SDGs世界レポート(24)脱プラで野菜や果物の鮮度をどう保つ?食品ロス削減、米国・日本の新技術とは

(写真:ロイター/アフロ)

マサチューセッツ工科大学(MIT)の准教授であるBenedetto Marelli(ベネデット・マレリ)氏は、シルク(絹)コーティングで生鮮食品の賞味期間を延長する製品を開発している。この新技術は、野菜を丸ごと、あるいはカットした青果物や肉、魚など、食品の保存性を最大で2倍高め、食品ロス削減に貢献し、輸送中の温室効果ガスを軽減することができる。生鮮食品の鮮度を保つために、これまではプラスチック製のフィルムが多く使われてきたが、この新技術であれば、プラごみの懸念も払拭できる。

ベネデット准教授は、この技術を製品化するために、Cambridge Crop(ケンブリッジ・クロップ)社を設立した。会社の公式サイトには、会社の使命として"More Food, Less Waste"(もっと食べ物を、ロスを減らそう)の文字が並んでいる。

ケンブリッジ・クロップ社の説明によれば、このコーティングはシルクの中から分離したタンパク質を使ったものだそうだ。シルクコーティング技術を導入するためには、高価な設備などは必要ない。既存の食品加工ラインに簡単に組み込むことができる。コーティングが無味・無臭のバリアとなり、食品成分が分解して劣化するのを遅らせる。

パイナップル、そのまま放置したもの(左)とシルクコーティングを施したもの(右)(Photo: Cambridge Crops ケンブリッジ・クロップ社公式サイト)
パイナップル、そのまま放置したもの(左)とシルクコーティングを施したもの(右)(Photo: Cambridge Crops ケンブリッジ・クロップ社公式サイト)

MITの食品ロス削減に寄与する技術は他にも

MIT発の新技術は他にもある。MITのTimothy Swager(ティモシー・M・スウェイガー)教授による研究だ(Darryl Fongが論文執筆)。エチレンガスを低濃度で検出できるセンサーを開発した。

エチレンガスは、野菜や果物の保存期間中に排出され、これが保存性を低くしてしまう。これをいかに抑制するかが、品質を保つカギになる。日本で市販されている野菜保存袋の中には、このエチレンガスを吸着させる機能を使ったものもある。

参考:

野菜保存袋ってどのくらい持つの?3社3種類の袋に1ヶ月間チンゲンサイ(青梗菜)を保存して比較してみた

ティモシー教授らは、このエチレンガスを10億分の15という低濃度で検出できるセンサーを開発した。「カーボンナノチューブ」と呼ばれる半導体シリンダーで作られたセンサーは、果物や野菜が出荷されて保管される間、エチレン量をモニターできる。現時点では、エチレン測定用の優れた市販のセンサーはないという。食品保管に携わる人は、野菜や果物などあらゆる種類の農産物を管理するために、エチレンガスがどういう状態にあるのかを把握することで食品を適切に管理し、食品ロスを削減することができる。

プラを使わずに青果物を長持ちさせる米国発の新技術 2社

プラスチックを使わずに、青果物を長持ちさせる技術は、米国から他にも発表されている。昨年から話題に上っており、筆者は2020年2月上旬につくば国際会議場で開催された、研究者対象の「食品試験研究推進会議」の講演で発表させて頂いた。

世界の容器包装業界では、すでに注目されている技術であろう。その一つが、

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気候変動が深刻化し、SDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、対応に悩む企業も多いです。著者は企業広報に14年半、NPO広報に3年従事の後、執筆や講演を通して食品ロス問題を全国に広め、数々の賞を受賞しました。SDGsが掲げる17目標のうち、貧困や飢餓、水・衛生、生産・消費など、多くの課題に関わる食品ロスの視点から、国内外の事例を紹介し、コスト削減や働き方改革も見据え、何から取り組むべきか考えます。

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奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン(株)、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。311食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。「食品ロス削減推進法」成立に協力した。世界資源研究所(WRI)とオランダ政府が運営し食品ロス削減を目指すチャンピオン12.3メンバー。著書に『賞味期限のウソ』『食品ロスをなくしたら1か月5000円の得』。食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018受賞

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