさんの訴えを却下するよう求めている。

 しかし、サマーさんとストーミーさんが、トランプ氏に、同じ年に同じ場所で同じ迫られ方をされていたことを考えると、彼女たち2人のケースは氷山の一角、他にも同様な形でセクハラされた女性がいるのではないか。また、アトランティック誌によると、これまで、総勢19人の女性たちが、トランプ氏に何らかのセクハラをされたと主張している。うち、3人は、#MeTooムーブメントが高まる中、昨年末、連邦議会に調査を求めた。

 さらに、2月6日には、スーパーモデルのクリスティ・ブリンクリーさんが、当時イヴァナさんと結婚していたトランプ氏から“プライベートジェットに一緒に乗ろう”と誘われたことを明かした。クリスティさんには、トランプ氏が女性のお尻を追いかけ回すチャラ男のように感じられたという。トランプ氏を辞任に追い込もうとする女性たちの“トランプ包囲網”はこれからも拡大しそうだ。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

飯塚真紀子の最近の記事