下水の分析で感染症の流行も早期検知!下水道をICTで進化させる国土交通省の「i-Gesuido」施策

都市からの下水が流れ込む下水処理場。水質を分析すると感染症の流行も予測できる(ペイレスイメージズ/アフロ)

国土交通省は下水道事業にICT(情報通信技術)を導入し、持続と進化を実践する「i-Gesuido」という施策を始めました。

その一環として、2017年度にまず開始するのは、下水道施設の設計や工事、維持管理に3次元データを活用することです。

下水処理場やポンプ場は、土木、建築、機械、電気設備が複雑に入り組んでおり、相互に関係しています。当然、数多くの技術者や設計・施工会社が建設工事に参加します。そこで3次元のわかりやすい図面を使うことで、従来の平面的な図面ではわかりにくかった部材同士のぶつかり個所を事前に発見し、見える化することで設計ミスや工事のやり直しを防ぐのが目的です。(以下の資料:国土交通省)

下水処理場やポンプ場は、土木、建築、機械、電気の各施設が複雑に入り組んでいる
下水処理場やポンプ場は、土木、建築、機械、電気の各施設が複雑に入り組んでいる
3次元図面によって部材同士がぶつかっている場所を設計段階で発見する
3次元図面によって部材同士がぶつかっている場所を設計段階で発見する
工事のシミュレーションを行って、危険個所を予測し、事故を防ぐ
工事のシミュレーションを行って、危険個所を予測し、事故を防ぐ

今回、下水処理場の建設に3次元データを導入するもとになった「i-Gesuido」施策には、3次元データによる設計や工事のほか、ストックマネジメントや水処理革命、IoTやビッグデータ活用による「雨水管理スマート化2.0」からなる4本の柱があります。

「i-Gesuido」を支える4本の柱
「i-Gesuido」を支える4本の柱

そして、注目したいのは上の図で「他分野との連携」という項目です。ここには「排水水質監視による感染症の予兆把握や高齢者世帯の見守り」などを今後検討する、ということが書かれています。

都市や地域からの排水が流れ込む下水には、その時々に人が持っている様々なウイルスも含まれています。例えば、ノロウイルスなどに感染している人がその地域で増えると、下水に含まれるノロウイルスの量も増えていきます。このデータの変化を検知すれば、ノロウイルスによる感染症が広がる前に注意喚起や感染対策を強化することで、流行を未然に防ぐことも可能になるでしょう。

また、各住戸の下水排出量を計測すれば、トイレや風呂などが使われているかどうかもある程度知ることができます。高齢者世帯の見守りを、この下水データによって行うこともできそうです。

日本初の下水処理場である東京三河島汚水処分工場(現・三河島水再生センター)が運転開始したのは1923年だそうです。以来、全国各地に下水道や下水処理場が建設され、今では生活に欠かせない重要な社会インフラになりました。

これからは、下水に含まれる情報が「ビッグデータ」として扱われ、都市や地域の健康チェックにも使われることにもなりそうです。