コロナ禍で買い物や外食はどう変化した?世界28ヵ国、2万人の調査結果

Uber Eatsなどのデリバリーも増えたようだ(写真:アフロ)

コロナ禍で、世界の消費者の買い物や外食はどう変わったのだろうか。Ipsos(イプソス)社が2020年11月20日~12月4日までの15日間、日本を含めた世界28カ国、16~74歳の20,504人を対象に行なった調査結果を発表した。

今回の対象者数28ヵ国20,504人のうち、日本はn=1,000(16歳から74歳)となっている。

コロナ禍で、地元の店や小規模店での買い物習慣は変わらず、オンラインショッピング(通販)は増加

まず世界28ヵ国の結果を全体的に見ると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの間、人々は小規模の店や地元の店で買い物をする習慣を変えなかった。ただし、オンラインでの購入(通販)は「以前より増えた」と答えた人が43%にのぼっている。

Ipsos社の調査結果より、一番下は「オンラインショッピング」について、43%が以前より増えたと答えている。
Ipsos社の調査結果より、一番下は「オンラインショッピング」について、43%が以前より増えたと答えている。

地元レストランでの外食の機会「減った」日本「変わらない」

「コロナ禍で、小規模または地元経営のレストランで食事をする機会が増えたか?減ったか?」という質問に対し、世界全体では63%の人が「減った」と答えた。ただし、国や地域によって傾向が異なった。

外食が最も減ったのはチリ・ペルー・メキシコ・アルゼンチンで、80%以上の消費者が「減った」と答えた。

一方、「減った」と答えた人の数が最も少ないのは日本(44%)だった。「増えた」と答えた人も3%しかいなかった。つまり、日本は、小規模・地元レストランで食事する機会が「以前と変わらない」と答えた人が53%と、世界で最も多かった。

Ipsos社の調査結果より「コロナ禍で、小規模または地元レストランで食事をする機会は?」減ったと答えた割合はオレンジで、増えたと答えた割合は青で示されている
Ipsos社の調査結果より「コロナ禍で、小規模または地元レストランで食事をする機会は?」減ったと答えた割合はオレンジで、増えたと答えた割合は青で示されている

女性や高齢者は、男性や若者に比べて外食の機会が少ない

世界的に見ると、女性の方が、男性より、外食の回数が少ないと回答する割合が高くなっている(女性66%、男性59%)。50〜74歳(68%)は、若い消費者(35〜49歳の64%、35歳未満の57%)より外食が減ったと回答した。

Ipsos社の調査より、女性の方が外食機会は減ったと答え、50歳以上の方が外食は減ったと答えた
Ipsos社の調査より、女性の方が外食機会は減ったと答え、50歳以上の方が外食は減ったと答えた

ラテンアメリカや北米でテイクアウトやデリバリー増

食事のテイクアウトやデリバリー(配達)へのシフトも進んでいる。世界全体では、23%の消費者が、地元レストランでテイクアウトや宅配する頻度が増え、45%はパンデミック前と同じ頻度と回答している。

小規模レストランや地元レストランで食事をする頻度が低くなったと回答した消費者の割合が高い地域や国では、テイクアウトやデリバリーを頻繁に利用するようになった人の割合が平均より高くなる傾向があった。これは、お店で食事をすることができなくても、テイクアウトやデリバリーを利用して地元レストランを応援している人が多いことを示している。

この傾向はラテンアメリカと北米で顕著で、それぞれ30%と27%が、コロナ前より、小規模レストランや地元レストランからテイクアウトや宅配を頼む頻度が増えたと答えている。

日本は、小規模レストランや地元レストランからテイクアウトや配達を頼む回数に「変化がない」と回答した消費者の割合が最も高く(72%)、世界平均の45%を大きく上回っている。日本で機会が増えたと答えたのは12%、減ったと答えたのは16%。

地元レストランや小規模レストランからテイクアウトやデリバリーを頼む回数が増えた(青)か減った(オレンジ)か、世界比較(Ipsos社の調査より)
地元レストランや小規模レストランからテイクアウトやデリバリーを頼む回数が増えた(青)か減った(オレンジ)か、世界比較(Ipsos社の調査より)

小規模・地元レストランの店内での食事が減るほどテイクアウト・配達が増える傾向

地元レストランや小規模レストランで食事をする機会が減った国ほど、それらの店からテイクアウトや配達を頼む割合が高くなった。日本は、それらレストランで食事をする頻度はコロナ前と変化がなく、テイクアウトや配達も少ないという結果になっている。

地元レストランの店内で食事をする機会が減るほど、その店からテイクアウトやデリバリーを頼む割合が高くなる傾向にある(Ipsos社調査より)
地元レストランの店内で食事をする機会が減るほど、その店からテイクアウトやデリバリーを頼む割合が高くなる傾向にある(Ipsos社調査より)

58%が「地元で買い物をする頻度にほとんど変化がない」

世界全体では、多くの消費者(58%)が、小規模店や地元企業で直接買い物をする頻度について、変化がないと回答している。61%が「パンデミック前と同じ頻度で、地元の農家やメーカーから商品を購入している」と回答した。

一方、ブラジルを除くほとんどのラテンアメリカ諸国では、地元で買い物をすることが多いと回答。インド、イギリス、南アフリカでもそのような傾向が見られる。

日本では、パンデミックが起こっても、小規模で地元に根ざした店で買う頻度に変化はないと答えた消費者の割合が世界で最も高い(78%)。一方、トルコ(54%)と韓国(50%)では地元経営の店で買い物をする頻度が減ったと回答した(世界平均は30%)。

また、インド(35%)、ペルー(33%)、コロンビア(31%)の消費者は、地元の農家やメーカーから調達した商品の購入頻度が増加したと回答したが、日本では、増えたのはわずか5%。サウジアラビア(38%)とアルゼンチン(32%)では、地元の農家やメーカーの商品を購入する頻度が減ったと回答した人が最も多くなっている。

小規模の店で買い物する機会がコロナ前と比べて増えた(青)、減った(オレンジ)。日本は増えた人が3%、減った人が19%(Ipsos社調査)
小規模の店で買い物する機会がコロナ前と比べて増えた(青)、減った(オレンジ)。日本は増えた人が3%、減った人が19%(Ipsos社調査)

オンラインショッピングが増えたと答えたのは世界平均で43%

世界全体では、オンラインショッピングの頻度が増えたと答えた人は43%。パンデミックの発生以降、オンラインで買い物をする頻度が増えたと答えたのは、高所得者層(49%)の方が低所得者層(37%)よりも多い。

日本では、「増えた」と答えたのが29%で、「減った」と答えたのが6%だった。

コロナ前と比べてオンラインショッピングの頻度が増えた(青)減った(オレンジ)。日本は増えたのが29%、減ったのが6%(Ipsos社調査より)
コロナ前と比べてオンラインショッピングの頻度が増えた(青)減った(オレンジ)。日本は増えたのが29%、減ったのが6%(Ipsos社調査より)

考察

オンラインショッピングの世界的増加

まず、世界全体で明確に言えるのは「コロナ禍でオンラインショッピングが増えた」ということだろう。イタリアで実施された2,244名対象の調査や、オーストラリアで415名対象に行われた調査カナダで1503人を対象にした調査で、オンラインショッピングが増えたという結果が出ている。

オーストラリアでは、オンラインショッピングを利用するようになった理由として、

71%が「不必要な社会的接触を避けることができる」

50%が「オンラインで注文することで、食料品を重複して購入するのを避けることができる」

と回答しており、25%以上が「オンラインでの買い物が増えてから生ごみが減った」と答えていた。

また、アイルランドの調査でもオンラインショッピングが増えたという結果が出ている。アイルランド人の半数以上が買い物に費やす時間を短縮したいと考えており、2020年12月現在、食品の買い物の24%がオンラインで行われるようになっているという調査結果が発表されている。

日本ではどうか。総務省統計局が2021年4月6日に発表した家計調査結果を見てみると、ネットショッピング利用世帯の割合は、コロナ前の2019年と比べてコロナ禍の2020年は増えており、2021年1月と2月はさらに増えている。たとえば2020年2月には42.5%だったのが、2021年2月には51.5%になっている。

ネットショッピング利用世帯の割合の推移(家計調査結果、総務省統計局)
ネットショッピング利用世帯の割合の推移(家計調査結果、総務省統計局)

支出額に関しても、2019年より2020年はほとんどの月で上回っており、2020年2月には12,847円だった支出額は、2021年2月は15,781円になっている。

ネットショッピングの支出額の推移(家計調査結果、総務省統計局)
ネットショッピングの支出額の推移(家計調査結果、総務省統計局)

内閣府が2020年10月22日に発表したレポートを見ても、EC(電子商取引)の割合は2020年のコロナ禍で増加している。

実店舗での購入割合と、ECでの購入世帯の動向(2020.10.22、内閣府発表)
実店舗での購入割合と、ECでの購入世帯の動向(2020.10.22、内閣府発表)

中でも、食料品(下記グラフ、赤)は大きく増加している。出前(下記グラフ、茶)は全体からみるとさほどではない。

1世帯あたりのEC消費額の推移(2020.10.22、内閣府発表)
1世帯あたりのEC消費額の推移(2020.10.22、内閣府発表)

オンラインショッピングは、食料品の場合、必要量だけ買うようにしたり、食品ロスになりそうなものを購入したりすれば、食品ロスを減らすことにもつながる。逆に、買い過ぎてしまったり、買ったまま放置したりしておけば、食品ロスが増えてしまう。また、段ボールなどの梱包材が増えた結果、ごみの量が増えるという傾向は、すでにいくつかの自治体の廃棄物の部署で把握されている。

内閣府によれば、「初めてECを利用するようになった人のうち、一定数は継続して購入するであろう」と推察している。コロナ禍において、感染源との接触機会を減らすため、あるいは買い物の労力削減などの理由から、オンラインショッピングは今後もコロナ前より高い割合が続くだろう。

日本では外食の減少と中食・内食の増加

2021年4月30日に内閣府が発表したコロナ禍での外食の変化に関するレポートを見ると、外食支出や飲食店の売り上げは2020年に大きく落ち込んでいる。

外食の年間推移、2021年4月30日消費者庁発表「マンスリー・トピックス」No.61より
外食の年間推移、2021年4月30日消費者庁発表「マンスリー・トピックス」No.61より

2020年と2021年の食料支出の内訳をみると、外食とそれ以外の差が大きく開いている。2020年9月から10月には「Go To Eat」キャンペーンにより差が縮まるが、その後の緊急事態宣言により、差は開いていく。

食料支出のうち、外食(青)とそれ以外(赤)の推移、2021年4月30日消費者庁発表「マンスリー・トピックス」No.61より
食料支出のうち、外食(青)とそれ以外(赤)の推移、2021年4月30日消費者庁発表「マンスリー・トピックス」No.61より

例年であれば、男性は食料支出のうち外食が約6割を占め、女性は約5割を占める。これが2020年には男女とも外食が4割程度に低下し、男性は中食と内食が増加、女性は内食が増加する傾向にある。

自分の身の回りだけで見ていると、コロナ禍で、近くの地元の店で買い物するようになってきた傾向は感じられるし、Uber Eatsなどのデリバリーもよく目にするようになっているが、Ipsos社の調査では日本は地元の店での買い物頻度やテイクアウト・デリバリーに大きな変化はない、とのことだった。Ipsos社のいう「小規模な店」「地元経営の店」の定義が個人商店のみを指すのか、それとも地元の小さなスーパーも含めるのか、レポートからはわからない。

より小さな店、地元の専門店で買い物するようにしてあげたいと思い、筆者はコロナ禍を経て、近くのお茶屋や、お米屋などで買い物するようにしている。日本では、便利さと効率を求めた結果、個人商店の多くが廃れてしまったが、「買い物は投票」という言葉のように、一票をどの店に投じるのか、どの店を未来に残すのかを考えて買い物するようにしたい。そのように食品の買い物に真摯に取り組むことが、食品を大切にし、食品ロスを減らすことにつながると考える。

参考情報

Shoping During the Pandemic A Global Advisor Survey (Ipsos, 2021.1.21)

How shopping and eating out has changed during the pandemic(Ipsos, 2021.1.22)

イタリア計2,244名の購買行動と食品ロス調査 コロナ禍でどう変わった?SDGs世界レポ(30)(井出留美、2020.7.23)

オーストラリア415名購買行動・食品ロス調査報告書 コロナ禍の変化とは?SDGs世界レポ(31)(井出留美、2020.7.27)

最大で年28万円食品を捨てるオーストラリア、5272名の食品ロス調査結果 SDGs世界レポ(40)(井出留美、2020.9.24)

コロナ禍のXマス、アイルランド人が恋しく思うものは?コロナの時代の食品ロス:SDGs世界レポ(49)(井出留美、2020.12.14)

コロナ禍で迎える新年の抱負は?コロナの時代の食品ロス(カナダ編)SDGs世界レポ(50)(井出留美、2021.12.28)

家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について (二人以上の世帯)(総務省統計局、2021.2)

家で食べ物を捨てる人減った?5,345名調査 日・仏・英・米 家庭の食品ロスの変化(井出留美、2020.6.1)

新型コロナウイルス感染症禍の外食産業の動向 ~需要側・供給側からの振り返り~(内閣府、2021.4.30)

新型コロナウイルス感染症による消費行動の変容 ~EC経由の消費行動は一時的か持続的か~(内閣府、2020.10.22)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。Champions12.3メンバー。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てられる食べものたち』他。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/令和2年食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞

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