コロナ禍のXマス、アイルランド人が恋しく思うものは?コロナの時代の食品ロス:SDGs世界レポ(49)

Christmas tree in Ireland(写真:アフロ)

ようやく海外で新型コロナウイルスのワクチンの摂取がはじまった。しかし、期待されていたほど量産ははかどっていないようだ。これでは世界全体に行き渡るには、まだまだ時間がかかるだろうし、海外旅行は当分おあずけだろう。海外旅行はできないのに、「おうち時間」で暇をもてあましているとすれば、おすすめは、グーグルのストリートビュー。これで自分の部屋にいながらにして、海外の観光地をまわるのだ。

筆者が今回選んだのは、アイルランドの首都ダブリン。ストリートビューに「オコンネル・ストリート」と地名を入れ、通りに降り立ったら、リフィ川の方へ歩いて行こう。気持ちのいい散歩日和の天気だ。橋を渡って、テンプル・バー界隈をぶらぶらしてみる。お店によっては、店内に入ることもできるので試してみよう。ただし、どんなに感じのよさそうなパブを見つけて運よく店内に入れても、ギネスビールは注文できないし、アーリー・バード・メニュー(早い時間限定のお得なメニュー)を食べることもできない。ケルト・ミュージックのライヴをやっていても聴くことはできない。やっぱりもどかしい。

オコンネル・ストリート
オコンネル・ストリート写真:アフロ

なつかしいダブリンの人々は、このコロナ禍にどうしているのだろう? 

アイルランドは、イギリスの西にある北海道と同じくらいの大きさの島国で、人口は約490万人。北海道の人口は530万人なので、北海道よりも人口の少ない国ということになる。新型コロナウイルス感染者数は、2020年12月10日時点で、北海道で累計10,805人(死者241人)。それに対して、アイルランドでは累計75,203人(死者2,117人)となっている。北海道は日本の中では、かなり感染者の多いところという印象だが、アイルランドはその比ではない。

それではアイルランドのコロナ対策が甘かったかというと、そうでもないようだ。アイルランドでは、まだ国内で感染者が確認されていない2020年2月25日には、公衆衛生緊急チームが、「感染影響地域リスト」に中国本土のほか、日本、シンガポール、香港、韓国、イラン、イタリアなどをリストに含めるように勧告している。そして、2月29日に国内で最初の感染者が出ると、WHOのパンデミック宣言の翌日、3月12日には、元医師のレオ・ヴァラッカー首相が、新型コロナウイルス感染症対策の発表を行っている(2020年12月12日現在の首相はミホール・マーティン Micheál Martin氏)。

対策の内容は、3月13日から学校や保育施設の閉鎖、文化施設の閉鎖、大規模イベントの中止など。ただ、この時点では、カフェやレストランは、まだ営業をつづけることができるとしていた。例年であれば、3月17日には「聖パトリックの日」(アイルランドの祝祭日)のイベントが開催されるはずだったが、今年は中止となり、アイルランドの街から人が消えた。

2020年3月当時の首相、レオ・ヴァラッカー氏
2020年3月当時の首相、レオ・ヴァラッカー氏写真:代表撮影/ロイター/アフロ

2020年3月24日には、当時のレオ・ヴァラッカー首相が記者会見を行い、外出は生活必需品の購入などに限り、国内外への必要不可欠でない旅行は行わないなど、ロックダウン(外出制限)が指示され、カフェやレストランの営業はテイクアウトかデリバリーに限定された。警官が取り締まりにあたり、違反者には罰金を課すという厳しい規制だった。そして、パンデミックの第1波を乗り越え、感染者が大幅に減少した5月後半から段階的に規制は緩和された。

そして、第2波のピークとなった2020年10月21日からの6週間は、行動規制レベルが最高レベルの5まで引き上げられ、外出は自宅から半径5km以内に制限され、スーパーマーケットや薬局など、必要不可欠な店以外は閉鎖された。レストランやパブなどの飲食店の営業は、再び宅配と持ち帰りのみとなった。

そうした欧州でも有数の厳しい規制が功を奏して、12月10日現在、新規感染者数は減少傾向にあり、1日平均282人程度と、1日平均人数のピークだった10月21日の感染者数の約24%程度まで下がっている。

この記事では、「ビフォア・コロナ」「コロナ・ショック」「ウィズ・コロナ」の3期間に分けて、アイルランドの食品ロスの実態と削減するための取り組みを紹介する。

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。Champions12.3メンバー。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てられる食べものたち』他。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/第一回食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。

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