【速報】食品ロスの推計値発表(平成30年度)過去最少

Man adding to compost bin outdoors(写真:アフロ)

2021年4月27日、環境省と農林水産省が、最新(平成30年度)の食品廃棄物及び食品ロスの発生量の推計値を公表した。

年間600万トン(平成30年度 / 2018年度)、過去最少

平成30年度(2018年度)の食品ロスの値は年間600万トンと発表された。前年度、平成29年度(2017年度)の612万トンから12万トン(2%)削減された。

以前は、政府(環境省・農林水産省)が発表する食品ロスの値は「500〜900万トン」「500〜800万トン」といった幅表示が使われていたが、平成24年度からはピンポイントの推計値が公表されるようになった。

平成30年度の値が発表された今回は7回目となり、過去で最も少ない値となった。

環境省は、「 3年連続の減少となるが、減少傾向といえるかは、今後の推移を引き続き見守る必要がある」としている。

食品廃棄物等・食品ロスの推計結果(環境省公式サイトより)
食品廃棄物等・食品ロスの推計結果(環境省公式サイトより)

家庭系 46%、事業系 54%と、ほぼ半々は変わらず

年間600万トンの内訳を見ると、家庭系が276万トン、事業系が324万トン。割合を計算すると、家庭系からが46%で、事業系が54%。この割合は、前年度(平成29年度)と変わりはない。

事業系が約4万トン(約1%)減少、家庭系が約8万トン(約3%)減少している。

食品ロス発生量の年ごとの変化と事業系(青)家庭系(緑)の内訳(環境省公式サイトより)
食品ロス発生量の年ごとの変化と事業系(青)家庭系(緑)の内訳(環境省公式サイトより)

食品製造業、外食産業、食品小売業、食品卸売業の順に多い

事業系の内訳を見ると、

食品製造業 126万トン

外食産業  116万トン

食品小売業 66万トン

食品卸売業 16万トン

の順に多くなっている。

食品ロスのこれまでの経緯(農林水産省 食料産業局のデータによる)
食品ロスのこれまでの経緯(農林水産省 食料産業局のデータによる)

1人1日130g(茶碗一杯のご飯)の食品ロスを出している

全体の食品ロスを1人あたりに換算してみると、1人1日130gの食品ロスを出していることになる。これは、お茶碗1杯(一膳)分に相当する。

また、1人あたり年間約47kgの食品ロスを出しており、これは1人が一年間に消費するコメの量(54kg)に匹敵する。

農林水産省公式サイトより
農林水産省公式サイトより

考察

1、推計値は目安

ピンポイントのデータを発表し始めてから過去最少レベルにまでなった。ただ、この数字には、一次生産品である農産物の規格外廃棄や生産調整でつぶされる野菜などはカウントされていない。また、全国で備蓄している食料の、入れ替え時の廃棄についても含まれていない。あくまで把握できる分である。ミクロではなく、マクロデータなので、あくまで目安ととらえるのがよいと考える。

2、消費者への啓発

日本の食品ロスのうち、家庭系が半分近くを占めるということは、まだ十分に認識されていない。今後とも、自分ごととしてロス削減に取り組むために、消費者自身も食品ロスを出しているということ、また具体的な削減策を啓発していく必要があると考える。

3、食品製造者が多い背景には業界の商慣習

事業系のうち、最も多いのが食品製造業となっているが、だからといって、食品製造業者が何もしていないわけではない。その背景には食品業界の商慣習である欠品ペナルティ(欠品は取引上、許されない)や3分の1ルール(メーカーにとって短い納品期限や販売期限)、日付後退品(前日納品したものより1日たりとも古い賞味期限のものは納品が許可されない)などがあるということを理解する必要がある。

4、翌年は食品ロス削減推進法が成立・施行された年

毎年、環境省と農林水産省により、4月中旬ごろに発表される食品廃棄物・食品ロスの推計値だが、来年2022年4月に発表される値は令和元年度(2019年度)で、この年は、食品ロス削減推進法が5月に成立し、10月に施行された年である。さらに少なくなるかどうかはわからないが、法律の影響で、さらなる削減が期待される。

5、温室効果ガス排出量削減のためにも生ごみの分別収集と脱焼却を

つい先ごろも政府が温室効果ガス排出削減目標を26%から46%に引き上げたところだ。世界の食品産業が温室効果ガスに占める割合は37%、食品ロスが占める割合は8〜10%と、決して看過できない量だ。しかも日本は生ごみを含めたごみを焼却処分している割合が世界でも多い。

世界のごみ国別焼却割合(OECD 2013もしくは最新のデータを基にYahoo!ニュース制作)
世界のごみ国別焼却割合(OECD 2013もしくは最新のデータを基にYahoo!ニュース制作)

環境省が2021年3月30日に発表したデータによれば、一般廃棄物の処分にかかわるコストは年間2兆円を超えている。食品のごみ(生ごみ)の重量のうち水分が80%以上を占めるため、エネルギー・コストを莫大に費やし、環境への負荷もかける。諸外国が進めているように、生ごみを分別回収して資源化することで、かなりこれが削減できる。自治体レベルでは複数の市町村が行っている。

温室効果ガス排出46%削減を目指すならば、食品ロスを減らすのはもちろんだが、早急に生ごみ分別回収と資源化(家畜のエサ、コンポスト、バイオマス発電など)に取り組むべきではないだろうか。

参考情報

我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成30年度)の公表について(2021.4.27 環境省)

食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)<概念図>(2021.4.27、環境省)

我が国の食品ロス量の推移(H.24〜H.30、環境省)

食品ロス量(平成30年度推計値)の公表(2021.4.27、農林水産省)

日本の食品ロスの状況(平成30年度)(農林水産省)

食品ロス量の推移(平成24〜30年度)(2021.4.27、農林水産省)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。Champions12.3メンバー。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てられる食べものたち』他。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/第一回食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

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