2021年ベストラーメンTOP10!全国のラーメンを食べ歩くラーメンライターが厳選
今回は、2021年に私が食べたラーメンの中で、特に思い出に残った10店をご紹介したい。
ベスト10を決めるにあたって、何度か訪れているお店(リピート店)は除外させていただき、あくまで私が今年初めて訪れたお店に限定し、何とか10店に絞ってみた。
今のトレンドも見えるいいベスト10になったかと思うので、食べ歩きの参考にしていただければ幸いだ。
第10位.ラーメン 巻石(旗の台)
旗の台の居酒屋「呑み屋 ぶち」の二毛作営業として誕生したラーメン店。コロナの影響で居酒屋は動けず、ラーメンを始めたのだという。店主の岩渕さんが石巻出身ということで、石巻の魚介を使ったラーメンを提供。
こちらが「巻石醤油らーめん」+「鮪つくね&牡蠣コンボ」。
スープは石巻産鰹節、鯖節の旨味がじんわりと広がる醤油スープ。油にあまり頼らず、落ち着いた旨味でかなり好感触。「はやし製麺所」の極細縮れ麺がまたいい意味で田舎くさくて良い。
鮪つくねと牡蠣をトッピングすると大変豪華になるが、やはり味わいは地方っぽくてとても良かった。
店主さんは若いが芯がしっかりしていて、本気さが伝わってくる。これからも応援したいお店だ。
第9位.麺匠 きくち(新田)
草加市の新田にある人気店。店主は上尾の白河ラーメンの人気店「賀乃屋」出身だが、白河ラーメンとはまた違った独自の一杯を出されている。
こちらが「ワンタンメン」。
具はワンタン5個、青ネギ、白ネギ、メンマ。麺は北海道産小麦と三重県産スペルト小麦全粒粉を使った自家製麺。中太ストレート。
動物系100%のスープに醤油ダレを合わせる。香味野菜をかなり巧みに使っており、臭みを消しつつ香り高く仕上げていて、かなりのクオリティ。
ワンタンは厚めの皮にしっかり餡が詰まっていて、肉の旨味とタケノコなどの食感も含めて素晴らしい。
いぶし銀の素晴らしい一杯でオススメだ。
第8位.ラーメン 奏(駒込)
滋賀の大人気店がコロナ禍に東京・駒込に移転。大阪・福島にある鶏白湯の有名店「JET」出身。
こちらが「鶏そば」。
具はチャーシュー、ネギ、メンマ、三つ葉。麺は中太角切りストレートの自家製麺。
スープは鶏ガラとモミジを大量に煮込んで作った鶏白湯。鶏を茶濁するまで煮込んでおり、細かい肉まで入っている“食べるスープ”状態で、さすが「JET」魂と唸るスープ。生姜やニンニクが少し溶け込んでいて、これが単調さを軽減してくれる。分厚いチャーシューも柔らかくて大変美味しい。
TRYラーメン大賞の新人MIX部門を受賞した「魚介鶏そば」もオススメ。東京の鶏白湯のトレンドに一石を投じる新店。今後が楽しみだ。
第7位.下頭橋ラーメン(上板橋・ときわ台)
環七背脂ラーメンの伝説の店「土佐っ子」の流れを汲む貴重なお店。
こちらが「ラーメン」。
具はチャーシュー、メンマ、ネギ、ゆで卵。麺は細めのつるや製麺製。上に降りかかる背脂が大変上質で、この甘さは唯一無二。本当に甘くて美味しい。
下に沈んだタレを混ぜながらいただく。背脂特有の腹にもたれる感じが全くなく、スルスルと食べられて激ウマ。切り立てのチャーシューも旨い。
他を寄せ付けない貫禄の美味しさ。歴史は確実に続いている。
第6位.ラーメン たいち(長岡(新潟))
新潟の長岡生姜醤油ラーメンの超人気店。2009年オープン。小千谷の「ヒグマ」出身。
こちらが「正油チャーシュー」。
具はチャーシュー、ほうれん草、ネギ、メンマ。麺は太め縮れの越後製菓で作った特注麺。
スープは青森県産の豚ゲンコツに長ネギ、ニンニク、生姜などの香味野菜をふんだんに使用。豚の旨味たっぷりのスープに生姜がバシッと効き、そこにモチっとした太めの麺が絡んで最高。
素朴さも多少残しながら、かなりハイレベルに味を作っていて、最高に美味しい一杯に仕上がっている。
チャーシューはウデ、肩、モモなどいろんな部位をそれぞれの切り方で入れてあり、味、食感ともに楽しい。
歴史をリスペクトしながらかなりのハイクオリティで唸る美味しさだった。
第5位.地鶏豚骨らーめん ひなわ(戸塚)
戸塚に昨年オープンしたいわゆる“進化系”の横浜家系ラーメン店。「渡来武」出身。
“鶏油”にフォーカスし、週替わりの地鶏で上質な鶏油を合わせて、「家系」ではなく「地鶏豚骨らーめん」と名乗っているのが珍しい。とても清潔感のあるお店。
こちらが「ひなわラーメン」。
具は燻製ももチャーシュー、バラチャーシュー、味玉、ほうれん草、キャベツ、ネギ、ノリ。麺は中太ストレート。筆者のいただいた週の地鶏は比内地鶏。
やはり上質とわかる鶏油の香りと旨味。臭みが全くない上、旨さが分厚い。豚骨ももちろん分厚いが、鶏がしっかり出ていて、名前負けしていない美味しさ。これは旨い。
チャーシューもかなり気合が入っていて2種類の良さが際立つ。ほうれん草やキャベツなどもとにかく質が高い。
家系の新たな未来が見える見事な一杯。ぜひお試しいただきたい。
第4位.家系ラーメン王道 神道家(梅郷)
横浜家系ラーメンの「王道家」グループの大人気店。
こちらが「ラーメン」。
スープ量、鶏油量など基本は目分量で入れているが、バランスが完璧で恐れ入った。
醤油感、豚骨の厚み、鶏油の具合、全てパーフェクトに近い仕上がり。麺の茹で加減もバッチリ。
ゆるぎないスープの安定感で、卓上の刻みショウガやラーメン酢で味変を安心して楽しめる。
家系ファンには全力でオススメの名店だ。
第3位.中華そば 深緑(高坂(東松山))
名店「四つ葉」のセカンドブランドとしてオープンした話題店。アクセスは決して良くない場所にもかかわらず、行列を作っているのは凄い。
こちらが「深緑黒出汁」。チャーシューはバラ、ロース、肩ロースから選べて、バラ、ロースをチョイス。
具はバラ、ロース、鶏チャーシュー、メンマ、青菜、ネギ、ナルト。麺は北海道産小麦使用の自家製麺。
六白黒豚の豚骨出汁、東京シャモ、村越シャモロック、ホロホロ鶏の鶏出汁、牡蠣、アサリ、はまぐり、伊吹いりこなどの魚介出汁、ごぼう、マッシュルーム、白菜などの野菜出汁、沢山の食材をバランス良く合わせたスープ。そこに7種の醤油をブレンドして火入れした醤油ダレを合わせる。
口の中にいろいろな食材の味わいが次々に広がり、複合的かつ重層的。それぞれが立っているというより、合わさることで旨さが倍増していくイメージ。これは凄い。温度の変化とともに醤油の味が引き立っていくのも凄い。しなやかな麺も凄まじく旨い。
そして「もろみポーク」のバラとロースの特大チャーシューも絶品だ。脂や肉の旨味はしっかりありながら、丼の中で暴れすぎることもなくちゃんとラーメンの中に落ち着いている。満足感もバッチリだ。
非の打ち所がないハイクオリティな一杯。全力でオススメだ。
第2位.中華蕎麦 ひら井(北府中)
今年5月オープンの話題の新店。「ラーメン二郎 八王子野猿街道店2」出身の店主が独立したお店。東京農工大近くにあり、既に行列の絶えない人気店になっている。
こちらが「チャーシューつけ蕎麦 並」。
具はチャーシュー3種、スープの中にメンマと細かいチャーシュー。麺は「あやひかり」「チクゴイズミ」「春よ恋」を配合した極太の自家製麺。
まず麺に塩をつけていただく。本当に美味しい。モチモチで瑞々しく、食べ終わるまで張りを失わない生きているかのような麺。
スープは豚ゲンコツ、豚頭、牛骨、鶏ガラ、モミジの動物系100%。表面の脂は多いが、スープ自体はそこまでのドロドロ感がなく、うまく作っている。牛の旨味も感じ、味わいが重層的なのが凄い。
チャーシューも豪華。炭火焼のバラと肩ロース、真空低温調理の肩ロースの3種。香ばしい肩ロースが特に美味しい。
途中で麺にレモンを絞る。さらに麺に張りが出る感じで、スープにもキレを与え、美味しい。
締めのスープ割りは生姜風味だ。
ここかしこにトレンドが詰まっているが、全くいやらしさがなく、バランスよくしっかりまとまっており、満足感もかなり高い。これは今後凄い店になりそう。
第1位.ラーメン 三浦家(金町)
横浜家系ラーメンの大注目の新店。新中野「武蔵家」総大将の三浦氏が地元で凱旋出店。
こちらが「上ラーメン」。サービスライスが無料。
具はチャーシュー、コロチャー、ノリ5枚、ほうれん草、味玉、ネギ。麺は太め平打ちの酒井製麺製。
豚骨の厚みと醤油感、鶏油のバランスがベストオブベスト。凄まじく旨い。かなりハイレベルなところでバランスを取っていて、これは凄い一杯だ。スモーキーなチャーシューも最高。
ライスにはカッパ漬けをたっぷり乗せて、一味の醤油漬けを少し乗せ、スープをかけてノリを巻いていただく。至福。
数ある横浜家系ラーメン店の中でもトップレベルの旨さだ。
なお、こちらのベスト10は私がパーソナリティを務めるインターネット番組「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」でも紹介しているので、ぜひYouTubeでもチェックしてみてほしい。
※写真はすべて筆者による撮影