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「ラーメン評論家の入店お断りします」あまりに悲しいTweetで見えてきた作り手と食べ手の分厚い壁

井手隊長ラーメンライター/ミュージシャン
(写真:Jphoto/イメージマート)

「ラーメン評論家の入店お断りします」

Twitterを眺めていたら朝から刺激的な言葉が目に飛び込んできてビックリした。

神奈川県鎌倉市にある「中華蕎麦 沙羅善」などを経営する店主・梅澤愛優香氏のTweetであった。梅澤氏はAKB48の派生ユニットである「バイトAKB」の元メンバーで、2017年に20歳で神奈川県大和市に「麺匠 八雲」をオープンし、今では3店舗を経営する。アイドルからラーメン屋への転身ということでオープン当初より話題となっていた。

中華蕎麦 沙羅善 ※筆者提供
中華蕎麦 沙羅善 ※筆者提供

この9月には、SNSで男性から度重なる誹謗中傷を受けたということで損害賠償を求めて提訴したばかりだった。今回は「ラーメン評論家」の入店禁止という発信だった。

梅澤氏のTweetにはこうある。

「ラーメン評論家の入店お断りします

ラーメン評論家の方々とお会いしてきましたが、8割が私へマウンティングか言葉のセクハラが酷い人ばかりでした

それもあり避けたら裏で中傷される始末

うちにはマイナスしかなかったです

今後ラーメン評論家、同業で評論してる方の入店を全店固くお断り致します」

この発信によって、「ラーメン評論家」が一括りになって否定されていること、そして本来ラーメン界を共に盛り上げるべき存在であるお店とラーメン評論家が分厚い壁で分断されてしまったことに深い悲しみを隠せなかった。

食べ手には上下・優劣はないが

本来、食べ手には上下も優劣もない。

ラーメン評論家はメディアでラーメンについての発信ができる存在ではあるが、食べ手のひとりであることには変わりはない。その中で店主へのマウンティングがあったとしたらそれは大きな問題である。

今回の件で、実際どんなマウンティングやセクハラ行為があったかはわからない。が、それが当事者個々人の中では解決せず、SNSを通じて公に発信され、「ラーメン評論家」という職業自体が悪者になってしまったことは、ラーメン業界にとって大変残念なことである。

梅澤氏が当事者同士で話し合うことでは解決しないと判断してのTweetであるとは思うので、他の解決法はなかったということなのであろう。梅澤氏からのアラートは、「このままではいけない」というラーメン業界に警鐘を鳴らす出来事だった。

今回の件を受けて、ラーメンの作り手側である「ラーメン凪」の店主・生田悟志さんはこう話す。

「すごい時代が来ましたね。

ただ、実際にここまでのラーメン業界になれたのは紛れもなく店主と評論家、ファンによるもの。忘れないようにしたいですね」

SNSやスマホの普及により、誰でも発信できる時代。美味しいラーメン店の情報は簡単にどこでも手に入る時代になった。その中で、これからのラーメン評論家の在り方についてはいろいろ議論があったと思う。

ただ、ラーメン店とラーメン評論家は共にラーメン業界を盛り上げていく存在であることには変わりはないはずだ。

今回の騒動を一日でも早く終息させ、作り手・食べ手がともに気持ちよくラーメンに向き合える日が来ることを強く願う。

ラーメンライター/ミュージシャン

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.など連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。 自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。本の要約サービス フライヤー 執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。

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