時速100キロで0.2mm幅のひび割れを激写! NEXCO中日本と東大が“撮り鉄”の手法で成功

時速100キロで走行しながらトンネル内壁のひび割れを撮影する点検車両

トンネルを安全に保つため、維持管理を担当する技術者は“縁の下の力持ち”としてがんばっています。

その一つが、トンネル内壁のコンクリートにできた0.2mm以上のひび割れの発生場所や時間的な経過を観察することです。

これまでは、5年に1度、高所作業車などに乗った点検員が目視や打音、触診などによってひび割れを観測してきましたが、交通規制が必要だったり、作業時間が長かったりという課題もありました。

この作業を効率化するため、NEXCO中日本は、東京大学大学院情報理工学系研究科と共同で、高速画像処理を用いたトンネル内の点検技術を開発してきました。

2013年から研究開発を始め、少しずつ性能の向上を目指してきましたが、このほど、当初の開発目標が達成されました。

その目標とは、時速100キロで走行するクルマから、0.2mm幅のひび割れを撮影することだったのです。

(以下の資料:東京大学石川渡辺研究室とNEXCO中日本のYouTube動画より)

走行中のクルマからトンネル内壁に光を照射し、画像を撮影する
走行中のクルマからトンネル内壁に光を照射し、画像を撮影する
クリアに撮影されたひび割れ部分の写真
クリアに撮影されたひび割れ部分の写真

時速100キロで走るクルマから撮影すると、いくら高速撮影できるカメラを使っても、写真がぶれてしまうので0.2mmのひび割れはなかなか撮影できません。そこで、カメラには高速走行中でもぶれずに撮影できる工夫が加えられました。

普通の撮り方だとぶれてしまう(左)が、今回の技術だとクリアに撮影できる(右)
普通の撮り方だとぶれてしまう(左)が、今回の技術だとクリアに撮影できる(右)
ひび割れの撮影に使われた車載カメラ
ひび割れの撮影に使われた車載カメラ

なぜ、高速走行中でもぶれがほとんどないのかというと、“撮り鉄”と言われる鉄道マニアの間で使われている流し撮りの手法を応用し、トンネル内壁を連続的に撮影する技術を使っているからです。

高速で走る電車やクルマなどを撮影するとき、被写体の動きに合わせてカメラの向きを動かしながらシャッターを切ると、ぶれが少なくなりますね。

それと同じ方法で、トンネル内の写真を連続的に撮影するために使われたのが、東京大学が研究開発した「高速画像処理技術と高速小型回転ミラー」です。

カメラのレンズの前に小刻みに回転するミラーを置き、クルマの走行速度に合わせて動かすことで、高速移動中でも画面の中心にひび割れなどの被写体をとらえ続けることができるのです。

レンズの前に置かれた高速小型回転ミラー
レンズの前に置かれた高速小型回転ミラー

この車両で日常の巡回点検を行い、あらかじめひび割れの発生位置を把握しておくことで、5年に1度の点検も効率的かつ信頼性高く、行えそうですね。

NEXCO中日本ではこのシステムを2018年度に導入することを目指しています。