建設困難だけど心地よい!仮想空間で開催された「VR建築」コンテストの意義とは

VRChat上で開催された第0回「VR建築」コンテスト(画像:xRArchi)

 10年ほど前、WEB上で「セカンドライフ」というVR(バーチャルリアリティー)ゲームがブレークしたことを懐かしく思う方もいらっしゃるでしょう。

 それをさらにリアルにしたような「VRChat」というソーシャルメディアがあり、建築関係者の間で注目を集めています。

 先日、VRChatのバーチャル空間を使って、第0回「VR建築」コンテストが開催されました。

 主催者の「xRArchi」が用意した敷地に、参加者がVRで作成した建物を建て、そのできばえを競う趣向です。初めての開催にもかかわらず、61作品がエントリーする大盛況ぶりだったのです。

 各作品は12月8日~13日の審査期間、審査員だけでなく、一般の人も内外をウォークスルーして見て回ることができました。

 審査員と一緒に、いろいろな人が「アバター」という仮想の姿をまとって、各作品を回りながら音声で「わちゃわちゃ」意見を言い合う様子は、まるで本物の建物の展示場を回っているかのようなリアリティーがあります。

 その様子は、YouTubeで「第0回VR建築コンテスト『お宅訪問・交流会』」という動画で公開されているので、VRChatがどんなものなのかを知りたい方はご覧ください。

審査期間中の「お宅訪問・交流会」で各作品を回るアバターたち。(以下の画像はすべてxRArchi提供)
審査期間中の「お宅訪問・交流会」で各作品を回るアバターたち。(以下の画像はすべてxRArchi提供)

 2018年12月16日の日曜日の夜、その結果発表がネット上で行われました。見事、最優秀賞に輝いたのはCaptain+鯨井さんの「Cube Code Core.」という作品で、海上コンテナを積んだ家を樹木が取り巻くような作品でした。

ネット上で開催された結果発表。YouTubeなどでも生中継された
ネット上で開催された結果発表。YouTubeなどでも生中継された
最優秀賞に輝いた「Cube Code Core.」という作品
最優秀賞に輝いた「Cube Code Core.」という作品
上のデッキに上ると心地よい空間が広がっている
上のデッキに上ると心地よい空間が広がっている

 このほか、審査員3人による審査員賞のほか、選外佳作や特別賞も贈られました。(結果発表はこちら

 審査員賞の一つ「VoxelKei賞」を受けた「Sakura Concrete」という作品は、建物の輪郭をかたどるコンクリートの代わりに、桜の花びらが舞うというユニークなものでした。

 この建物の中に入って上を見上げると、桜の花びらに包まれたような居心地の良さを感じられます。

建物の輪郭を桜の花びらが舞う「Sakura Concrete」
建物の輪郭を桜の花びらが舞う「Sakura Concrete」
建物の中に入って見上げたところ。宙を舞う桜の花びらに包まれたような心地よい空間だ
建物の中に入って見上げたところ。宙を舞う桜の花びらに包まれたような心地よい空間だ

 もちろんバーチャルな建物なので、実際に建設することは不可能です。しかし、建物の実現性にとらわれず、人間が心地よいと感じる空間や建築デザインとは何かを追求していけるところが、VR建築のよさではないでしょうか。

 もし近い将来、壁や天井を有機ELなどの巨大なディスプレーで覆った建物が造られるようになると、「宙を舞う桜の花びらに包まれる建物」も、実現可能になるかもしれません。

 「VR建築」によって心地よい建物や空間のデザインを追求することは、建築設計や建材の技術を進化させる原動力になりそうです。