期限表示の混乱は、世界各国で起きている。つい先日も、『機内で期限切れの「キットカット」配る スカイマーク』(2021年2月4日)が報じられた(1)。ここでいう「期限」は、おいしさのめやすにすぎない「賞味期限」。その賞味期限が2日過ぎただけの話なので、企業は配った人に直接お詫びすれば済む話だ。対象者である乗客も70数名のみと、直接対応できる人数だった。しかし、企業はプレスリリースで広く多くの人に伝え、それをマスメディアが報じた。不特定多数の第三者にそれを報じる必要性はない、と筆者は考える。(2)

一方、期限表示には、「消費期限」というのもある。消費期限は、時間の経過とともに品質が急激に劣化していくものに表示されるので、賞味期限と違って、こちらはきちんと守ったほうがいい。「琵琶湖ホテル、1カ月消費期限切れのパン提供 当初否定」(2021年2月10日)が報じられた(3)。これは問題だ。ホテルは記者会見で謝罪した(4)。『期限切れパン「冷凍だから大丈夫」 琵琶湖ホテルが謝罪』(2021年2月10日)

賞味期限(おいしいめやす)と消費期限の違い(消費者庁の資料をもとに株式会社office3.11で作成)
賞味期限(おいしいめやす)と消費期限の違い(消費者庁の資料をもとに株式会社office3.11で作成)

消費期限表示の食品には気をつけなければならないが、おいしさのめやすに過ぎない「賞味期限」を杓子定規にとらえ、過ぎたら即廃棄していたら、いつまでたっても食品ロスは減らないし、SDGsの12番に掲げられたゴール「2030年までに小売と家庭の食料廃棄を半減させる」も達成することはない。

そこで、欧州など、環境先進国は、ここ数年、賞味期限の啓発活動に力を入れている(5)。消費者自身に賞味期限本来の意味を理解してもらい、消費者自身の意識が変わり、行動が変わる。それだけで、相当量の食品ロスが減る可能性がある。

環境先進国の欧州だけでなく、食品流通量の40%を廃棄している米国も、2013年に、期限表示が生み出す食品ロスに関する報告書を出していた。全61ページに及ぶもので、サブタイトルに『紛らわしい食品の期限表示がいかに米国の食品ロスにつながるか』と書かれている(6)。今回の記事では、この報告書の内容について詳しく見ていきたい。

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