開発者はカンカン!実物の家を造った上海の巨大3Dプリンターは米国の“コピー品”だった

上海の巨大3Dプリンターで作られた家(写真:CNC Newsより)

最近、中国の上海で実物の住宅を造った巨大3Dプリンターがネットやマスコミで話題になっています。

コンクリート状の材料を壁の両側に沿って一定の厚さごとに、層状に積み上げながら、中空部分にトラス上の補強材を造形していくものです。

私はこの造形シーンをビデオで見たとき、最初に感じたのは、南カリフォルニア大学で開発中の巨大3Dプリンター、「コンター・クラフティング(Contour Crafting)」によく似ているな、ということでした。

上海の巨大3Dプリンターによる造形シーン(写真:CNC Newsより)
上海の巨大3Dプリンターによる造形シーン(写真:CNC Newsより)
南カリフォルニア大学の巨大3Dプリンターによる造形(写真:南カリフォルニア大学)
南カリフォルニア大学の巨大3Dプリンターによる造形(写真:南カリフォルニア大学)

上海の巨大3Dプリンターによる造形シーンの動画(YouTubeより)

南カリフォルニア大学の巨大3Dプリンターによる造形シーンの動画(YouTubeより)

昨日、この3Dプリンターの件で、TBSテレビの「あさチャン!」という番組から取材を受け、その様子が5月9日の7時16分に放送されました。

5月9日放送の「あさチャン!」でコメントする筆者(TBSテレビより)
5月9日放送の「あさチャン!」でコメントする筆者(TBSテレビより)

この番組では時間の都合上、ごく一部しか放送されませんでしたが、実は裏話がありました。

取材の前日、念のためにコンター・クラフティングの開発者である同大学のベロック・コシュネビス(Berok Khoshnevis)教授に上海の3Dプリンターとの関係を聞いてみたのです。

その結果、上海の巨大3Dプリンターは、南カリフォルニア大学が開発したコンター・クラフティングを勝手にまねたマシンということがわかったのです。

上海の巨大3Dプリンター。型枠の切削機を改造した(写真:CNC Newsより)
上海の巨大3Dプリンター。型枠の切削機を改造した(写真:CNC Newsより)
“本家”、コンター・クラフティングの実験機(写真:南カリフォルニア大学)
“本家”、コンター・クラフティングの実験機(写真:南カリフォルニア大学)

詳しい経緯については触れませんが、上海の会社(WinSun Decoration Design Engineering

Company)のオーナーは、以前、南カリフォルニア大学のコシュネビス教授を訪れ、コンター・クラフティングの材料供給者として詳細な情報提供を受けました。

上海の会社はその後、自社で巨大3Dプリンターを作り、テレビの取材でも、独自開発の技術であるかのように説明してしまったのでした。

コシュネビス教授は中国で関連特許を取得しており、この巨大3Dプリンターでビジネスを行うなら訴訟も辞さないという姿勢です。なんとか、平和に解決してほしいですね。

ちなみに、上海の巨大3Dプリンターは、コンクリートの建物を流し込む型枠にデザインされた模様をつける型枠切削用のCNC(コンピューター制御)ルーターをのベースマシンとしており、材料を切削する刃物の代わりに、材料を吹き出すノズルを取り付けたもののようです。

一方、“本家開発元”の南カリフォルニア大学は、巨大3Dプリンターのビジネス展開に向けて大きく動き出しています。

コシュネビス教授らは、このほど「コンター・クラフティング社(Contour Crafting Corporation)」を設立しました。

南カリフォルニア大学のコシュネビス教授
南カリフォルニア大学のコシュネビス教授

この事業には、日本の大手建設会社も参画しており、共同開発の契約を行ったそうです。

ノートパソコンで間取りを設計し、「印刷」ボタンをクリックすると、巨大3Dプリンターから実物の家が出てくる時代が、いよいよやってくるのでしょうか。楽しみですね。